医療者と患者を結ぶ情報伝達手段としての媒介物(人工物)の機能とその安全性に関する研究

文献情報

文献番号
200732088A
報告書区分
総括
研究課題名
医療者と患者を結ぶ情報伝達手段としての媒介物(人工物)の機能とその安全性に関する研究
課題番号
H19-医療-一般-018
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 すが(東京医療保健大学医療保健学部看護学科)
研究分担者(所属機関)
  • 貝瀬 友子(東京医療保健大学医療保健学部看護学科 )
  • 新野 由子((財)医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済機構 研究部 副部長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2005年「今後の医療安全対策」の3本柱の一つが、患者、国民との情報共有と患者、国民の主体的参加の促進である。物(媒介物)は、情報を保持・表示・操作する機能を持つが、使用によってユーザーの認知的能力は拡大され、課題達成や作業の質が向上する。本研究は、情報を媒介物の視点から捉え、目的、対象、手段、提供者、提供方法の実態や取組み経緯を明らかにし、患者―医療者間の情報共有を促進する媒介物の機能と備える要素について検討する。
研究方法
本研究は3段階で実施された。1.文献検索、2.国内病院の情報提供の実態調査、3.海外視察による情報収集。調査はサービス範囲を特定し、チームに対し半構成的面接を実施した。同時に媒介物の提供を受け、その物が伝える情報の目的、対象、手段、提供者の特性から、患者参画に資する情報提供のあり方を考察した。
結果と考察
国内2病院、海外3病院の調査からは、情報は、1.法的義務手続き、2.ガイドライン等で掲示・活用が可能なもの、3.病院独自に開発されたものに分類され、①病院のリスク回避、②業務の効率化、③安全性の向上、④不安の解消、⑤知識の伝達、⑥医療への参加意識の向上、⑦患者の行動変化を促進、の7機能に整理された。受診から入退院の流れに沿った医療者と患者、媒介物の接点、媒介物の機能分類からは、情報は対象の特性に応じて、患者の認知を促し、リスク回避や患者の自立を促進する目的で行なわれていた。また提供は、文書、掲示、ホームページ、口頭、実物等の多様な方法で行われ、医療者の役割と提供内容・基準が設定されていた。以上の結果から考察された患者参画医療のポイントは、①媒介物の『使い方』に着目する、②教育ではなくリスクの共有の視点を持つ、③情報の可視化を図る、④患者・家族と共に事故を防ぐ姿勢を持つ、⑤リスクコミュニケーション論を応用する、⑥conciergeを活用する、⑦確認文書や自記式質問紙を患者の意識・行動変容のツールとする、⑧外来での情報収集・教育機能の強化をはかる、⑨看護職の情報提供機能の強化をはかる、⑩環境からの癒し、代替療法、医療者とのふれあいも不安・緊張を除き治療効果を高める情報である。⑪ネット情報氾濫を踏まえ正確に理解できる・伝える技術が必要である。
結論
今回の結果は、施設の目的や環境の中で生まれたものであり、質の高さに置いて、患者中心の医療、患者参画を促す情報提供モデルとして活用できる多くの要素を有していた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-30
更新日
-