都道府県における医療計画の現状把握と分析に関する研究

文献情報

文献番号
200732037A
報告書区分
総括
研究課題名
都道府県における医療計画の現状把握と分析に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-012
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学大学院政策科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 河口 洋行(国際医療福祉大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
GISを用いて周産期医療ならびに小児救急医療のアクセシビリティに関する実態把握を行った。さらに埼玉県と茨城県の2次救急体制の集約化シミュレーションを行い、救急医療体制の集約化がアクセス時間に及ぼす影響を調べた。また、北米ER型システムとの比較から本邦における救急医療システムの多様性とその問題点および訪問看護の実態を明らかにすることが目的である。
研究方法
GIS(Geographical Information System)ソフトウェアを用い、各救急医療体制の分析を行った。救急医療システムと訪問看護の実態調査は、担当者の聞き取り調査ならびに全国的規模のアンケート調査を実施した。
結果と考察
最寄りの母子医療センターおよび小児救急施設までのアクセス時間は、15分以内に到達可能な人口割合では都道府県のばらつきも大きく格差が見られた。埼玉県と茨城県の2次救急体制の集約化は種々の条件によりアクセス時間が異なり、いかなる医療資源再配分策が適切であるか検討し政策的示唆を得た。北米型救急システムについては、そのままの形で導入/運用していくことは難しいとの結果が得られた。訪問看護の実情は、業務負担感が多いとの回答が70.5%を占めていた。
医療資源の適正配分を考える上でGISが有用なツールであることが明らかになった。日本型のERの構築に際しては、救急部門と各診療科の連携、救急加算を設けるなど診療報酬上の優遇措置などが不可欠である。訪問看護サービスの充実のためには、報酬の引き上げなどの政策が必要である。
結論
国民に対して公平な救急医療体制の提供は至上命令であるが、救急アクセス時間の短縮と救急施設の充実や機能分化との間には、いわゆるトレードオフ関係があるので、それを念頭において最適なバランスを取る必要がある。本研究により全国の三次救急医療提供体制の地理的・時間的問題点が描出されたが、今後は、その結果を医療計画の改善に活かすことが重要であると考える。訪問看護については、診療報酬や医療計画の中でもより明確に位置づけて、展開していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
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