エビデンスに基づく骨折予防ガイドラインの有効性評価と効率的なエビデンスコミュニケーションの実施方法に関する研究

文献情報

文献番号
200732068A
報告書区分
総括
研究課題名
エビデンスに基づく骨折予防ガイドラインの有効性評価と効率的なエビデンスコミュニケーションの実施方法に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-044
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
伊木 雅之(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 玉置 淳子(近畿大学 医学部)
  • 梶田 悦子(名古屋大学 医学部)
  • 中谷 芳美(浜松医科大学 医学部)
  • 小松 美砂(聖十字看護専門学校)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
報告者らが作成した「地域保健におけるエビデンスに基づく骨折・骨粗鬆所予防ガイドライン」(以下、本ガイドライン)の有効性を評価する無作為割付比較試験の介入後調査を行うと共に、他の情報提供方法についての現場の要望を勘案して、より有効で効率的なエビデンスコミュニケーションの方法を立案する。
研究方法
1.平成18年度に介入前評価を受けた100の市町村保健センター等(以下、センター)について、更新された対策がどの程度エビデンスに基づくものになったかを面接調査した。
2.介入群の担当者からの本ガイドラインへの意見、対照群も含めた骨粗鬆症対策に関する情報提供のあり方についての意見を聴取した。
結果と考察
1.介入後調査を実施できたのは96カ所で、骨粗鬆症予防のための指導項目では、牛乳・乳製品摂取、カルシウム摂取やカルシウムサプリメントの使用、ビタミンD摂取、速歩・足腰の筋力トレーニング等の運動について、介入群が対照群に比べてよりエビデンスに沿った指導をするようになっていた。一方、日光浴指導、体重管理指導状況、嗜好品指導状況では、両群間に有意差は認められなかった。
2.疾病予防対策に関する効率的なエビデンスコミュニケーションを実現するために考慮すべき事項は以下のようなものと考えられた。
①ガイドラインは、推奨される作成経過を経て作成され、推奨される様式を備えるべきこと。
②「エビデンスに基づく勧告一覧表」等、勧告を概括できる形式を含めること。
③記述は学術的表現に偏りすぎず、簡潔で明解を旨とすること。
④ガイドライン冊子体を補完する情報提供ツールとして、要約的リーフレット、対策マニュアル、対象者用リーフレットを作成すること。
⑤双方向のコミュニケーションツールとしてホームページや電子メールを活用すること。
結論
市町村で行われている骨折・骨粗鬆症対策は本ガイドラインを配布することによってエビデンスにある側に改訂された。ただし、その程度は大きくはなく、重要な項目は改善されたものの、項目によってばらついた。エビデンスに基づくガイドラインを作成し、配布することの有効性は本研究によって支持されたが、それをさらに高めるためには、ガイドラインを補完するエビデンスコミュニケーションツールの開発が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200732068B
報告書区分
総合
研究課題名
エビデンスに基づく骨折予防ガイドラインの有効性評価と効率的なエビデンスコミュニケーションの実施方法に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-044
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
伊木 雅之(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 玉置 淳子(近畿大学 医学部)
  • 池田 行宏(近畿大学 医学部)
  • 梶田 悦子(名古屋大学 医学部)
  • 中谷 芳美(浜松医科大学 医学部)
  • 小松 美砂(聖十字看護専門学校)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
報告者らが作成した「地域保健におけるエビデンスに基づく骨折・骨粗鬆所予防ガイドライン」(以下、本ガイドライン)の有効性を、骨粗鬆症対策のエビデンス準拠状況をアウトカムとして評価する無作為割付比較試験を行う。さらに、専門家の意見や現場の要望からより有効で効率的なエビデンスコミュニケーション法を立案する。
研究方法
1.AGREE評価票日本語版を用いた形式評価を17人の専門家が実施
2.全市区町村保健センター等1963施設(以下、センター)を対象に骨粗鬆症対策の実施内容について郵送調査
3.協力が得られたセンターから100を無作為抽出し、平成17年度の対策のエビデンス準拠状況を介入前評価した。それらのセンターを無作為に2群に分け、介入群には本ガイドラインを用い、対照群には用いずに対策を更新してもらった。19年度は更新された対策のエビデンス準拠状況を面接調査した。
4.介入群からの本ガイドラインへの意見、対照群も含めた骨粗鬆症対策に関する情報提供のあり方について意見を聴取
結果と考察
1.AGREEによる評価では、本ガイドラインはガイドラインとして推奨される作成経過と様式を有すると評価された。
2.現行の骨粗鬆症対策には、検診の対象や方法、体重管理等の指導内容に改善の余地があった。
3.無作為割付比較試験を完了したのは96センターで、牛乳・乳製品摂取、カルシウム摂取やカルシウムサプリメントの使用、ビタミンD摂取、速歩・足腰の筋力トレーニング等の運動について、介入群が対照群よりエビデンスに沿った指導をするようになった。
4.疾病予防対策に関する効率的なエビデンスコミュニケーションを実現するためには、
①推奨される作成経過を経て作成され、推奨される様式を備えたガイドライン
②「エビデンスに基づく勧告一覧表」等、勧告を概括できる形式
③学術的表現に偏りすぎず、簡潔で明解を記述
④ガイドラインを補完する情報提供ツールの添付
⑤双方向のコミュニケーションツールの活用
結論
市町村で行われている骨折・骨粗鬆症対策は本ガイドラインを配布することによってエビデンスにある側に改訂された。ただし、その程度は大きくはなく、項目によってばらついた。ガイドラインを作成し、配布することの有効性は本研究によって支持されたが、それをさらに高めるためには、ガイドラインを補完するエビデンスコミュニケーションツールの開発が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732068C