看護実践能力育成につながる看護技術教育の方法の開発と評価基準の作成

文献情報

文献番号
200732081A
報告書区分
総括
研究課題名
看護実践能力育成につながる看護技術教育の方法の開発と評価基準の作成
課題番号
H19-医療-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山内 豊明(名古屋大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小山 眞理子(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
集合教育と個別教育との連携し、学生個人の教育成果を蓄積しそれを活用し、各自の成果についての評価方法の開発を目的とした。
研究方法
(1)フィジカルアセスメントの講義の後、シミュレータを使用し演習を行い、演習終了後もシュミレータを自由に使用することができるようにしたうえで、演習の前後に評価を行なった。
(2)約5ヶ月間にわたり呼吸音聴取に焦点をおいた期間を空けた3回連続のフィジカルアセスメント研修を行ない、3回の研修前後でスピーカーあるいはシミュレータを用いて聴き取り検査を実施し回答を評価した。
(3)看護基礎教育機関の学内演習における技術教育の取組みについてのフォーカスグループインタビューを行なった。
(4)看護実践能力につながる「技術教育モデル」に基づき開発した看護技術の教授学習方法を用いて、技術教育プログラムの有効性を検討した。
結果と考察
(1)呼吸音聴取は演習前後の総得点の平均値に有為な差が認められたが、心音聴取は演習前後の総得点の平均値に有為な差が認められなかった。
(2)1回の研修のみで有意な上昇がみられた呼吸音もあれば、3回の研修を経てもあまり教育効果がなかった呼吸音もあった。異常呼吸音では全3回の研修を終了した後の正解率が全て9割を超えていたのに対し、正常呼吸音ではそうではなく、異常呼吸音の方が音の性質に特徴があり、研修により習得されやすい傾向にあることを明らかにした。
(3)看護基礎教育機関では学生の技術の習得に向けて様々な努力しており、臨床への移行のための演習のカリキュラム上の位置づけや運営方法に課題があり、看護技術教育の成果をどのように評価するかについて評価の規準を求めていたことを明らかにした。
(4)状況設定と模擬患者を用いた看護技術教育については、学生が主体的に知識と技術を統合し学習する方法として有効であり、模擬患者の導入は学生に心構えを作り臨場感をもたらすとともに状況判断を学ぶよい機会になったことを明らかにした。
結論
(1)(2)より呼吸音の種類や心音など、聴取技術の教育効果は項目により異なり、必要とされる研修方法やその期間も異なることを明らかにした。
(3)(4)より学習内容や時期を選び模擬患者を活用することが重要と考えられ、看護技術の到達状況の評価については、学生の行動の客観的評価と思考についてのインタビューによる評価を組み合わせることで可能性が見出されることを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2008-06-25
更新日
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