日本版EHR(生涯健康医療電子記録)の実現に向けた研究

文献情報

文献番号
200732084A
報告書区分
総括
研究課題名
日本版EHR(生涯健康医療電子記録)の実現に向けた研究
課題番号
H19-医療-一般-014
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
田中 博(東京医科歯科大学情報処理センター)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 通男(浜松医科大学医学部附属病院)
  • 山本 隆一(東京大学大学院情報学環)
  • 野川 裕記(東京医科歯科大学)
  • 辰巳 治之(札幌医科大学大学院)
  • 秋山 美紀(慶応義塾大学総合政策学部)
  • 原 量宏(香川大学医学部附属病院)
  • 吉田 純(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 秋山 昌範(東京医科大学)
  • 宮本 正喜(兵庫医科大学病院医療情報部)
  • 岡田美保子(川崎医療福祉大学)
  • 永田 宏(鈴鹿医療科学大学医用工学部医用情報工学科)
  • 信友 浩一(九州大学大学院医療システム学教室)
  • 岡本 悦司(国立保健医療科学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「生涯健康医療電子記録(EHR: Electronic Health Record)」は国民が自らの健康管理・疾病予防を可能とし、データに基づく国民の疾病予防、医療の効率化に寄与する。日本版EHRの実現に向け、我国の医療制度・医療社会を考究し実現形態に関して社会エンジニアリング、技術、物流的基礎、医療政策、国民経済等多層的かつ集学的に解明する。

研究方法
本研究では標準化・セキュリティ(ポリシー)、地域医療連携、医療経済、評価・シミュレーションの4分科会により進める。2年度は実態調査や小規模実証、3年度は日本版EHR実現への全体像とガイドライン策定を予定する。
結果と考察
【標準化・セキュリティ(ポリシー)】
日本版EHRの基本ポリシー、実現ガイドライン、情報システムの基本形式策定のための調査項目、諸課題の抽出を行う。本年度は日本版EHRは規制によるよりも社会的なコンセンサスを醸成し、医療従事者の意見を反映して実際に利用されるものを目指すべきであるとの結論を得た。
【地域医療連携】
モデルに基づいた実証実験等を通して連携医療におけるIT化の適応性や問題点を検討する。本年度の検討においては国内の先進的事例調査、専門家意見聴取を通じて形態の分類および連携医療が有効と考えられる代表的な疾患との関連性検討を通じて連携医療モデルを抽出した。
【医療経済】
健康保険組合等の特定健康診査・保健指導データ、電子レセプトデータを収集し、特定健康診査・保健指導の中長期的な医療経済評価、進捗状況評価に活用可能な方法論の構築を目指す。本年度は特定保健指導の経済評価としてプロペンシティスコア(傾向得点)を用いた疑似RCTによる評価が可能であることを結論として得た。
【評価・シミュレーション】
マーケティングやシステムダイナミクス等のシミュレーション手法を応用し、患者満足度調査による利用者視点の評価軸開発、効果シミュレーションを行う。本年度は「信頼」にソーシャルネットワークが有用であり「アドボカシー・マーケティング」手法を有用とした。システムダイナミクスモデルによる業務分析シミュレーションにより病院の費用削減、患者安全の向上、病院職員の管理改善に影響を与える対策を可能とした。
結論
本研究を通じて、我が国の医療のintegrity、地域医療の生涯健康医療からの実現、最終的に医療費の適正化、国民の医療行政に対する理解の向上等に寄与することができる。

公開日・更新日

公開日
2008-07-07
更新日
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