質効率向上と職業間連携を目指した病棟マネジメントの研究

文献情報

文献番号
200732074A
報告書区分
総括
研究課題名
質効率向上と職業間連携を目指した病棟マネジメントの研究
課題番号
H19-医療-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 敏彦(日本医科大学 医療管理学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山昌範(MIT)
  • 加藤尚子(国際医療福祉大学)
  • 中山茂樹(千葉大学工学部)
  • 平尾智広(香川大学医学部)
  • 嶋森好子(京都大学医学部)
  • 坂本すが(東京医療保険大学保健学部)
  • 小林美亜(国際医療福祉大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ここ数年日本の病院では立ち去り型サボタージュ等に見られる医師不足が叫ばれている。その背景には平均在院日数の短縮による病院業務の増加や医療訴訟に対応するインフォームドコンセント業務等の増加が想定される。本研究はこれらの病院、とりわけ病棟業務に対する影響を分析し、経営の改善を図ることにある。
研究方法
本研究ではフィールド観察調査、アンケート調査、歴史統計分析等によって病院経営の実態を分析した。
結果と考察
 歴史的変遷分析におけるOECD分析の結果、日本の病床数は先進諸国と比較して多い方のはずれ値、投入量では少ない方のはずれ値を示し、平均在院日数も多い方のはずれ値であったものが、近年その差が減少してきたことがわかった。病床機能の分析においては、福祉施設的機能を持つ長期ケア病院、外来を主体とする小規模病院、中規模以上の急性期病院の3極が存在し、その真ん中に機能未分化の病院が多数存在していた。近年になって未分化層の施設数が減少していることがわかった。
  フィールド調査の結果、「在院日数短縮」「機能分化」「IT化」「専門・認定看護師の活用」などの経営環境の激変や組織の変革に対応するため、病院レベルや病棟レベルで工夫をしていることがわかった。しかし、ヒトに対する負担・負荷が大きくなり、特に看護師においては、在職年数が短くなり、病棟における看護管理者の業務や看護師自身の価値観などが変わりつつあることがわかった。
結論
今年度の研究を通して、日本の病院経営が大きなパラダイムシフトにあることが判明した。政府の政策により長期ケア施設を病院から分離し、急性期病院の機能を強化した結果、急性期病院内にも機能の分化が起こり、病院内の各部門の位置地付け、各職種の役割、そして医療人と患者関係にも大きな変化が生じている。これは昭和23年に想定された病院の枠組みを超える大きなパラダイムシフトであり、それに対応した新しい病院のあり方、それを支える新たな法体系、教育のシステム、情報システムなどの構築が求められる。来年度はそのために更に踏み込んでタイムスタディや病院の機能の歴史的分析などの研究が必要性と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-06-30
更新日
-