歯科分野における診療ガイドライン構築に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200732014A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科分野における診療ガイドライン構築に関する総合的研究
課題番号
H17-医療-一般-017
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
石井 拓男(東京歯科大学社会歯科学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 市川 哲雄(徳島大学歯学部大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 口腔顎顔面補綴学)
  • 櫻井  薫(東京歯科大学 有床義歯補綴学)
  • 川崎 浩二(長崎大学医学部・歯学部附属病院 地域医療連携センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
診療ガイドライン作成の上で必要なClinical Question(CQ)の収集方法を確立することを目的として質問方式を検討する。
一般開業歯科医師等を対象に、顎関節症の症状に対して、PICO形式でCQを収集し検討する。
補綴領域における診療ガイドラインの構築に向けてCQを調査し、また、「補綴治療の難易度を測定するプロトコル(JPS Version 1.04)」の信頼性、妥当性を検討する。推奨度の決定については、補綴歯科診療の特殊性を勘案して、あらたな基準作りを模索する。
研究方法
都道府県歯科医師会学術担当理事51名を対象にアンケートを行った。
日本歯科医師会一般会員数の1/10を年齢群ごとに抽出し(被送付者5,999名、20歳代会員は全数)当該会員と当該施設に勤務する非会員を対象にアンケートを行った。
日本補綴歯科学会社員、歯科大学補綴学教室7、卒後歯科研修施設6及び某県歯科医師会に対し、欠損補綴に関するCQのアンケートを行った。歯質欠損、部分歯列欠損、無歯顎症例59症例の治療についてテスト・リテスト法で6大学(9施設)を対象に検討した。推奨度について、福井・丹後の提案、GRADE working groupの提案などを参考に補綴歯科診療の推奨基準例を示した。
結果と考察
CQとして142の症例、146の治療法が挙げられた(いずれも重複を含む)。概ねPICO形式での回答を得ることができた。
有効解析疑問数は4,070問で、症状別治療法の疑問について、症状は50種、頻度が3%以上の治療法は咬合治療、薬物療法、スプリント療法、理学療法及びレーザー治療などであった。症状の用語は様々であり、用語の統一にテキストマイニングの使用が示唆された。対象者は20歳代が少なく他の選定方法について検討が必要である。
収集されたCQは542件で、治療術式に関するものが60%以上を占めたが、補綴診療の性格上、CQとIPやTAの境界は微妙なところがあり、整理の仕方は検討が必要である。症例の難易度に対する術者の直感の信頼性は低かったが、その他の項目では問題ないレベルであった。補綴歯科診療という臨床的な特殊性から、GRADE systemの推奨の考え方を用いるのがよいと考えられる。
結論
予備調査を実施することでより有効な回答を得られるよう質問票の調整が行えることが伺われた。
一般開業歯科医師等を対象としたCQ収集の有用性が示唆された。
治療アウトカムを向上させる補綴領域における診療ガイドライン構築に必要な臨床上の疑問の明確化、エビデンスの検索・評価および推奨度の決定のデータ蓄積と方向性が得られた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200732014B
報告書区分
総合
研究課題名
歯科分野における診療ガイドライン構築に関する総合的研究
課題番号
H17-医療-一般-017
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
石井 拓男(東京歯科大学社会歯科学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 市川 哲雄(徳島大学歯学部大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 口腔顎顔面補綴学)
  • 櫻井  薫(東京歯科大学 有床義歯補綴学)
  • 川崎 浩二(長崎大学医学部・歯学部附属病院 地域医療連携センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科領域におけるEBMにもとづく診療ガイドラインは皆無と言える状況にあることから、本研究は国内外の診療ガイドラインに関する情報を収集し、開発ステップの総合的調査分析を行い、さらに歯科の特異性を構築している補綴領域を中心に診療ガイドラインを開発することを目的とする。
研究方法
国内外における歯科関連の診療ガイドラインと称される文献の収集と評価を行った。
日本歯科医学会専門分科会のうち歯科臨床系の学会を対象にアンケート調査を行った。
一般開業歯科医の診療ガイドラインに関する認知度等のアンケート調査を行った。
平成18年7月6日にシンポジウム「歯科領域における診療ガイドラインのあり方について」を開催した。
歯科補綴領域における診療ガイドラインの構築に向けて,歯科補綴領域における症型分類及びその有用性を測定するために「補綴治療の難易度を測定するプロトコル(JPS Version 1.04)」を作成し、また、CQの収集を行った。
顎関節症の診療ガイドラインにおけるCQの系統的把握のための一般開業歯科医師(日本歯科医師会会員)等へアンケート調査を行った。
結果と考察
国内では5編、国外では115編のガイドラインと称される文献が収集された。英文ガイドラインのうち60編を和訳し、ガイドラインの内容について検討を行った。日本語で書かれた歯科領域における診療ガイドラインすべてがEvidence-based Guidelineではなかった。
平成18年12月現在、対象とした15の学会すべてで診療ガイドラインに対する取組を行っているという回答を得たが、EBMにのっとった診療ガイドライン作成の体制整備は不十分であった。
一般開業歯科医は、EBMを用いた診療ガイドラインについて好意的に期待を寄せている傾向がうかがわれたが、今後、普及啓蒙と診療ガイドライン作成のための適切な環境整備が必要である。
「補綴治療の難易度を測定するプロトコル(JPS Version 1.04)」は信頼性のあるプロトコルであることが示された。収集された補綴領域のCQは治療術式に関するものが60%以上を占めた。補綴歯科診療の特殊性を勘案した,新たな推奨度の決定について提案した。
顎関節症患者の多くは一般開業医を受診するため,一般臨床医からCQを収集する本方法が有効であると考えられた。
結論
歯科界において、EBMに基づく診療ガイドラインの作成が求められていること、現状ではエビデンスレベルの高い臨床研究が未だ十分でないこと、今後、日本歯科医師会、日本歯科医学会を中心に診療ガイドラインの作成を積極的に進めていくことについてコンセンサスが得られた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732014C

