職業性ストレス簡易調査票及び労働者疲労蓄積度自己診断チェックリストの職種に応じた活用法に関する研究

文献情報

文献番号
200733002A
報告書区分
総括
研究課題名
職業性ストレス簡易調査票及び労働者疲労蓄積度自己診断チェックリストの職種に応じた活用法に関する研究
課題番号
H17-労働-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
下光 輝一(東京医科大学公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 堤 明純(産業医科大学産業医実務研修センター)
  • 小林 章雄(愛知医科大学)
  • 酒井 一博(財団法人労働科学研究所)
  • 原谷 隆史(独立行政法人労働安全衛生総合研究所研究企画調整部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
職業性ストレス簡易調査票および労働者疲労蓄積度自己診断チェックリストを職種に応じて有効活用するために、①職種ごとの基準値の設定と判定方法の検討、②職種に特徴的なストレス要因を測定する尺度の開発、検討、③2つの調査票や職種に特徴的なストレス要因を考慮した「職種ごとのストレス対策マニュアル」の作成を目的とした。
研究方法
交通運輸・医療福祉・情報通信関連・製造・販売サービス業の従事者、および裁量労働制、交替制勤務従事者を対象に、両質問紙のデータを収集し、基準値、判定法について検討した。また、前年度までに開発、検討された、職種に特徴的なストレス要因を測定する質問紙の有効性について検証した。さらに、職業性ストレス簡易調査票等を活用したストレス調査結果を基にしたストレス対策の介入研究を実施し、実効性、有効性、コスト等について検討した。
結果と考察
1.バス運転手等の蓄積疲労については、短い睡眠時間が蓄積疲労度自己診断チェックリストの項目と関連が強く、運行システムなどの管理に加え、生活習慣等の管理の重要性が示された。
2.医療福祉、情報通信関連、生産工程労務、販売サービス、裁量労働、交替制勤務労働者について、職業性ストレス簡易調査票、疲労蓄積度自己診断チェックリストの平均値、評価の分布について検討した。
3.病院職員を対象とした介入研究の結果を踏まえた職員参加型職場環境改善はストレス減少効果が示唆された。
4.職種に特徴的なストレス要因を把握する尺度として、情報通信技術者ストレッサー6尺度が開発され、生産工程労務職に特徴的なストレス要因として速度負担、知覚的負担、販売サービス職では感情負担、感情隠蔽の使用が提案された。
5.裁量労働従事者は企画業務型と専門業務型ではストレス要因やストレス反応に差が認められた。交替制勤務者では、長時間勤務や変則的な勤務、職場環境による自覚的な身体的負担度の高さが影響し、ストレス反応が高かった。
6.以上の結果より職種ごとのストレス対策マニュアルを完成させた。
結論
1.職業性ストレス簡易調査票については医療・福祉従事者のみで判定法変更の必要性が認められ、5段階評価の素点換算票の改訂を行った。
2.職種に特徴的なストレス要因について、既存の調査票からの尺度の選定、および新たな尺度の開発を行った。
3.職種ごとのストレス対策マニュアルを完成させた。

