標準的電子カルテシステムの導入・普及に関する研究

文献情報

文献番号
200732065A
報告書区分
総括
研究課題名
標準的電子カルテシステムの導入・普及に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-041
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
高林 克日己(千葉大学医学部附属病院企画情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 藤田 伸輔(千葉大学医学部附属病院地域連携部)
  • 鈴木 隆弘(千葉大学医学部附属病院企画情報部)
  • 木村 通男(浜松医科大学附属病院医療情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
電子カルテの開示、セキュリティ特にコンピュータウイルス対策の標準化、データウエアハウス(DWH)における標準化、カルテ記載に用いられる標準的用語の解析およびユーザーからみたときの基本的標準要件について考えた。
研究方法
電子カルテの開示については、SS-MIXと独自の診療録のXMLでの開示方式を組み合わせて作成した。国立大学病院のシステムのコンピュータウイルスに対する脆弱性とその標準的対策を自験例と他大学からの調査をもとに述べた。電子カルテからのDWHの検索利利用について標準的仕様をHL7を用いて検討した。また千葉大学の5万を越える退院時サマリーをメカブで形態素解析したのち、頻要語を抽出し、またTF/IDF法によりDPC病名との一致度を検討した。千葉大学病院の医師からの電子カルテに対する要望をアンケート調査した。
結果と考察
CDAとしての書き出しとXMLによる診療録の開示をあわせ、CDROMに容易に保存できるシステムを作成したが、実際の一般運用となると、カルテ自身の正確度などが開示に耐えられるかが問われることとなった。また欧米の視察の結果、彼らのEHRはサマリー等に限られた内容であり、これは電子カルテ自身が出来上がっていない状況によると考えられた。進む方向が違っているために、また医療制度の違いがあるために、欧米の方向と東アジアでの電子カルテ、EHRの方向は必ずしも同じではないし、欧米に従うだけでなくわが国独自の方向も模索すべきであると考えられる。コンピュータウイルスにおける標準化について自験例から意見をまとめた。DWHについてはHL7を利用したユニバーサルデータウエアハウスとQuery機能を紹介した。カルテ記載からのテキストマイニングによる標準的用語の抽出は、それぞれの疾患の中でどのような内容が記載されるべきかを経験論的に示している。またユーザーから見たヒューマンインターフェースの基本的標準仕様は臨床面から最も端的に必要なものは何かを示しているといえる。
結論
今後さらに検討が必要なもの、また時代の変化で標準化自身が変化をすることも当然ありうるが、それぞれの項目について現時点における標準的な仕様について述べた。特に電子カルテの開示とユニバーサルデータウエアハウスにおける標準化は、医学研究の進歩の上でも重要であると考える。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200732065B
報告書区分
総合
研究課題名
標準的電子カルテシステムの導入・普及に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-041
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
高林 克日己(千葉大学医学部附属病院企画情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 藤田 伸輔(千葉大学医学部附属病院地域連携部 )
  • 鈴木 隆弘(千葉大学医学部附属病院企画情報部 )
  • 木村 通男(浜松医科大学附属病院医療情報部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
電子カルテについて、本研究では1)カルテ開示 2コンピュータウイルス対策 3)電子クリニカルパス作成 4)DWHの検索方式 5)アクセス管理 6)テキストマイニングの応用 7)ユーザーからのニーズの点からの標準化についてそれぞれ検討する。
研究方法
電子カルテの開示をSS-MIXを利用し診療録自身もつける方式を検討した。また欧米における電子カルテ、EHR(electronic health record)についてその状況を検討した。コンピュータウイルスについては大きな事例とその対処法から標準的方式を検討した。パスは従来からのいくつかの方法と、実際の疾患をどのように区分すべきかを考えた。DWH、アクセス管理においてもHL7の利用を考えた。テキストマイニングはDPCの疾患単位でメカブによる形態素解析ののちにTF/IDF法で解析を行なった。またユーザのアンケートからの解析を試みた。
結果と考察
電子カルテの開示は、診療録自身をXMLで抽出表現できる電子カルテ開示システムを作成し、CD-ROMでの配布の試用に供し始めたが、診療録自身の開示に耐えうる正確性、充実が求められる。EHRの動きが盛んな欧米諸国であるが、実際はEMRが不十分な点から医療連携から十分な情報が病院内で利活用されている状況ではない。むしろ日本や韓国の電子カルテの完成度は高く、これを利用した今後のEHRをわが国は提唱すべきであろう。コンピュータウイルス対策については、インターネット接続とはアンチウイルスソフトの定時更新を含む最小限のwhite siteのみとし、かつウイルス監視装置を内部システムにもち、USBメモリーなどの外部媒体の接続に対する運用上の規制を設けること、非常のマニュアルの作成などが標準的最低条件であると結論した。電子クリニカルパスについてはDPC上6桁ごとのパスの作成が有効と考えた。DWHはHL7ver2.5のQuery機能を標準に考えたが、一般化するにはまだ課題が残っている。アクセス管理ではキーを2つ同時に有効とすることで信任、委任機能を考えたが、実行運用は金額面などからできなかった。サマリーからのテキストマイニングにより多くの疾患名を同定できた。ユーザーから見たヒューマンインターフェースの基本的標準仕様は臨床面から最も端的に標準装備すべき機能が何かを示しているといえる。
結論
それぞれの項目につき現時点での標準化仕様を提唱した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732065C