成果

専門的・学術的観点からの成果
国内外における歯科関連の診療ガイドラインと称される文献をできる限り収集し、国内では5編、国外では115編のガイドラインと称される文献が収集された。和訳した英文ガイドライン60編についてその内容を検討した結果、エビデンスレベルならびに推奨度まで記載されたガイドラインは9編(15.0%)であった。その内訳は、う蝕予防・口腔ケア・定期管理:6編、感染コントロール:1編、埋伏智歯:1編、睡眠時無呼吸:1編であった。
臨床的観点からの成果
一般開業歯科医は、EBMを用いた診療ガイドラインについて好意的に期待が寄せられている傾向がうかがわれたが、今後、普及啓蒙と診療ガイドライン作成のための適切な環境整備が必要であると考えられた。また、一般臨床医からCQを収集する方法の有効性が示唆された。
ガイドライン等の開発
歯科補綴領域における診療ガイドラインを作成するための基盤となる、難易度の測定のための症型分類を設定し、「補綴治療の難易度を測定するプロトコル(JPS Version 1.04)」を作成、信頼性を検討した。また、CQの収集と補綴歯科診療の推奨基準例を示した。
顎関節症の診療ガイドラインにおけるCQの系統的把握のための一般開業歯科医師(日本歯科医師会会員)等へのアンケートを行い、CQの収集を行った。
その他行政的観点からの成果
患者の視点に立った、安全・安心で質の高い医療が受けられる体制を構築する一環として、科学的根拠に基づく歯科疾患の予防方法及び治療方法の標準化の推進に資するため、歯科診療所における歯科保健医療の標準化のあり方等に関する検討を行い、「歯科診療所における歯科保健医療の標準化指針(いわゆる診療ガイドライン)」を作成するためのガイドラインを作成することを目的とした、「歯科診療所における歯科保健医療の標準化のあり方等に関する検討会」の基礎資料を提供した。
その他のインパクト
本研究班の主催で日本歯科医師会と日本歯科医学会の後援によるシンポジウム「歯科領域における診療ガイドラインのあり方について」を平成18年7月6日に開催し、歯科界の各学会に参加を呼びかけ、本研究班の研究成果を示して参加各学会の会員との質疑を通じて検討を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
(社)日本補綴歯科学会第117回学術大会(平成20年6月)で報告予定
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
「歯科診療所における歯科保健医療の標準化のあり方等に関する検討会」への資料提供
その他成果(普及・啓発活動)
1件
平成18年7月6日シンポジウム「歯科領域における診療ガイドラインのあり方について」を開催

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2020-05-27
更新日
-