「学習処方箋」を用いた病院図書室機能の活性化と協働の医療推進に関する研究

文献情報

文献番号
200732029A
報告書区分
総括
研究課題名
「学習処方箋」を用いた病院図書室機能の活性化と協働の医療推進に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
郡司 篤晃(特定非営利活動法人医療の質に関する研究会)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎喜比古(東京大学大学院健康社会学分野)
  • 福井次矢(聖路加国際病院)
  • 洲之内廣紀(河北総合病院)
  • 小西敏郎(NTT東日本関東病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、病院内に患者図書室を設置し、その機能を活用することによって、診療に関する説明の質と効率の向上し、患者の理解と納得を促進することにより、協働の医療が推進されることを実証することを目的とする。図書室機能を活性化するための一つの具体策は、医師が「学習処方箋」を出すことによって、医師をはじめ他職種との協力と患者の参加により、「協働の医療」のモデルシステムを構築することである。まず、糖尿病から始め、漸次他科へも拡大する。
また、本研究で蓄積されたノウハウを他施設にも普及させたい。
研究方法
 本研究は、仮説検証型の研究ではなく、モデルとなるシステムを開発するプロセス研究である。即ち、患者図書室を実際に設置運営しつつ、研究・開発と評価を繰り返し、より良いシステムを構築することである。また、その限界と問題をも明確にする。
結果と考察
2006年4月から2008年3月までの図書室利用者数は、12,000名を超えた。一日の平均利用者数は約20名である。糖尿病のExpert Patientプロジェクトを立ち上げた。外来及び入院の糖尿病患者を対象に、医師が「学習処方箋」を発行し、その指示の優先順位に従って、クイズを解き、DVDを見、さらにパンフレットによって学習するシステムを開発した。
本年度は、本システムが知識の向上にどの程度寄与するかを評価し、患者の知識向上にはきよしたが、クイズの設問については改善すべき点があることが示された。このような評価と改善を繰り返すことによって、糖尿病に関する知識評価テストが完成に近づいていくであろう。
糖尿病患者自身の「病の経験」が医療者と共有されることが血糖コントロールの維持に影響しているのではないかという問題意識で、糖尿病自己管理維持を向上するための示唆を得るために、糖尿病患者を対象にインタビュー調査を実施しつつある。糖尿病の管理でもっとも困難なのは栄養管理である。そこで、携帯電話あるいはディジタルカメラによる食事の映像からエネルギー量を推定し、栄養摂取のコーチングシステムを構築するため、基礎データベースを構築しつつある。
来年度は、これらを統合して、インターネットによる生活学習支援システムを構築することを検討したい。
ネット上でアクセス可能なコンテンツの評価の方式を考案した。今後、その妥当性を検証したい。

結論
 患者図書室は実施可能であり、学習処方箋による図書室の活用は有効であることが示された。

公開日・更新日

公開日
2008-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-02-04
更新日
-