電子カルテシステム等の導入による医療の安全性と質の改善の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200732024A
報告書区分
総括
研究課題名
電子カルテシステム等の導入による医療の安全性と質の改善の評価に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-027
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
興梠 貴英(東京大学大学院医学系研究科 健康医科学創造講座)
研究分担者(所属機関)
  • 永井 良三(東京大学医学部附属病院 循環器内科)
  • 眞鍋 一郎(東京大学大学院医学系研究科 医療ナノテクノロジー人材養成ユニット)
  • 林 同文(御茶ノ水聖橋クリニック)
  • 岡田 吉弘(サピアタワークリニック)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療安全向上のためには予め薬剤相互作用をチェックした上で処方することが重要である。今年度は薬剤相互作用検索システムの実装を行い、その有用性を検証することを目的とした。また本研究においては、臨床情報から有益な知見を得ることを目的としているが、そのためには臨床現場において用いられているツールが使いやすく、データを抽出しやすいものである必要がある。今年度は現場で用いられている循環器診療支援システムの改良、データ抽出ツールの改良を行い、それらを用いて臨床情報の解析を行うことも目的とした。
研究方法
我々は薬剤添付文書から薬剤相互作用情報を抽出し、その情報を元に検索システムの実装を行った。さらに同システムを用いてこれまでに既知の薬物相互作用をどの程度検出できるかを検証した。また、これまで臨床の現場に導入されてきた臨床情報入力・抽出ツールの改良、およびこれまでに臨床データベースに蓄積されてきたデータの解析を行い、虚血性心疾患治療の成績を分析した。
結果と考察
薬剤相互作用検索システムについてはウェブブラウザから検索できるものを実装した。同システムが既知の薬物相互作用をどの程度検索できるかを検証したところ、これまで他の薬剤と相互作用を起こすことが臨床的にもよく知られている薬剤に関しては十分に正確な検索結果が返ってくるが、理論的には相互作用が考えられる薬剤の組み合わせでも正確な検索結果が返ってこないことがあり、薬剤添付文書に記載された情報の改良が必要であることが示唆された。
また、改良されたツールを用いて心臓を養う冠動脈が慢性的に完全閉塞した病変に対する治療成績を調査した。その結果デバイスの違いによる治療効果に大きな差があることが分かった。

結論
薬剤相互作用検索システムの実装を行い、実際に薬剤間相互作用を検索した結果、検索システム自体には一定の有用性が認められるものの、薬剤添付文書に記載された情報が不十分であり、将来的には薬剤添付文書に記載される情報や形式に改良を加える必要があることが分かった。
 また、改良されたツールを用いてデータ解析を行ったところ、デバイスの違いによる治療効果に大きな差があることが分かり、そこで得られた知見を臨床現場にフィードバックすることにより医療の質や安全性向上に役立てられることが分かった。臨床研究を推進し、医療の質向上に役立てるためには今後もこうした研究を継続することが重要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200732024B
報告書区分
総合
研究課題名
電子カルテシステム等の導入による医療の安全性と質の改善の評価に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-027
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
興梠 貴英(東京大学大学院医学系研究科 健康医科学創造講座)
研究分担者(所属機関)
  • 永井 良三(東京大学医学部付属病院 循環器内科)
  • 眞鍋 一郎(東京大学大学院医学系研究科 医療ナノテクノロジー人材養成ユニット)
  • 林 同文(御茶ノ水聖橋クリニック)
  • 岡田 吉弘(サピアタワークリニック)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究全体ではITを活用した循環器診療支援システムを臨床現場に導入し、循環器領域における臨床的課題を整理し、臨床現場で発生する情報を分析し、分析結果を診療の質並びに安全性向上を図ることを目的とした。
研究方法
初年度は、循環器診療において大きな比重を占める虚血性心疾患の治療実態を記録し、レポートを作成するためのシステムの構築、臨床情報と心臓カテーテルレポートシステム情報の統合、さらに電子的に蓄積された情報を有効活用する上で必要なデータフォーマットの検討、データ標準化の上で重要である薬剤・病名マスターの検討作業を行った。第二年度は、初年度において実装検討を行ったテキストマイニングシステムの実装、それを用いた既存の医学情報からの臨床上有益な知見の抽出・検討、また同テキストマイニングシステムを用いた薬剤相互作用検索システムの実装検討を行った。第三年度は第二年度に実装検討を行った薬剤相互作用システムの実装、ならびに心臓カテーテルレポートシステムからのデータ抽出ツールの改良を行い、実臨床におけるデバイスの成績データを抽出し医療の質向上に資するデータを得た。
結果と考察
初年度において構築し臨床現場に導入したカテーテルレポートシステムは虚血性心疾患検査・治療の詳細なデータを収集する上で有用なツールであり、第三年度における抽出ツールの改良により、使用デバイスによる治療成績の差を短期間に抽出することが可能であった。また薬剤相互作用検索システムや既存の文献を対象にした臨床知の抽出も有用であることが分かった。
結論
本研究においては循環器診療支援データベースシステムの維持・改良、虚血性心疾患診断・治療支援システムの構築、連想検索技術を応用した既存文献からの臨床知の抽出、薬剤相互作用検索システムの構築を行い、臨床現場において用いてきた。これらにより、治療デバイスによる治療成績の差を比較的短期間に抽出し、その知見を臨床現場に返すことにより医療の質向上に役立てることが可能であることが分かった。一方、薬剤相互作用検索システムを構築し、その有用性を検証したところ、参照データとして用いた薬剤添付文書に形式・内容上改善すべき点があることが分かった。これまで、臨床の実態をITを活用して観察し分析した研究は他にほとんどなく、本研究の成果は非常に貴重であると考えられると共に今後も同様の研究を継続していくことが重要であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732024C