終末期医療の質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
200732001A
報告書区分
総括
研究課題名
終末期医療の質の向上に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
林 謙治(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、これまでの終末期医療に関わる研究結果や国民の意識調査、医療現場での課題を基に、法律を含め多側面から研究協力を得ることにより、社会的コンセンサス形成のための基盤作りをし、終末期医療の質の向上に資するものとする。特に終末期医療における望ましい医療の内容として、インフォームドコンセントのあり方や患者の意思確認の方法と手続き、延命治療の差し控えや打ち切りに関する問題点を整理し、患者の立場からQOLを尊重した終末期医療の質の向上と普及を図る。
研究方法
本研究においては、がん疾患を中心に患者本人及び家族の意思確認方法、延命医療の差し控え、打ち切り(中止)の決定に係る手続き、ターミナル患者の緩和ケアの終末期医療のあり方等について検討してきた。最終年度は、研究班がこれまで各専門学会や有識者と検討を進めてきた終末期医療の意思決定について、医療関係者、法律関係者、それぞれの意見を集約し、終末期医療における望ましい医療の内容を検討した。終末期がん患者を想定した治療の中止・差し控えで問題となる事項について、全国1,032病院を対象にデルファイ法に準じたアンケート調査を実施し、意見集約を行った。さらに、医療における患者の同意能力の判定や、同意能力が無い者の医療行為の意思決定の体制整備について、国内外の情報収集を行った。
結果と考察
アンケート調査では392病院から回答があり(有効回答率38%)、ガイドラインのあり方や目的、終末期の判定と客観的指標、患者の意思確認等について、法的裏付けの必要性なども含めた賛否の意見が集計された。
結論
今後の医療全般のインフラ整備としては、①インフォームド・コンセントに係わる法的整備、②相談員制度・ Patient Advocateの制度化と配置、③自発的な選択ができる環境整備とガイドラインの作成、④判断能力を判定する仕組みの構築と法的整備、等が必要と考えられた。また、終末期医療に関する個別的整備としては、⑤緩和医療の教育と普及、⑥在宅ケアの推進と整備、⑦死の定義に関するコンセンサス形成、が重要な論点と考えられた。今後は終末期医療の質の向上に向けて、専門家の枠を越えた幅広い議論が期待される。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200732001B
報告書区分
総合
研究課題名
終末期医療の質の向上に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
林 謙治(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 政策科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、これまでの終末期医療に関わる研究結果や国民の意識調査、医療現場での課題を基に、法律を含め多側面から研究協力を得ることにより、社会的コンセンサス形成のための基盤作りをし、終末期医療の質の向上に資するものとする。特に終末期医療における望ましい医療の内容として、インフォームドコンセントのあり方や患者の意思確認の方法と手続き、延命治療の差し控えや打ち切りに関する問題点を整理し、患者の立場からQOLを尊重した終末期医療の質の向上と普及を図る。
研究方法
初年度は専門家・関係諸機関への調査を行い、現行法令に照らしてその過程における問題点を明らかにした。また国民意識調査の再分析により、緩和医療従事者とそれ以外の医療従事者における意識の差が明らかになった。2年目には全国4,911病院へのアンケート調査を実施し、医療現場での終末期医療の意思決定の現状把握と課題抽出、倫理委員会設置率や倫理問題への対応状況や検討事項について現状分析を行った。同時に、「安楽死」「尊厳死」問題や医療裁判に関わる実務レベルの法律専門家から意見収集した。最終年度は、研究班がこれまで各専門学会や有識者と検討を進めてきた終末期医療の意思決定について、医療関係者、法律関係者、それぞれの意見を集約し、終末期医療における望ましい医療の内容を検討した。特に、終末期がん患者を想定した治療の中止・差し控えで検討すべきと考えられた事項について、全国1,032病院を対象にデルファイ法に準じた大規模調査を実施し、意見集約を行った。さらに、医療における患者の同意能力の判定や、同意能力が無い患者における医療行為の意思決定の体制整備について考察した。
結果と考察
今後の医療全般のインフラ整備としては、①インフォームド・コンセントに係わる法的整備、②相談員制度・ Patient Advocateの制度化と配置、③自発的な選択ができる環境整備とガイドラインの作成、④判断能力を判定する仕組みの構築と法的整備、等が必要と考えられた。また、終末期医療に関する個別的整備を含めると、⑤緩和医療の教育と普及、⑥在宅ケアの推進と整備、⑦死の定義に関するコンセンサス形成、が重要な論点と考えられた。
結論
本研究成果が、医療現場における終末期医療の質の向上の一助となり、国民への適切な医療のインフラ整備を促進するとともに、終末期医療について専門家間の枠を越えた幅広い議論へ発展することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732001C