若年肥満者の生活習慣病としての睡眠時無呼吸症候群の位置づけとその治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200732064A
報告書区分
総括
研究課題名
若年肥満者の生活習慣病としての睡眠時無呼吸症候群の位置づけとその治療法の確立に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-040
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
栗山 喬之(千葉大学大学院医学研究院加齢呼吸器病態制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 巽 浩一郎(千葉大学大学院医学研究院加齢呼吸器病態制御学 )
  • 陳 和夫(京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)
  • 成井 浩司(虎の門病院睡眠センター)
  • 佐藤 誠(筑波大学大学院睡眠医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
若年者(40歳以下)において、睡眠時無呼吸症候群(SAS)はメタボリックシンドロームの危険因子になるかということを、高齢者(65歳以上)との対比という観点から検討した。
研究方法
睡眠時無呼吸症候群の評価項目として無呼吸低呼吸指数(AHI)を測定した。AHIの値により、対象症例を5群に分類した。Non-SAS;AHI < 5、軽症SAS;5 &#8804; AHI <15、中等症SAS;15 &#8804; AHI < 30、重症SAS;30 &#8804; AHI < 60、最重症SAS;60 &#8804; AHI。その上で、若年者532例(40歳以下)、高齢者297例(65歳以上)に分類して、各群の臨床的特徴を検討した。
結果と考察
高齢者群では、軽症~重症の睡眠時無呼吸症候群でBMIの有意差は認めず、最重症の睡眠時無呼吸症候群になりはじめて、他の睡眠時無呼吸症候群と比較して有意にBMIは高値であった。一方、若年者群では、軽症よりも重症の睡眠時無呼吸症候群の方がBMIは高値、中等症よりも最重症の睡眠時無呼吸症候群の方がBMIは高値であり、肥満の程度と睡眠時無呼吸症候群の重症度により強い関係が認められた。若年者および高齢者群におけるメタボリックシンドロームの合併率は、若年者および高齢者群ともに、合併率にはSAS重症度別群間で有意差を認めた。すなわち、睡眠時無呼吸症候群の重症度は、若年者および高齢者群の双方において、メタボリックシンドローム成立の要因となっていた。一方、SASの重症度を合わせて、若年者と高齢者群を比較すると、軽症SASおよびNon-SAS群においてのみ、高齢者群でメタボリックシンドロームの合併率が有意に高値であった。睡眠時無呼吸症候群がメタボリックシンドロームの危険因子になっているかどうかを、多変量ロジスティック回帰分析にて検討した結果、若年者群と老年者群では異なる結果を得た。若年者群では、男性、加齢、BMIさらに軽症SAS、中等症SAS、重症SAS、最重症SASのすべてが危険因子になっていた。一方、高齢者群では、BMI、最重症SASが危険因子になっていた。
結論
若年者では、睡眠時無呼吸症候群の重症度に関係なく、睡眠時無呼吸症候群の存在がメタボリックシンドロームの危険因子となるが、高齢者群では、最重症SASになるとメタボリックシンドロームの危険因子となることが判明した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200732064B
報告書区分
総合
研究課題名
若年肥満者の生活習慣病としての睡眠時無呼吸症候群の位置づけとその治療法の確立に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-040
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
栗山 喬之(千葉大学大学院医学研究院加齢呼吸器病態制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 巽 浩一郎(千葉大学大学院医学研究院加齢呼吸器病態制御学)
  • 陳 和夫(京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)
  • 成井 浩司(虎の門病院睡眠センター)
  • 佐藤 誠(筑波大学大学院睡眠医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
若年者(40歳以下)において、睡眠時無呼吸症候群(SAS)はメタボリックシンドロームの危険因子になるかということを、高齢者(65歳以上)との対比という観点から検討した。さらに、防風通聖散による漢方治療の有用性を検討した。
研究方法
睡眠検査を施行してSASの診断が確定した患者を対象として、メタボリックシンドローム成立に及ぼす年齢の影響を検討した。さらに、防風通聖散の効果を検討した。
結果と考察
若年者群では、肥満の程度とSASの重症度により強い関係が認められた。SASの重症度は若年者および高齢者群の双方において、メタボリックシンドローム成立の要因となっていた。SASがメタボリックシンドロームの危険因子になるかどうかに関して、若年者群では男性、加齢、BMIさらに軽症SAS、中等症SAS、重症SAS、最重症SASのすべてが危険因子になっていた。一方、高齢者群では、BMI、最重症SASのみが危険因子になっていた。この結果からは、若年者ではSASの重症度に関係なく、SASの存在がメタボリックロームの危険因子となるが、高齢者群では、最重症SASになるとメタボリックシンドロームの危険因子となることが判明した。SASにおける体内脂肪組織の減少は、一義的には上気道周囲脂肪の低下をもたらし、また腹部脂肪の減少は横隔膜機能の改善 / 動脈血酸素分圧の改善をもたらし、睡眠時無呼吸症候群の病態改善につながる。治療開始時にCPAPが必要であった症例でも、減量療法が有効な場合には、CPAPからの離脱が可能になる。防風通聖散を食事療法・運動療法と共に服用することにより一部症例では減量療法に効果があった。体重減少がみられた症例の方が、より若年であった。体重減少のみられた患者の一部でCPAP離脱が可能であった。
結論
睡眠時無呼吸症候群の健康に与える影響は年齢の影響を受けることが判明した。今後のメタボリックシンドローム健康診断にも、睡眠時無呼吸症候群を項目の一つとしていれるべきと考える。睡眠時無呼吸症候群は日中の活動性が低下する病態であり、日中活動性の低下は、肥満症に対する運動療法推進の妨げになる。特に若年者においては、睡眠時無呼吸症候群の治療を施行しながら肥満症に対する治療を行う必要性が認識された。

公開日・更新日

公開日
2008-03-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732064C