在宅療養者の看取りにおける訪問看護師と医師との連携に関する研究

文献情報

文献番号
200732017A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅療養者の看取りにおける訪問看護師と医師との連携に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-020
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
川越 厚(ホームケアクリニック川越)
研究分担者(所属機関)
  • 岡部 健(岡部医院)
  • 矢野 栄二(帝京大学 医学部)
  • 的場 元弘(国立がんセンターがん対策情報センター)
  • 平林 勝政(國學院大學 法科大学院)
  • 阿部 郷子(東電パートナーズ株式会社 介護・看護事業)
  • 福井 小紀子(千葉大学 看護学部)
  • 山田 雅子(聖路加看護大学 実践開発研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、在宅療養者の看取りを効率的かつより質が高いものとするため、在宅終末期医療を実践している医師と訪問看護師の連携のあり方、特に看護師が現場で迅速に対応できるための医師からの指示の形を提示することを目的としている。
最終年度となる今年度は、前年度に提示した事前約束指示の形を、在宅終末期医療を先駆的に行っている医療機関とその連携先の訪問看護機関の在宅ケアチームに試験的に実践していただき、この指示の形を評価・再検討し、最終的には、疼痛緩和と死亡診断に関する、訪問看護師と医師との連携ガイドラインを提示する。
研究方法
1.在宅終末期医療提供機関における連携ガイドライン(事前約束指示書)作成
 初年度、第二年度に行った、訪問看護師と医師との連携に関する文献検討、全国的な実態調査(アンケート)、先駆例を対象としたヒアリング調査を基に本研究班で検討し、在宅終末期医療における疼痛緩和と死亡診断に関する連携ガイドラインを作成した。

2.在宅終末期医療提供機関における事前約束指示の試験的実践調査
 初年度、第二年度の調査から判断された、在宅終末期医療を先駆的に行っている医療機関とその連携先の訪問看護機関に、疼痛緩和と死亡診断に関して事前約束指示の形で連携を行っていただいた。実践後、これらの在宅ケアチームを対象に事前約束指示の連携に関する調査を行うと共に、死亡診断に関する症例の実態を調査した。
結果と考察
1.在宅終末期医療提供機関における連携ガイドラインを作成した。
2.在宅終末期医療提供機関における事前約束指示の試験的実践調査から、以下の結果が得られた。
(1)文書による事前約束指示書の必要性は多くの機関で認められた。
(2)疼痛緩和に比べ死亡診断で実施例が少なく、看護師による死亡報告書の発行は少なかった。
(3)試用にあたっての看護師への教育は、ほぼ1時間以内と短時間であるにもかかわらず、十分であったと認識されていた。
(4) 事前約束指示の試用後、多くの機関で疼痛緩和などの知識の整理や治療方針の理解向上、処置時間短縮などといった有効性が評価された。
(5) 死亡診断に関する症例調査では、死亡時から医師の死亡診断あるいは看護師による死の三徴確認、ご遺体のケアの開始までの時間について、症例の状況と関連した実態が明らかになった。
結論
本研究で作成した連携ガイドライン「末期がん患者に対する医療行為に関する事前約束指示書」は、現場で十分有益かつ実践的な指針となり得る。ただし、書式のさらなる簡素化や使用が可能な医療機関・訪問看護機関の要件等の課題があり、今後継続して検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200732017B
報告書区分
総合
研究課題名
在宅療養者の看取りにおける訪問看護師と医師との連携に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-020
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
川越 厚(ホームケアクリニック川越)
研究分担者(所属機関)
  • 阿部 郷子(東電パートナーズ株式会社 介護・看護事業)
  • 岡部 健(医療法人社団爽秋会 岡部医院)
  • 柏木 聖代(筑波大学 人間総合科学研究科)
  • 下山 直人(国立がんセンター中央病院 手術部)
  • 瀬戸山 修(有限会社爽秋会 クリニカルサイエンス研究所)
  • 平林 勝政(國學院大學 法科大学院)
  • 福井小紀子(千葉大学 看護学部)
  • 的場 元弘(国立がんセンター がん対策情報センター)
  • 矢野 栄二(帝京大学 医学部)
  • 山田 雅子(聖路加看護大学 看護実践開発研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、在宅療養者の看取りを効率的かつより質が高いものとするため、在宅終末期医療を実践している医師と訪問看護師の連携のあり方、特に看護師が現場で迅速に対応できるための医師からの指示の形を提示することを目的とした。
研究方法
1.在宅療養者の看取りにおける訪問看護師と医師との連携に関する文献調査
2.在宅での診療を担当する医療機関を対象としたアンケート調査
3.在宅での看護を担う訪問看護ステーションを対象としたアンケート調査
4.在宅療養者の看取りにおける訪問看護師と医師との連携に関する海外実態調査
5.在宅終末期医療の実践機関における訪問看護師と医師との連携の実態調査
6.死亡確認に関する事前約束指示の検討
7.在宅終末期医療における医師から訪問看護師への指示に関する検討
8.在宅終末期医療提供機関と訪問看護機関との疼痛緩和と死亡診断に関する連携ガイドライン作成
9.在宅終末期医療提供機関における連携ガイドラインの試験的実践調査とガイドライン最終版の作成
結果と考察
訪問看護師と医師との連携のあり方に関して、以下のことが示された。
1)末期がん患者の在宅ケアは、「医療機関と訪問看護機関が可能な限り一体化した連携を持った形で提供する」ことが重要である。
2)連携の基本は、在宅療養支援診療所とそれに連携する訪問看護機関であるが、両者の連携をより緊密にし、考え方と具体的な方法について、共有することが重要である。
3)法律的な制約の中で、訪問看護師の裁量権を最大限活用する方法は、医師の指示体系を整備することであり、具体的には、「事前約束指示」を用いることである。
4)「事前約束指示」は、医療機関と連携先の訪問看護機関とが共通の認識をもつための「標準約束指示」と、個々の症例に対して出される「個別約束指示」からなり、両者相まって初めて指示としての効力を発揮する。
5)「事前約束指示」の必要度が高い医行為には、「疼痛緩和」と「死亡診断」があり、本研究でその雛形を作成した。
6)事前約束指示が有効かつ安全に機能するためには、看護師の資質の担保が必要である。

以上をもとに、訪問看護師と医師との在宅ケアチームに有効な、疼痛緩和と死亡診断に関する連携ガイドラインを作成した。
結論
本研究で作成した連携ガイドライン「末期がん患者に対する医療行為に関する事前約束指示書(例)」は、現場で十分有益かつ実践的な指針となり得る。ただし、書式のさらなる簡素化や使用が可能な医療機関・訪問看護機関の要件等の課題があり、今後継続して検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-02-04
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732017C