新生児重症心疾患に対する予後向上のためのリアルタイム心エコー動画像による遠隔診断と新生児心疾患救急診療システム確立に関する臨床研究

文献情報

文献番号
200732053A
報告書区分
総括
研究課題名
新生児重症心疾患に対する予後向上のためのリアルタイム心エコー動画像による遠隔診断と新生児心疾患救急診療システム確立に関する臨床研究
課題番号
H18-医療-一般-029
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
越後 茂之(国立循環器病センター 病院、小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 司朗(福岡市立こども病院 循環器科)
  • 磯田 貴義(国立成育医療センター 循環器科)
  • 大月 審一(岡山大学 小児科)
  • 安河内 聰(長野県立こども病院 循環器科)
  • 富田 英(昭和大学 小児科)
  • 富松 宏文(東京女子医科大学 循環器小児科)
  • 花井 荘太郎(国立循環器病センター 研究所 脈管生理部)
  • 小林 俊樹(埼玉医科大学 小児循環器科)
  • 中村 好一(自治医科大学 公衆衛生)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究目的は、安価な既存のシステムとインターネットを使用して、新生児医療施設あるいは地域病院と小児循環器診療中核施設の間でリアルタイム心エコー動画転送による新生児心疾患の遠隔診断を行い、迅速な初期診断、的確な初期治療がもたらす新生児重症先天心疾患の予後の改善、費用対効果、必要な器材と画像の質を分析し、遠隔診断による “新生児心疾患診療モデル”を提起することにある。
研究方法
それぞれの診療圏に地理的な特色を持つ13小児循環器中核診療施設を中心とし、これらの施設と遠隔診断を行う新生児医療施設や地域病院を選定した。セキュリティーに十分配慮した既存の安価なシステムとインターネットを使用して、リアルタイム心エコー動画転送による遠隔診断システムを構築し、1)遠隔診断に必要な器材の性能とリアルタイム転送動画像のクオリティー、2)遠隔診断前後の診断ならびに最終の確定診断の一致率、3)遠隔診断とこれに基づく初期治療後の安定した状態での専門医療施設への搬送がもたらす新生児重症先天心疾患の予後改善の有無、費用対効果などを検討する。
結果と考察
初年度は、研究プロトコールを作成し、小児循環器中核施設の過半数で倫理委員会の研究承認を得た。2施設で試験的に心エコーリアルタイム動画像の送受信を行い、画質が良好であることを確認した。今年度は、全13施設で倫理委員会の研究承認を得、全施設で遠隔診断システムの構築を終了した。また多数の新生児医療施設から協力の確約を得た。すでに一部の施設間ではこのシステムによる実際の遠隔診断を開始し、診断の正確さについて非常に良好な結果を得ている。来年度は全施設で遠隔診断を開始してデータを集積し、診断精度について検証する。また新生児心疾患の予後向上についての検討を行う。遠隔診断による“新生児心疾患診療モデル”の有用性と経済性が実証されれば、全国レベルの安価で操作が容易な診断網の早期確立が可能になり、迅速で正確な診断と適切な初期治療によって、重症新生児心疾患の生命予後とQOLの大幅な改善が期待できる。またこの遠隔診断網は、他の小児心疾患や胎児心疾患にも利用可能である。
結論
インターネット経由心エコー動画リアルタイム転送像の画質は良好で,正確な診断が可能であることが確認された。全国レベルの安価で操作が容易な小児心疾患遠隔診断網の早期確立が可能と思われる。

公開日・更新日

公開日
2008-08-11
更新日
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