診療ガイドラインの新たな可能性と課題:患者・一般国民との情報共有と医療者の生涯学習

文献情報

文献番号
200732087A
報告書区分
総括
研究課題名
診療ガイドラインの新たな可能性と課題:患者・一般国民との情報共有と医療者の生涯学習
課題番号
H19-医療-一般-017
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中山 健夫(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 稲葉 一人(久留米大学医学部公衆衛生学)
  • 木内 貴弘(東京大学大学院医学研究科医療情報学)
  • 篠原 幸人(国家公務員共済組合連合会立川病院)
  • 杉森 裕樹(大東文化大学スポーツ・健康科学部予防医学)
  • 津谷 喜一郎(東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学)
  • 野村 英樹(金沢大学医学部附属病院総合診療部総合臨床医学)
  • 松下 隆(帝京大学整形外科)
  • 山崎 茂明(愛知淑徳大学文学部図書館情報学科図書館情報学)
  • 吉田 雅博(帝京大学医学部外科学講座)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学大学院 政策科学分野)
  • 水嶋 春朔(国立保健医療科学院人材育成部)
  • 國土 典宏(東京大学大学院医学系研究科外科学講座肝胆膵外科学)
  • 四宮 謙一(東京医科歯科大学大学院整形外科)
  • 森 臨太郎(大阪府母子保健総合医療センター企画調査部計画調査室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
EBMによる診療ガイドラインの作成・利用は国内外で一般化しつつある。その基本的な目的は臨床家・患者の意思決定支援であるが、医療の社会的信頼の回復に向け、診療ガイドラインの新しい役割、可能性を探る意義は大きい。本研究は臨床医や患者会の方々と共に、医療者の生涯教育、患者・介護者の自律を支える情報共有の基点としての診療ガイドラインの可能性を探り、実践的な提言に繋げる。
研究方法
分担課題と共同研究を並行して進め、成果を公開フォーラムで発信し、広く対話の機会を設定する。初年度は国内外の診療ガイドラインの動向を横断的に概括し、課題の整理を進めた。課題に応じて文献的検討、サーベイ、インタビュー調査などを用いた。
結果と考察
診療ガイドラインの今後の課題として、下記を挙げる。
・作成・利用・普及・更新のプロセスの確立→新しく提案されたGRADEシステムの検討。・臨床的エビデンスを得るための、臨床研究・臨床疫学研究の充実・合意形成手法の活用・作成・更新に先立つ、臨床医の診療パターンのモニタリング・“evidence-practice gap”の明確化・臨床領域の特性とエビデンス・レベル(特に外科領域)の再検討・診療ガイドライン作成組織・作成者の利益相反の適切なマネジメントと国内でのルール明確化・患者会との連携推進に向けた基盤整備(患者参加推進のためのガイドライン、患者会データベースなど)成果に一部を2007年11月日本医療情報学会(神戸)・シンポジウム「医療安全とEBM」と2008年3月公開シンポジウム「診療ガイドラインの今・これから(東京)」で報告した。
結論
診療ガイドラインの新しい可能性として「意思決定支援」「コミュニケーション」「医療者の生涯教育」の3点を強調する。
・意思決定支援・・・伝統的な診療ガイドラインの役割。診療ガイドラインの利用者とし医療者と患者に加えて、家族、介護者、支援者を追加する。
・コミュニケーションの基点・・・医療者と患者にとどまらず、医療者間、患者間、医療施設間などさまざまなレベルのコミュニケーションが想定される。
・医療者の生涯教育・・・患者志向の問題意識で専門的知識を継続的に更新するスキルを持つことは、医療者のプロフェッショナリズムの新しい要件ある。診療ガイドライン作成主体は、診療ガイドラインを生涯教育システムとも連携させて、その普及と適切な利用を推進していくことが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-14
更新日
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