診療ガイドラインによる診療内容確認に関する研究

文献情報

文献番号
200732055A
報告書区分
総括
研究課題名
診療ガイドラインによる診療内容確認に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-031
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小野木 雄三(国際医療福祉大学三田病院 放射線医学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 廣瀬 康行(琉球大学医学部附属病院 医療情報部長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療従事者が診療ガイドラインに即していない診療を行った場合、半自動的に警告を受ける環境、もしくは患者が受けている診療がガイドラインに則しているか否かを自ら確認することのできる環境を実現するための手法構築を目標として、前年度には診療ガイドラインの内容分析、項目の抽出と補完、病院情報システム上に存在する項目とのマッチング調査、診療ガイドラインに必要な記述形式に関する調査と試験的実装を行った。今年度の目的は診療ガイドラインの知識表現に意図実現過程として小手順を導入すること、診療ガイドラインの電子的知識表現を改善すること、判断に必要な情報が欠落する場合の検討を行うこととした。
研究方法
意図実現過程としての小手順に関しては先行研究であるCSX臨床思考過程モデルを使用した。診療ガイドラインの材料としてはMINDSで公開されている「高血圧診療ガイドライン(2004)」を利用し、ガイドラインの記述内容をフローチャートに変換した。次にこれをGLIFに準拠した電子的構造化表現に変換した。この際に理解や記述が容易な簡易表現形式を開発・利用した。これをAllegro Common LISPを使って推論エンジンであるRacerProの知識表現形式に変換した。次に高血圧診療ガイドラインの内容を判断樹として対話的に追うシステムを構築した。以上を繰り返して知識表現を改良した。判断に必要な情報が欠落する場合に必要となる推論においても、この知識表現形式を利用した。
結果と考察
CSX臨床思考過程モデルを検討し、診療ガイドラインモデルに適用可能であることが示された。知識表現形式の改良により、客観的な検査値等から判断ロジックを通じて命題の真偽値を得ることが可能となった。知識記述に診療行為の小手順を導入し、意図実現単位の集合として記述することを検討し、いくつかの試案を得た。判断に必要な情報が欠落する状況を検討した結果、情報欠落により多量の不要な結果が生じるが、前提条件の提示・選択による人間の知識検索支援、特に診療ガイドライン中に暗黙的に仮定されている診療ブロック(小手順やその集合)を考慮した検索が重要であった。また診療ガイドライン知識構造から禁忌医療行為という確実な知識だけを取り出して活用する方策が示された。
結論
診療ガイドラインの内容を電子的に記述するための知識表現形式を改良し、診療過程を意図実現という観点から分割した小手順の記述や知識を検索することの重要性が示された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-