総合診療外来におけるドクターショッピング終息効果の検討

文献情報

文献番号
200732098A
報告書区分
総括
研究課題名
総合診療外来におけるドクターショッピング終息効果の検討
課題番号
H19-医療-若手-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大平 善之(千葉大学大学院医学研究院 先端応用医学研究部門先端応用医学講座臨床診断学)
研究分担者(所属機関)
  • 生坂 政臣(千葉大学医学部附属病院 総合診療部)
  • 馬杉 綾子(千葉大学医学部附属病院 総合診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
1,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
千葉大学医学部附属病院総合診療部(以下、当部)外来受診後のドクターショッピング(以下、DS)患者の受療行動を調査することにより、総合診療外来のドクターショッピング終息効果を明らかにする。
研究方法
対象は、当部紹介なし初診患者で、同意を得られた者。先行研究よりDS患者を「同一の主訴で大学病院受診以前に2名以上の医師を受診していた患者」と定義し、初診時アンケートの結果よりDS群と先行研究で指摘されているDS患者の特徴に合致する患者(ハイリスク群)を抽出した。これらの患者に対し郵送による追跡調査を行い、当部受診後の受療行動を調査した。
結果と考察
DS群は67名(23.7%)であり、受診前医療機関数(平均値±SE)は2.7±0.12であった。また、追跡調査では51名より有効な回答を得た(有効回答率76.1%)。受診時と同じ症状で「新たな医療機関に受診している」患者(PDS群)は6名(13.7%)で、当部受診後医療機関数(平均値±SE)は0.18±0.07であり、有意にドクターショッピングが抑制されていた。ハイリスク群は147名(51.9%)で、追跡調査では95名より有効な回答を得た(有効回答率64.6%)。当部受診時と同じ症状で「新たな医療機関に受診している」患者は9名(9.5%)であった。
 当部診療への満足度で、DS群では、PDS群、「新たな医療機関に受診している」以外の群(PDS抑制群)ともに満足度が高い傾向が認められた。また、満足度の理由で、PDS抑制群では「診断がついた」「説明に納得した」があわせて約40%であった。一方、ハイリスク群では、統計学的有意差は認めないものの「新たな医療機関に受診している」以外の群で大変満足・満足の割合が高い傾向を認め、そのうちの約3割が「説明に納得した」を大変満足・満足の理由としていた。

結論
心の問題を含めた臓器横断的な診断とそれに基づく患者説明により、患者が納得する診療を行うことのできる総合診療外来では、ドクターショッピングを終息させうることが示唆された。
 

公開日・更新日

公開日
2010-06-22
更新日
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