市民参加型地域緩和ケアシステム「家で死ねるまちづくり」の開発と評価

文献情報

文献番号
200732033A
報告書区分
総括
研究課題名
市民参加型地域緩和ケアシステム「家で死ねるまちづくり」の開発と評価
課題番号
H18-医療-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小松 浩子(聖路加看護大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 井部 俊子(聖路加看護大学 看護学部)
  • 川越 博美(訪問看護 パリアン)
  • 大久保(吉川) 菜穂子(聖路加看護大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、わが国の地域緩和ケアを発展させ、家での死を選んだ市民が当たり前に家で最期の時を過ごすことができる地域を創るため市民が参加し専門職や行政との協働による地域包括的緩和ケアモデル「家で死ねるまちづくり」を開発することを目的とする。
研究方法
 今年度は、1)地域包括的緩和ケアシステムにおける在宅緩和ケアチーム基準の作成、2)市民ボランティアグループ活動のプロセス評価及び市民ボランティアと行政との協働にむけての組織化の構成要素抽出のためのフォーカスグループインタビュー、3)海外の地域緩和ケアシステムとの現状比較、4)1)、2)、3)の結果に基づき「市民参加型地域包括ケアシステムモデル」の構成要素をまとめ、モデルの概念枠組みを考案していく。
結果と考察
 在宅緩和ケアチーム基準は、24時間ケア、ケアマネジメント、コミュニケーション、疼痛緩和、スピリチュアルケア、死の教育と看取りなどの12項目に具体的な基準内容を加え実践に活用できる内容とした。今後は基準を試用し妥当性・有効性の検証を行う必要がある。市民ボランティアグループの活動プロセス評価及びフォーカスグループインタビューからは、住み慣れた場所で最期まで過ごすことができる人間関係作り、尊厳と自律性を尊ぶ支え合いのネットワーク作りなどの重要性が明らかになった。韓国との緩和ケアの国際比較からは在宅緩和ケアを提供するチームの一員としてボランティアに期待される役割の明確化とボランティア育成の基盤づくりを日本の実情に合わせて行う重要性が明らかになった。地域包括的緩和ケアシステムモデルの概念枠組みの考案からは、医療システム、介護システム、人材・制度・ネットワークを含む地域力の3つの主要要素が見出された。これらが効果的に連携・協働できるケア提供システムとして機能するためには、現時点で訪問看護ステーションがその中心的役割を担えると考えた。
結論
 地域緩和ケアシステムの開発をめざし、在宅緩和ケアチーム基準の作成、市民ボランティアグループ活動の組織化と評価及び行政との協働に向けての組織化、地域緩和ケアシステムの韓国との現状比較、地域包括的緩和ケアシステムモデル開発、を行った。その結果、地域緩和ケアシステムの概念枠組みとして、医療システム、介護システムのほか、地域力という特徴的な要素がみいだされ、それは地域緩和ケアの促進、持続可能性をもたらす上で不可欠と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
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