若年看護師向け医療安全教育へのeラーニングの活用

文献情報

文献番号
200732080A
報告書区分
総括
研究課題名
若年看護師向け医療安全教育へのeラーニングの活用
課題番号
H19-医療-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
川村 治子(杏林大学保健学部救急救命学科)
研究分担者(所属機関)
  • 八重樫 文(立命館大学 経営学部 環境・デザインインスティテュート)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先行研究での若年看護師のヒヤリ・ハット事例分析から、業務上の危険知識の欠如が彼らのエラーの重要要因であり、OJTにおける技術習得と同期して関連危険知識を教育することが安全強化上必須であることを指摘した。しかし、そうした教育を集合教育で行うことは時間と場の制約から困難である。そこで、若年看護師が自らの技術習得に合わせて、随時危険知識を学習できるeラーニングシステムを開発し、その有効性を評価するものである。
研究方法
3年計画の1年目である本年度は、実務的でかつ若年看護師の学習への能動性や継続性を引き出す医療安全eラーニングサイトの仕様と授業コンテンツのプロトタイプを開発し、卒後1.2年の看護師5名による形成的評価を行った。さらに、若年看護師のヒヤリ・ハット事例からeラーニングで自己学習が可能な診療の補助7業務の危険知識を整理し、開発すべき全90学習単元の設計を行った。
結果と考察
コンテンツのデザインは、危険知識を看護師の業務手順や行為に合わせた形で提供することと、若年看護師の学習への能動性や継続性を引き出すものとすることの2点を重視し、eラーニングサイト(「e-アプリコットナース」と命名)を開発した。特徴と独創性は、若年看護師に親和性のあるキャラクターの講師が登場して事例解説と発問を行う3分程度の授業動画アニメーションを閲覧しながら学習を進めるところにある。授業動画では、若年看護師の事例をもとに習得すべき危険知識を盛り込み、日常業務の安全遂行に即反映できるものとした。学習者には随時画面上の講師から発問され回答が求められることや、他の学習者の回答を共有できる仕組みを付加し、楽しく、双方向性で、かつ自己学習の孤独感を弱める工夫を施した。
開発した「e-アプリコットナース」の形成的評価のために、若年看護師5名を被験者として、コンテンツ閲覧後に質問紙への回答および聞き取り調査を行った。その結果、デザインが開発目的に則し、学習への能動性・継続性を喚起するものであることが認められた。一方で、動画閲覧部分の操作性、講師キャラクターの種類、より深く学びたい学習者への配慮、学習者がより能動的に参加する工夫に関する改善点が明らかになった。
結論
eラーニングは、看護実務に即した内容で楽しく、有益なコンテンツを開発することができれば、交替勤務や業務が障害となりうる就業時間内の集合教育よりも、有用な医療安全教育システムとなる可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
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