歯科技工士教育における卒前臨床技能評価試験に関する研究

文献情報

文献番号
200732096A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科技工士教育における卒前臨床技能評価試験に関する研究
課題番号
H19-医療-一般-026
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
末瀬 一彦(大阪歯科大学歯科技工士専門学校)
研究分担者(所属機関)
  • 二川浩樹(広島大学歯学部)
  • 尾崎順男(日本歯科大学東京短期大学)
  • 福間正泰(大阪歯科学院専門学校)
  • 杉上圭三(大阪歯科大学歯科技工士専門学校)
  • 杉田順弘(東洋医療専門学校)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科技工士教育カリキュラムに「臨床実習」が組み込まれる場合、学生の臨床能力に対する到達度を判定するための「臨床技能評価」は必須である。そこで現在、歯科技工士養成機関において実施されている「臨床的実習」の内容や期間などの現状把握を行うと共に、臨床現場における歯科診療所ならびに歯科技工所に対して「臨床技工」に必要な新卒者の技術能力や「臨床実習」の方法などについて調査することによって「卒前教育における臨床技能評価」の意義や内容を検討した。
研究方法
全国歯科技工士教育協議会加盟の64校の歯科技工士養成機関に対して「臨床的実習」の実態、「臨床実習」に対する考え方、「卒前臨床技能評価試験」の内容などについてアンケート調査を行った。また、臨床現場における歯科診療所(800箇所)ならびに歯科技工所(450箇所)に対して新卒歯科技工士に求める技術能力の内容、「臨床実習」や「卒前臨床技能評価試験」の必要性などについて調査を行い、それらの資料をもとに検討を加えた。
結果と考察
アンケート調査の回収は、歯科技工士養成機関100%、歯科診療所ならびに歯科技工所はほぼ同数の約300件であった。卒前教育としての「臨床実習」はすべての領域において80%を超える必要性を認め、他の医療職種と同様に「臨床実習」は知識、技術レベルの向上だけでなく、医療人としての態度育成においても資質向上に大きく寄与するものと考えられた。また、「臨書実習」の方法や内容については「一定の設備基準を満たす歯科医院や歯科技工所」で、予め定められた課題内容について実施すべきである。「臨床実習」を実施するためには卒前に「臨床技能評価試験」を行い、学生の「臨床技能」に対する到達度評価を行うべきであり、一定の評価基準を定め、研修会を受講した評価者がこれに当たるべきである。また「臨床技能評価試験」の内容としては「基礎実習の理解力」のレベルが判定できる課題が望ましい。
結論
歯科医療技術者を養成するための教育の一環として実施される「臨床実習」は、技術力の研鑽だけでなく、医療人としての素養を高めるためにも有用である。しかし、口腔内に装着される医療装置を製作することから「臨床実習」の実施前には「臨床技能評価」によって、技術的能力の判定を行う必要がある。「卒前臨床技能評価試験」の精度を高めるためには研修会になどによって評価基準を定め、公正に行われる必要がある。また、このように行われる「臨床技能評価試験」は現行の「歯科技工士資格試験の実地試験」に代換することも可能である。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732096C

成果

専門的・学術的観点からの成果
歯科技工士養成における「臨床実習」は、基礎的実習の臨床応用編として極めて重要で、多様な臨床模型に対して問題解決型学習が可能であり、単なる模型上の実習だけでなく、患者の口腔内に装着されるという臨場感のなかで実習に取り組め、臨床教育としての効果が高い。しかし、「臨床実習」を実施するにあたっては「臨床技能評価」を行うことによって技術能力に対する到達度を判定する必要がある。
臨床的観点からの成果
歯科技工士養成機関において基礎的な模型実習だけを修業し、患者に全く接することなく歯科技工業務を就業することは、本来口腔内に装着されるべき人工臓器としての役割を果たす補綴装置に対して、単なる「ものつくり」に終始することになる。教育カリキュラムのなかに「臨床実習」を組み込むことによって、歯科医療技術者としての自覚と目的を明確にすることが可能である。
ガイドライン等の開発
「卒前臨床技能評価試験」を実施するにあたっては、「基礎実習の理解力」を判定するためにこれまでの厚生労働科学研究で報告してきた内容の「実技評価」を行うことが妥当で、公平かつ精度の高い技能評価を行うためには、研修会などで評価者のレベルを統一することが必要である。
その他行政的観点からの成果
「臨床実習」を教育カリキュラムの一貫として取り込むためには、現在の二年制教育では時間的に困難であることから修業年限の延長も考慮する必要がある。また、各養成機関において、公平で、精度の高い「卒前臨床技能評価試験」が実施されれば、現行実施されている「歯科技工士資格試験の実地試験」を取りやめ、これに代換することも可能である。これによって「資格試験」は学説試験のみを全国統一試験として実施することが可能となる。
その他のインパクト
歯科技工士教育における「臨床実習」の導入や「卒前臨床技能評価試験」の実施にあたっては、歯科技工士養成機関における設備基準や環境の整備が必要であり、さらには歯科診療所(日本歯科医師会)や歯科技工所(日本歯科技工士会)の理解と協力が必要である。現在多くの医療関係職種においては「違法性の阻却」のもとに「臨床実習」が実施されているが、歯科技工士教育においても厳格な規制のもとに実施されるべきである。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-