小児医療における安全管理指針の策定に関する研究

文献情報

文献番号
200732002A
報告書区分
総括
研究課題名
小児医療における安全管理指針の策定に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
阪井 裕一(国立成育医療センター手術集中治療部)
研究分担者(所属機関)
  • 羽鳥 文麿(国立成育医療センター総合診療部救急診療科)
  • 中川 聡(国立成育医療センター手術集中治療部集中治療科)
  • 伊藤 龍子(国立成育医療センター研究所成育政策科学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の乳児死亡率が世界で最も良いことはよく知られているが、一方で1-4歳の死亡率が先進国の中で最悪の水準にあることはあまり知られていない。本班研究の目的は、生命の危機に瀕している小児患者を安全に管理するための指針を、医療制度を含む包括的な観点から策定することである。
研究方法
初年度、二年度に本研究班で策定した「PICU設置のための指針案」を、日本集中治療医学会と日本小児科学会と議論を重ねて完成させ、発表する。
結果と考察
本研究班と日本集中治療医学会、日本小児科学会との合同で、「PICU設置のための指針」を策定し、両学会の学会誌に掲載した。米国ではすでに1993年にアメリカ集中治療医学会により小児集中治療のガイドラインが策定されている。その後急速に小児集中治療が発展して新たな指針が必要となり、アメリカ小児科学会とアメリカ集中治療医学会が連携して2004年にガイドラインの改訂を行っている。わが国の現状は、米国に20年近く遅れていると言わざるを得ないが、今回本研究班の主導で漸く今後の我が国の小児集中治療の方向性を決定付けることができた。本指針は、今後、我が国の小児集中治療の発展の礎となるべきものである。超少子化にあるにもかかわらず、国際的に見て1-4歳の子どもの死亡率が先進国の中で最悪の水準にある我が国の小児医療に一石を投じたといえよう。
結論
日本集中治療医学会、日本小児科学会との合同で、「PICU設置のための指針」を策定した。小児の救命医療を発展させるための第一歩となったと考える。

公開日・更新日

公開日
2008-06-23
更新日
-

文献情報

文献番号
200732002B
報告書区分
総合
研究課題名
小児医療における安全管理指針の策定に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
阪井 裕一(国立成育医療センター手術集中治療部)
研究分担者(所属機関)
  • 羽鳥 文麿(国立成育医療センター総合診療部救急診療科)
  • 中川 聡(国立成育医療センター手術集中治療部集中治療科)
  • 伊藤 龍子(国立成育医療センター研究所成育政策科学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の乳児死亡率が世界で最も良いことはよく知られているが、一方で1-4歳の死亡率が先進国の中で最悪の水準にあることはあまり知られていない。本班研究の目的は、生命の危機に瀕している小児患者を安全に管理するための指針を、医療制度を含む包括的な観点から策定することである。
研究方法
1. 文献検索により小児医療における安全管理指針についての世界の状況を把握する。

2. 小児ICU(Pediatric Intensive Care Unit: PICU)設置のための指針を策定する。

結果と考察
1. 2004年にアメリカ集中治療医学会が改訂した「小児集中治療のガイドライン」を翻訳した。

2. 我が国の「PICU設置のための指針」を、日本集中治療医学会、日本小児科学会との合同で策定し、発表した。

医療の安全を高める方法として、個々の事例を取り上げて分析し、再発予防につなげるという方策や、個々の疾病に対する診療ガイドラインを作成して診療の標準化を目指すアプローチが盛んに試みられている。しかし、医療の体制を整備、再編して患者に安全な環境を提供するという方法も同様に重要なはずであるが、小児医療においてこのような観点からの議論は未だ盛んではない。前者に比べて、議論することそのものも困難であり、実現を図ることはさらに困難であるからであろう。
米国ではすでに1993年にアメリカ集中治療医学会により小児集中治療のガイドラインが策定されている。その後急速に小児集中治療が発展して新たな指針が必要となり、アメリカ小児科学会とアメリカ集中治療医学会が連携して2004年にガイドラインの改訂を行っている。本研究班が、この改訂ガイドラインを翻訳して関係学会の専門家と議論を行ったうえで、「PICU設置のための指針」を学会と合同で策定し、発表したことは、米国に10年余り遅れたとはいえ、我が国の今後の小児救命医療の発展の礎となると考える。

また、小児医療は、とかく成人医療の後塵を拝し、同一領域の成人部門の専門家との連携が難しい場合が見受けられるが、今回は本研究班が核となって、日本集中治療医学会、日本小児科学会との合同で指針を策定できたことは、我が国の小児医療そのものの発展にとっても有意義であり、一つのモデルを提唱できたと考える。
結論
米国の状況を参考に、我が国の専門学会とともに「PICU設置のための指針」を策定した。生命の危機に瀕した小児患者の管理の指針を策定したことが、わが国の小児医療体制の改革につながり、1-4歳の死亡率の改善を目指した安全な小児医療の実現への第一歩となろう。

公開日・更新日

公開日
2008-06-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732002C