持続可能なへき地等における保健医療を実現する方策に関する研究

文献情報

文献番号
200732008A
報告書区分
総括
研究課題名
持続可能なへき地等における保健医療を実現する方策に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
鈴川 正之(自治医科大学救急医学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 大田宣弘(島根県立中央病院)
  • 米倉正大(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター)
  • 嶽崎俊郎(鹿児島大学大学院 国際島嶼医療学)
  • 浅井康文(札幌医科大学 高度救命救急センター)
  • 加藤正哉(自治医科大学 医学部)
  • 杉田義博(東京北社会保険病院)
  • 中村好一(自治医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 へき地・離島における保健医療体制の現状および問題点を明らかにすることにより、へき地・離島における持続可能な保健医療を実現する方策を立案する。
研究方法
 全市町村の地域保健担当者を対象に、医療の供給状況、医療機関の診療機能の低下、一次救急医療体制、初期または一次から高次の医療機関への紹介体制等について「地域の保健医療に関するアンケート調査」を行なった。合わせて、3年間の研究事業の集大成として、へき地・離島において必要な医療内容と望ましいへき地・離島の保健医療事業のあり方についての提案をまとめたガイドライン「へき地・離島の保健医療のあるべき姿(平成19年度版)」を作成した。
結果と考察
 「地域の保健医療に関するアンケート調査」は、1596市町村(回答率87.4%)から回答を得た。内訳は、へき地・離島を持たない市町村が788(49.4%)、離島以外のへき地があるところが680(42.6%)、離島のあるところが128(8.0%)、合わせて808(50.6%)がへき地・離島のある市町村であった。医療の供給状況に関しては、市町村内における対応割合は、「生活習慣病、感冒などありふれた疾患」93.9%、「小児の医療」74.2%、「整形外科診療」66.4%、「眼科診療」56.7%、「婦人科診療」45.6%であったが、「産科診療」は36.2%に過ぎなかった。診療機能が低下した医療機関は、一般の外来診療21.0%、小児科診療9.3%、産科診療11.7%の市町村で存在していた。また、一次救急を専門に担当する施設を有している市町村は24.6%に過ぎなかった。へき地を抱える市町村とそうでない市町村の間で、医療の供給状況や一次救急専門施設の存在に違いが認められなかったが、市町村合併によりへき地・離島が大きな自治体に吸収された結果、へき地・離島の住民のアクセスの悪さが隠されている可能性はあると考えられた。
 「へき地・離島の保健医療のあるべき姿(平成19年度版)」の提示にあたっては、理想論に傾くことを避けるため、可能な限り実態調査を行なうとともに、診療機能など実態調査だけではレベルを決定することが難しい内容については、多くの関係者が「望ましい」と考える状況を元に、既存の調査研究も含めて妥当性について検討を行なった。これは、今後のへき地・離島の保健医療事業の構築においてガイドラインとなると考えられる。
結論
 へき地・離島における持続可能な保健医療を実現する方策を立案するために必要となるガイドラインとして、「へき地・離島の保健医療のあるべき姿」を提言した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200732008B
報告書区分
総合
研究課題名
持続可能なへき地等における保健医療を実現する方策に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
鈴川 正之(自治医科大学救急医学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 大田 宣弘(島根県立中央病院)
  • 米倉 正大(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター)
  • 嶽崎 俊郎(鹿児島大学大学院 国際島嶼医療学)
  • 浅井 康文(札幌医科大学 高度救命救急センター)
  • 加藤 正哉(自治医科大学 医学部)
  • 杉田 義博(東京北社会保険病院)
  • 中村 好一(自治医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 へき地・離島における持続可能な保健医療を実現する方策を立案するために、保健医療の現状および問題点について分析を行ない、ガイドラインとしての「へき地・離島の保健医療のあるべき姿」の提言を行なう。
研究方法
 保健医療福祉サービスの現状、医療の満足度についての住民調査、島根県隠岐諸島における本土出産に関する妊産婦への調査および離島・山間地域において産科医療、母子保健、小児の診療に関する住民調査、全市町村の地域保健担当者を対象に地域の保健医療に関する調査を行なった。
 また、新たにへき地・離島に勤務する医師のために修練すべき項目・研鑽方法を示した、「へき地・離島医療マニュアル」、「都道府県へき地・離島保健医療計画策定に向けての事例集」、へき地・離島において必要な医療内容と望ましいへき地・離島の保健医療事業のあり方についての提案をまとめた「へき地・離島の保健医療のあるべき姿」を作成した。
結果と考察
 離島住民は医療に対して大きな不満を持っており、高度専門化医療を受けることを望んでいた。一般診療についての満足度は高いが、眼科、耳鼻科、整形外科、産婦人科、皮膚科などの満足度が低いことが明らかになった。本土出産に対しては、肯定的な回答は得られず、現状を改善する1つの方法と思われる集約化について、離島の住民の理解を得ることは難しいことが判明した。一方、産婦人科医不足については、離島では集約化に肯定的とも判断できる「設備の整った施設での出産」、山間地域では「医師の専攻の義務化」を望むものがもっとも多かった。小児保健や小児科診療については、離島・山間地域とも、小児科専門医による対応を望むものが多いものの、時間外診療では小児科医以外を含む診療所医師による対応を希望するものが最も多く、診療所が良好に機能していると判断された。「産科診療」が市町村内で完結しているところは3分の1に過ぎなかった。市町村の2割で一般の外来診療の診療機能の低下が起こっていた。一次救急専門施設を持つのは4分の1の市町村に過ぎなかった。へき地の有無で医療の供給体制に違いは認められなかったが、市町村合併によりへき地・離島の住民のアクセスの悪さが隠されている可能性はあると考えられた。
結論
 へき地・離島における持続可能な保健医療を実現するためには、住民などのコンセンサスが不可欠であり、そのために今回提示したガイドラインのような全国的な基準が必要である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732008C