透析施設におけるブラッドアクセス関連事故防止に関する研究

文献情報

文献番号
200732006A
報告書区分
総括
研究課題名
透析施設におけるブラッドアクセス関連事故防止に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 親雄(社団法人日本透析医会)
研究分担者(所属機関)
  • 秋澤 忠男(昭和大学病院 腎臓内科)
  • 大平 整爾(医療法人社団恵水会 札幌北クリニック)
  • 鈴木 正司(社会福祉法人新潟市社会事業協会 信楽園病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
過去の研究結果をもとに,要約された抜針事故防止のための秘訣(十か条)の選定,これを解説するための解説書および事故防止を喚起するためのポスターと,事故事例集を作成し,全国の透析施設へ配布する.また,これらの資料がスタッフ教育に用いられ,院内事故防止の一助とするとともに,こうした事故防止活動を通じて,院内安全文化の確立のために役立ててもらおうと意図するものである.
研究方法
1.バスキュラーアクセス事故防止のための十か条を策定し,解説書を作成し配布.
2.事故防止のためのポスターの作成と配布.
3.事故事例集の発行と配布.過去の調査や事故経験などから,どこの施設でも実行可能
結果と考察
コアとなる抜針事故防止策十か条を選定した.また,いったん抜針事故が生じた際の対応についても,五か条にまとめた.この十か条の標語が極めて短縮されたメッセージ(たとえば「指差し・声出し 安全確認など」)であるため,これを理解しやすいよう,図入りの解説書を作成した.この解説書は,新人及び現任教育のためのツールともなり得る.また,抜針事故防止のイメージをポスターとした.また十か条もポスター形式として作成し,透析室内への掲示を可能とした.これとは別に,愛知県支部で収集されたレベル3以上150事故を事例集として作成した.さらに,これらを班研究の成果として,すべての透析医療機関に配布する.
結論
本研究の目的は,日常臨床の場で,バスキュラーアクセス事故(特に抜針事故)の減少を図ることにある.また,最終の目標は,患者と職員および施設にとって,安全が保障されるといういわゆる医療施設の安全文化の確立に寄与することにある.わかりやすいポスターや標語は,日常臨床の場ですぐに役立つものであり,匿名性を維持しつつ集められた膨大な事故事例集は,自施設の事故対策マニュアルの改訂に資するものと考えている.

公開日・更新日

公開日
2008-04-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200732006B
報告書区分
総合
研究課題名
透析施設におけるブラッドアクセス関連事故防止に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 親雄(社団法人日本透析医会)
研究分担者(所属機関)
  • 秋澤 忠男(昭和大学病院 腎臓内科)
  • 大平 整爾(医療法人社団恵水会 札幌北クリニック)
  • 鈴木 正司(社会福祉法人新潟市社会事業協会 信楽園病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
過去の研究から,透析医療に関連する重篤な事故(死亡を含む)の原因はバスキュラーアクセスに関連とすることが明らかにされ,本研究では,その発生状況と事故対策について調査・研究した.なお,本研究の最終目標は,抜針事故防止対策を追求する中で,患者と職員および施設にとって最も重要な問題は安全の保障であり,このために患者を含めた職員のすべてが,安全を最終目標とした文化の確立を図ることにあると考えている.
研究方法
1)バスキュラーアクセス関連事故のアンケート実態調査と患者の協力についての実態調査(平成17年度).
2)抜針事故防止のための工夫の収集と,抜針事故の実験的検証(平成18年度).
3)バスキュラーアクセス事故防止のための十か条選定/解説書および事故防止のためのポスター作成と配布/事故事例集の発行と配布(平成19年度).
結果と考察
1)41.5件/100万透析の抜針事故が報告され,52.3%が自己抜針事故であった.
2)90.7%の施設で,抜針事故防止のためには患者の協力が必要とされた.
3)194施設から431枚の画像による事故防止のための工夫が収集された.
4)抜針事故の実験的検証では,血管から抜けかけの状態で大量出血が生じ,完全に抜針されて始めて静脈圧警報が鳴ることが確認された.
5)抜針事故防止のための標語十か条が選定され,解説書を作成した.
6)抜針事故防止のイメージおよび標語をポスターとした.
7)愛知県支部で収集されたレベル3以上150事故事例を事例集として作成する.
8)これらを班研究の成果として,すべての透析医療機関に配布する.
事故防止のために作成された十か条や,この解説書,および愛知県支部の事故事例集は,日常業務の中での事故防止対策上,重要な役割を占めるだろう.なお,本研究の中で,臨床工学技士が施設の安全対策や,事故防止対策の中心となりうる職種であることが明確になった.
結論
以上の研究成果をもとに,今後は臨床工学技士や看護師など,コメディカルスタッフの協力を得て,いわゆる透析医療施設の安全文化が確立されることになるであろう.

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732006C