新規抗パーキンソン病薬ゾニサミドの神経保護作用に関する臨床研究

文献情報

文献番号
200731051A
報告書区分
総括
研究課題名
新規抗パーキンソン病薬ゾニサミドの神経保護作用に関する臨床研究
課題番号
H18-難治-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
村田 美穂(国立精神・神経センター 武蔵病院)
研究分担者(所属機関)
  • 浅沼 幹人(岡山大学大学院 医歯薬総合研究科)
  • 近藤 智善(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 戸田 達史(大阪大学大学院 医学研究科)
  • 南部 篤(自然科学研究機構 生理学研究所)
  • 長谷川 一子(国立病院機構 相模原病院)
  • 服部 信孝(順天堂大学 医学部)
  • 野元 正弘(愛媛大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
49,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
パーキンソン病(PD)はアルツハイマー病と共に世界的な高齢化の中で社会的にも大きな問題となりつつある。ゾニサミド(ZNS)は、わが国で抗てんかん薬として開発され安全性も確立した薬剤であるが、2001年主任研究者がPDに著明な効果をもつことを発見した。我々はこれまでに進行期PDでの症状改善効果を確認し、長期観察で1年後にさらに改善の傾向があることを示した。ZNSはin vitroでも通常投与量で神経保護作用を示したことから、神経保護作用の機序の解明とともに臨床的な効果の確認を目指して研究を進めた。
研究方法
神経保護作用については、ラット及びマウスPDモデル及び培養細胞を用い、ZNSのGSH合成亢進作用の機序、Akt/PTEN系に対する効果を検討した。 臨床的には長期投与患者の臨床経過調査及び、ZNSの神経保護作用の臨床評価方法について検討した。
 タイワンザルPDモデル用いて淡蒼球、視床下核異常発火パターンに対するZNSの改善効果を検討した。DNAマイクロアレイを用いてドパミン系以外の系へのZNSの作用を検討した。
結果と考察
ZNSがPDモデルマウスの黒質細胞障害に対して有意な保護作用を示すこと、ラット線条体内のGSH増加の作用機序として、ZNSがグリア細胞のシスチン取り込みに関与していることを明らかにした。また、ZNSの神経保護作用の第2の機序としてAKT/PTEN系を介してMnSODを著明に増加させることを明らかにした。
 ZNS投与により、線条体でnegative feedbackと思われるGLT-1の発現低下を認めた。
 臨床的には進行例でもZNS投与1年後にむしろ運動症状は改善することを再確認した。PDにおける薬剤の神経保護作用を臨床的に立証するために対照群の基礎データ収集を行った。
ZNSの抗PD作用発現の新たな機序として、PDで認める淡蒼球、視床下核の異常発火パターンを正常化すること、淡蒼球への局所投与では効果を認めないことを明らかにした。
ZNS投与により、
 ZNSを用いたオーダーメイド医療確立のため、SNPtag chipを用いてZNSの効果の有無による疾患感受性遺伝子の差異について検索中である。
結論
ZNSの神経保護作用、抗PD効果の作用機序の解明について多面的に研究を進めた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-01
更新日
-