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200733002B
報告書区分
総合
研究課題名
職業性ストレス簡易調査票及び労働者疲労蓄積度自己診断チェックリストの職種に応じた活用法に関する研究
課題番号
H17-労働-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
下光 輝一(東京医科大学公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 堤 明純(産業医科大学産業医実務研修センター)
  • 小林 章雄(愛知医科大学)
  • 酒井 一博(財団法人労働科学研究所)
  • 原谷 隆史(独立行政法人労働安全衛生総合研究所研究企画調整部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
職業性ストレス簡易調査票および労働者疲労蓄積度自己診断チェックリストを職種に応じて有効活用するために、①職種ごとの基準値の設定と判定方法の検討、②職種に特徴的なストレス要因を測定する尺度の開発、検討、③2つの調査票や職種に特徴的なストレス要因を考慮した「職種ごとのストレス対策マニュアル」の作成を目的とした。
研究方法
交通運輸・医療福祉・情報通信関連・製造・販売サービス業の従事者、および裁量労働制、交替制勤務従事者を対象として、標記質問紙のデータを3年間にわたって収集し、3年目に基準値、判定法について検討した。また、2年目までに開発、検討された、職種に特徴的なストレス要因を測定する質問紙の有効性について検証した。職業性ストレス簡易調査票等を活用したストレス調査結果を基にしたストレス対策の介入研究を実施し、有効性等について検討した。
結果と考察
1)交通運輸業従事者、医療・福祉従事者、情報通信関連職従事者、製造業従事者、販売・サービス業従事者、作業分野別では裁量労働従事者、交替制労働従事者を対象として2つの調査票を実施し、各職種の調査票への回答の分布から性・年齢等を考慮した基準値の設定を行なった。
2)先行研究レビュー、各職種の労働者や事業場の産業保健スタッフ等を対象としたヒアリング、および既存の質問紙を労働者に実施したデータの検討結果から、各職種に特徴的なストレス要因を測定する項目、尺度について検証・提示した。情報通信関連職については、新たに情報通信関連技術者用ストレッサー尺度を開発した。また、交通運輸業従事者についてはドライバー用疲労蓄積度自己診断チェックリストを開発した。
3)1)の研究において明らかになった2つの調査票の職種毎の基準値や判定法、および2)の研究結果から導き出された問題点について整理し、各職種において改善を要するストレス要因について対策を立案し、各職種の仕事のストレスと蓄積疲労対策マニュアルを作成した。
結論
1.職種・作業分野別職業性ストレス簡易調査票と疲労蓄積度自己チェックリストの基準値を設定し、判定法のオプションを追加した。
2.標記質問紙に加えて使用し、職種ごとの仕事のストレス要因を評価する簡便な評価尺度を提示、あるいは新たに作成した。
3.各職種・作業分野に対応した仕事のストレスと蓄積疲労対策マニュアルを作成した。

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200733002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
職業性ストレス簡易調査票および労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリストは、おそらく現在、国内で最も広く使用されているものであるが、個々の事業場や個人において一律に使用されるのみで職種を考慮した判定ができない状況にあった。本研究により職種ごとの基準値が設定されたため、職種を考慮したストレスの判定が可能となった意義は大きい。また職種に特徴的なストレス要因を測定する尺度と職種ごとのストレス対策マニュアルは具体的で、産業保健活動において有効に活用できる点で意義が大きい。
臨床的観点からの成果
本研究成果の活用の場は、臨床ではなく産業保健の場(事業場)であるため、臨床的観点からの成果は直接的なものはない。しかしながら近年、過重労働、過密労働に関連し、労働者のうつ病等の精神神経疾患が増えており、中高年労働者の自殺も問題となっている。本研究成果を産業現場で広く活用することにより、職場のメンタルヘルスの改善を通して労働者のうつ病等の二次予防、さらには一次予防が可能となると考えられる。
ガイドライン等の開発
本研究成果は疾病と直接には関わっておらず、また疾病の鑑別診断を行うものではなく、従って診断や診療のガイドライン等には参考にされていない。
その他行政的観点からの成果
厚生労働行政において労働者のメンタルヘルスの向上は喫緊の課題であると思われる。本研究では、調査票の有効活用ならびに職種ごとのストレス対策の実施に有用なツール類を提供しており、すぐにでも職場で活用できる成果物を提供している点で意義が大きいと考える。
その他のインパクト
本研究対象の職業性ストレス簡易調査票は旧労働省委託研究の成果であるが、現在は主任研究者下光輝一が開発の学術的責任者であり、日本経済新聞等の職場のメンタルヘルスに関する記事等多くの取材をうけている。主任研究者の所属する東京医科大学公衆衛生学講座のHPにおいて、質問紙、基準値、調査票の活用のマニュアル他の研究成果を公開しており、多くの事業場の産業保健スタッフからアクセスがある。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Tsutsumi A, Umehara K, Ono H, et al.
Types of psychosocial job demands and adverse events due to dental management: a cross sectional study
BMC Oral Health , 7 (1) , 3-  (2007)
原著論文2
Umehara K, Ohya Y, Tsutsumi A, et al
Association of work-related factors with psychosocial job stressors and psychosomatic symptoms among Japanese pediatricians
J Occup Health , 49 , 467-481  (2007)

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-