医師国家試験のコンピューター化に関する研究

文献情報

文献番号
200732013A
報告書区分
総括
研究課題名
医師国家試験のコンピューター化に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-016
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
細田 瑳一(財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院)
研究分担者(所属機関)
  • 高林 克日己(千葉大学医学部附属病院 企画情報部)
  • 吉岡 俊正(東京女子医科大学 医学教育学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
1,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昨年、一昨年と継続して開発してきた症例シュミレーション試験の、問題作成、実行可能性とその効果について調査し、実用化に際しての問題を検証する。
研究方法
高林は、common diseaseの中でも特に代表的な疾患であるインフルエンザウィルスの問題を新たに作成し、千葉大・東京女子医大の第4学年の学生各24名を対象に模擬試験を実施した。また千葉大学総合診療部の医師による結果と比較して、特に正解選択項目による得点に加え試験の解法に関する採点の可能性についての検討を行った。吉岡は臨床推論と臨床判断を評価する問題解決能力試験(Problem-solving ability test,P-SAT)を開発し、東京女子医大の第4学年の学生95名に模擬試験を行い、共用試験CBT成績と比較するなどその信頼性、妥当性について検討した。
結果と考察
実際の回答結果を詳細に検討するとそれぞれがどのような意図で診断を進めているのかが良く理解できた。得点と選択項目数の間にはおおむね負の相関があり、項目数だけの評価では意味はないと思われる。しかし、実際に選択順序を評価することは複雑に過ぎ、不合格者の評価確認のための生データとして用いるなどの利用法も考えられた。P-SATの模擬試験結果では、能力評価が一定の分布を示すことが明らかになったが、共用試験CBTとの優位な相関は認められなかった。P-SATとCBTでは別の能力を測定している可能性を検討する必要がある。どちらのシステムもサーバー側のトラブルは発生せず、問題作成も容易になり円滑に行うことができた。
結論
コンピューターによる症例シュミレーション問題は、common diseaseも対する管理能力を検定する上で非常に有用であると考えられた。しかし、試験として導入するとなると、その採点が客観的で普遍的なものであるためには非常に複雑になる。今後国家試験のコンピューター使用の具体的目標の設定、セキュリティの確認、紙ベースの試験との比較検討、具体化の費用など残された問題はあるが、従来の国家試験では評価できなかった医師としての能力特性を評価できる可能性はある。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200732013B
報告書区分
総合
研究課題名
医師国家試験のコンピューター化に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-016
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
細田 瑳一(財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院)
研究分担者(所属機関)
  • 高林 克日己(千葉大学医学部附属病院 企画情報部)
  • 吉岡 俊正(東京女子医科大学 医学教育学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医師国家試験のコンピューター化について、文字の電子化によるMCQ中心の形式だけでなく問題解決型の臨床試験が必須であり、そのシステムの開発と学生を対象とした模擬試験の実施から、その実用性、可能性について検討するとともに、欧米諸国の国家試験のあり方とコンピューター化について視察し、本邦における国家試験へのコンピューター導入に際しての可能性や問題点を抽出する。
研究方法
①高林はこれまでに作成した問題MCQとPMPのコンピューター化ツールをweb化し、問題集積とその評価方法を確立するために、サーバ側で問題とプログラムを実施できるweb apllication方式のMCQとPMPを開発、吉岡は臨床事例を提示し問題発見・情報検索・結果の判断解釈が順次性を持って行うような臨床推論能力・臨床判断能力評価としてのコンピューター試験のシステム(Problem-solving ability test,P-SAT)を開発し、それぞれ東京女子医大・千葉大の学生に模擬試験を実施する。
②平成17年にはドイツ、フランス(吉岡はイギリスも含む)、平成18年にはアメリカ(高林はドイツも含む)を視察する。
結果と考察
①試験システムは大きな問題なく比較的順調に実施することができ、サーバーのスペックさえ十分であれば、かなりの人数を対象としても運営できることが確認できた。模擬試験の結果から、得点と選択項目数には負の相関が認められ、解答結果を検討すると診断意図が理解できるため管理能力の評価に適していると思われるが、それらを評価することは相当に複雑である。P-SATにおいては、能力評価が一定の分布を示すことが明らかになったが、共用試験CBTとの相関は認められず今後の検討を要する。
②海外視察においてはドイツと米国が日本に近く、CCSという点では米国が一番似ている。common diseaseの管理という医師の基本的能力で且つ今まで評価できなかった分野をCCSで試験に導入することは意義のあることと確認できたが、米国の方法をそのまま日本に当てはめることは不可能であり、むしろ本邦で取り入れる際にはどのレベルまで行うかを考える材料として今後検討すべきである。
結論
医師国家試験のコンピューター化は、今後実現させる意義が非常に高い。まだ具体的な目標や問題作成のプロセスなど具体化の前に検討すべき問題は残っているが、本研究によりWeb baseで作動する試験システムを開発し、本格運用の目処を立てた。医師としての基本的能力を評価する重要な試験方法として、一定の試験期間を設け、より大規模な研究で検証し、実際の医師国家試験の中に導入することを提言する。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732013C