死体検案業務の質の確保・向上に関する研究

文献情報

文献番号
200732058A
報告書区分
総括
研究課題名
死体検案業務の質の確保・向上に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-034
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
1,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

文献情報

文献番号
200732058B
報告書区分
総合
研究課題名
死体検案業務の質の確保・向上に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-034
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 智史(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田 謙一(東京大学大学院医学系研究科法医学教室)
  • 木内 貴弘(東京大学医学部附属病院)
  • 稲葉 一人(姫路獨協大学法科大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療事故の再発予防や医療の質の向上のための社会的基盤の改善を目指して、異状死の取り扱いに関わる体制整備や検案・解剖の質の向上に寄与するための政策提言を行うことを目的とした。
研究方法
1.死体検案研修プログラムの評価(研修、意見調査)、2.医療事故調査の分析(事例分析)、3.司法解剖情報非開示の問題分析(争訟化遺族調査)、4.英国の検視法廷での法医解剖の実態に関する研究(現地調査)、5.医療関連死届出制度(大学に対する意識調査)、6.患者・死者の個人情報の取扱い(文献調査)、7.異状死の検案・解剖の現状(文献調査)、8.医療者のコミュニケーション能力向上(介入研究)、9.医療事故等情報収集におけるIT活用(現地調査)等に関する研究を行った。
結果と考察
1.死体検案研修閉講時には、実践に対する自己評価の大幅な改善が認められた。
2.事故調査委員会設置時期や委員登用、事故原因の分析や評価項目などは様々であった。司法解剖が行われた8事例では、解剖情報が医療機関に開示されず委員会の原因究明に影響が及んでいた。
3.死亡した病院内での病理解剖を拒否した遺族も多かった。解剖を経験した多くが結果説明を求めて様々な行動を取った。解剖後、説明を受けるまでの期間は、病理解剖では多くが死亡から半年以内なのに対し、司法解剖では2年以上が50%以上であった。
4.英国においても、コロナー解剖の約1%が医療行為に起因した医療関連死であるとされたが、高齢者では、医療関連死なのに、虚血性心疾患等と診断される事例が多かった。
5.内科・外科を問わず、事後の死因に関する説明に対する遺族の納得があれば、届け出ないほうに傾く。
6.異状死、医療関連死の死因調査情報は、再発を予防し、遺族や関係者の真相究明の願いに応える重大な価値と役割がある。
7.検案は、診療経過中の死亡について「法医学的異状の有無を判断する」ことが重要で、届出をし、解剖によって死因を公正に決定することを導く重要な役割がある。
8.医療現場における医療者間でのコミュニケーション能力を高めるための研修会を1年間行った結果、能力が高まった。
9.医療関連死症例をデータベース化することは、クリニカルリエゾンサービスの質を高めるために重要である。
結論
死体検案に携わる医師の資質向上のための研修は、ニーズが高く、研修も有益であった。異状死・医療関連死への対処システムは、医療の質の向上や国民の信頼構築のための重要なインフラであり、わが国でも早急に整備すべきである。

公開日・更新日

公開日
2008-05-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732058C