標準的電子カルテ基盤上での医療安全の実現と評価に関する研究

文献情報

文献番号
200732052A
報告書区分
総括
研究課題名
標準的電子カルテ基盤上での医療安全の実現と評価に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-028
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
木村 通男(浜松医科大学医学部附属病院医療情報部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
定型文書としての各種報告書を静岡県版電子カルテシステムから作成し、受け手側も人手を介さない自動集計を可能とする。感染症のパンデミック(爆発的拡大)時にもその予兆をつかみ、自動で情報を収集する機能を試作する。
研究方法
静岡県版電子カルテシステムの一部である定型文書作成機能を発展させ、感染症などの報告形式をHL7 CDA R2規格で作成する。このデータの形式標準化により、受け手側も人手を介さない自動集計が可能となる。更に臨床データベースに特定薬剤の消費の急増、特定抗体の検出、特定微生物培養結果等の自動モニタリング機能を開発、実装し、感染症のパンデミック時に際しても情報を自動収集する機能のプロトタイプとする。
結果と考察
まず、疾病など、多目的に利用できる文書形式を国際標準規格HL7 CDA R2に準拠して策定した。次に、この文書形式の日本語版及び英語版を作成した。これは、日本HL7協会を経由して、医療情報標準化推進協議会(HELICS)の推奨規格となった。更に、これを病院で稼動する文書作成システム上で「スタンプ化」し、病院情報システムでの記述を可能としたシステムを開発した。この開発により、電子カルテ・病院情報システムでの記述とは別に疾病報告を書く必要がなくなることが期待される。また、今回の最大の成果といえるのは、指定した薬剤の使用、検体検査結果、特定所見項目が生じるとモニタする側にメールが自動で送られる機能を開発したことである。実際に浜松医大病院では、パナルジンの新規投与があるか、ティーエスワン投与後にリンパ球が下がっているケースがあるか、と言う様なチェックが自動で毎日なされている。
結論
疾病対策になる文書作成システムを国際標準規格であるHL7 CDA R2で作成することが出来た。浜松医大病院での日々の処方、注射、検体検査のデータをもとに特定薬剤使用、特定検査結果、及び、これらの時系列複合チェックを自動でおこない、メールで報告するシステムを実現した。このようなモニタシステムは内外に例を見ない。実際に浜松医大病院で利用されている。今後は、地域での実運用、つまり疾病対策のIT化による簡便、迅速化を目指すこととなる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-