医療安全管理専従者の役割と効果に関する研究

文献情報

文献番号
200732092A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全管理専従者の役割と効果に関する研究
課題番号
H19-医療-一般-022
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
池田 俊也(国際医療福祉大学薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 坂口 美佐(滋賀医科大学医学部附属病院)
  • 小林 美亜(国際医療福祉大学小田原保健医療学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成18年度の診療報酬改定において医療安全対策加算が新設され、その要件として医療安全管理専従者を配置することが義務付けられた。しかし、医療安全管理専従者の配置による医療安全活動の実態とその効果については十分に明らかにされていない。本調査では、医療安全対策加算新設から1年経過した時点で、医療安全管理者の配置がどの程度進んだかについて確認するとともに、医療安全管理者が実施している医療安全管理活動の実態を明らかにすることを目的とした。
研究方法
医療安全管理者の配置や活動の実態、その効果に関する調査は、病院管理者および医療安全管理者のそれぞれを対象にして作成した調査票、医療安全管理者へのグループインタビューを通じて行った。医療安全管理専従者の複数配置に関しては、前述した調査票による調査で追加調査の同意を得られた施設の医療安全管理者を対象とした調査票による調査を実施した。また医療安全管理者を複数配置している施設の医療安全管理者を対象としてインタビューも実施した。
結果と考察
医療安全対策加算を取得していない施設のうち、約85%が医療療安全管理専従者を配置することを希望している一方で、人的余裕や財政的余裕がないことなどが障壁となり、配置を進めることができない状況も確認された。医療安全管理者の医療安全管理活動として、安全管理委員会・部門の運営といった組織的な関わり、職員研修などを通じた安全風土の醸成、医療事故・ヒヤリハットの予防や対応などに力が注がれ、改善されている実態が把握された。また病院管理者も同様にその効果を認識していることが確認された。医療安全管理専従者の複数配置の効果は、情報収集や企画・運営等、行動・作業に係わる業務に関して見込まれていた。実際に、医療安全管理業務内容の充実と円滑な遂行に大きく寄与していた。一方、他者への働きかけが必要であり、他者の反応によって成果が影響を受ける業務においては、医療安全管理専従者を複数名配置することだけでは、効果があがりにくい可能性も示唆された。
結論
医療安全対策加算新設から1年経過した時点における医療安全管理専従者の配置の実態、院内の医療安全に関わる活動とその効果に与える影響、ならびに、医療安全管理専従者の複数配置の必要性やその効果等、医療安全を推進するための有益な知見を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732092C