集積された医療事故事例の予防可能性の検証と防止のために必要となる費用に関する研究

文献情報

文献番号
200732026A
報告書区分
総括
研究課題名
集積された医療事故事例の予防可能性の検証と防止のために必要となる費用に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大道 久(財団法人日本医療機能評価機構)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 剛(自治医科大学附属病院)
  • 寺崎 仁(財団法人日本医療機能評価機構)
  • 齋藤 剛(財団法人日本医療機能評価機構)
  • 遠矢 雅史(財団法人日本医療機能評価機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、事故防止に必要となる費用を把握する方法を検討するとともに、それに基づいて研究協力病院に予備的な調査を実施し、医療安全確保に投入されている予算・費用の概要を明らかにすることである。
研究方法
認定病院から重大な事故事例の中で、頻度の高い気管チューブトラブル関連事例、薬剤誤投与関連事例、手術・処置部位間違い・患者取り違え関連事例、胃管カテーテル誤挿入関連の事例を、それぞれ10例前後を取り上げ再発防止に投入された人的・物的資源について分析を行った。また、医療安全確保のための予算・費用の把握については、多用な規模と機能を持つ11病院の医療安全管理者を中心とする研究協力者会議を本年度も継続して開催し、医療安全確保のために投入されている予算・費用について分類・整理して、各病院の現況について予備的な調査を実施した。
結果と考察
調査の結果では、医療安全のために投じられている費用の病院の総費用に占める割合は、規模と機能に応じて0.9-2.2%に分布した。また、総人件費における医療安全関連人件費の割合は、2.3-4.2%の間に分布した。そして、医療安全確保のための総費用における人件費の割合は47-74%の間に分布した。
 一方、集積された事故事例から、頻度が高い気管チューブトラブル関連事例、薬剤誤投
与関連事例、手術・処置部位間違い・患者取り違え関連事例、胃管カテーテル誤挿入関連
事例の4群を抽出し、事例を報告したそれぞれの病院での再発防止に向けた取り組みを検
証するとともに、必要となった費用を推定する作業を進めている。
結論
 医療安全確保のために、病院運営においてどの程度の予算・費用を投入すべきかについては、病院管理者のみならず医療安全担当者にとっても当面の重要課題となっている。予算の費目とそこに含まれる費用を定義して、医療安全のためのコスト算出の共通的な手順と方法について合意し、広く適用して医療機関相互に比較検討してゆくことが求められている。今年度の検討により、一定の費目の整理と試行的な調査を実施したことは、各医療機関のみならず、医療行政にとっても有用であったと考えられる。医療安全に関する苦情処理や相談業務に要する人件費が相当の割合になることが明らかになりつつあるが、これについては、要請に応じて当局の担当者にも情報提供をしたところである。

公開日・更新日

公開日
2008-07-10
更新日
-