炎症性腸疾患の画期的治療法に関する臨床研究

文献情報

文献番号
200731050A
報告書区分
総括
研究課題名
炎症性腸疾患の画期的治療法に関する臨床研究
課題番号
H18-難治-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岡崎 和一(関西医科大学内科学第三講座)
研究分担者(所属機関)
  • 渡辺 守(東京医科歯科大学消化器病態学)
  • 日比紀文(慶應義塾大学医学部内科)
  • 浅香正博(北海道大学分子病態制御学)
  • 坪内博仁(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学)
  • 高後 裕(消化器血液腫瘍制御内科学)
  • 中村和彦(九州大学大学院病態制御内科)
  • 鈴木健司(新潟大学医歯学総合病院第三内科)
  • 竹田 潔(大阪大学大学院医学系研究科感染免疫医学講座免疫制御学)
  • 千葉 勉(京都大学大学院消化器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、難治性炎症性腸疾患に対し、従来とは異なる発想による病態の解析を行い、それに基づく画期的治療法の開発とその臨床応用を目指すものである。
研究方法
研究目的達成のために、以下の5の基本プロジェクト(p)を構築し,研究した。
p-1: 腸上皮分化・再生機構の解析と腸管免疫の特異性に関わる研究領域の創出(基礎)と上皮細胞の再生のための分子療法、細胞移植療法の確立
p-2: 腸管特異的免疫調節機構を標的とした治療法の開発
p-3: 選択的細胞除去療法の開発
p-4: 分子・細胞デリバリーシステムを用いた治療法確立
p-5:既存の薬剤を新しいコンセプトで適応外応用した治療法の開発
結果と考察
p-1: 上皮細胞の再生のための分子療法、細胞移植療法の確立 
組換えヒト肝細胞増殖因子による腸管粘膜の再生促進、実験大腸発癌の抑制、注腸投与の安全性が明らかにされた。腸管分泌型細胞の分化調節の制御、新規核酸医薬品STNM-01による抗線維化と抗炎症効果、皮下脂肪組織由来幹細胞による上皮細胞の促進効果が明らかにされた。
p-2: 腸管特異的免疫調節機構を標的とした治療法の開発
腸管上皮粘膜内の樹状細胞依存性のTh17細胞分化機序が明らかにされ、活性型α-デフェンシンペプチド、MIFに対するMIFThエピトープDNAワクチン、レドックス制御のチオレドキシン、CXCR4拮抗剤による自然免疫系の制御が炎症性腸疾患治療法となりうることが明らかにされた。
p-3: 選択的細胞除去療法の開発
血球成分除去療法の改変型として、CliniMACSを用いた「制御性T細胞移入療法」の臨床試験施行の環境が整った。
p-4: 分子・細胞デリバリーシステムを用いた治療法確立
ステロイド封入ポリ乳酸マイクロカプセルによる第1,2相臨床試験が、院内臨床研究の承認を得て開始された。リポ化ステロイドDDSによる新規治療について、多施設共同による無作為化並行群間試験が開始された。
p-5:薬剤を新しいコンセプトで適応外応用した治療法の開発
ヒスチジン投与による腸炎抑制効果が明らかにされ、新たな創薬のターゲットとなりうる可能性が示された。
結論
「粘膜局所免疫調節」および「組織再生誘導」を促す新規治療法開発を目指し、プロジェクト開始後、社会的インパクトの高い論文発表、特許取得・出願、臨床試験の承認開始など、十分な成果が挙げられつつある。

公開日・更新日

公開日
2008-04-02
更新日
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