パーキンソン病および関連神経変性疾患の生前同意に基づく脳バンクの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200731049A
報告書区分
総括
研究課題名
パーキンソン病および関連神経変性疾患の生前同意に基づく脳バンクの構築に関する研究
課題番号
H18-難治-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
久野 貞子(国立精神・神経センター病院)
研究分担者(所属機関)
  • 森 秀生(順天堂大学医学部)
  • 有馬 邦正(国立精神・神経センター病院)
  • 村山 繁雄(東京都老人総合研究所)
  • 佐藤 啓造(昭和大学医学部)
  • 河原 直人(早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構)
  • 塚本 忠(国立精神・神経センター病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性神経疾患の病態解明には脳バンクが必須である。しかし、本邦には脳バンクは僅かしかなく、生前同意登録制脳バンクは普及していない。本研究班はパーキンソン病(Parkinson’s disease, 以下PDと略)を対象疾患として、自分の死後に脳を研究の為に寄贈する意志を登録する生前同意登録制の脳バンクを日本に導入し、バンク化された試料を用いて、難治性神経疾患の病態解明研究を推進することにある。
研究方法
法医科学的および医学倫理的検討を総合して、現行法及び倫理指針等を遵守して運営するPD脳バンクの機構を構築した。法律学者、患者会、PD研究者などの外部委員を含むPD脳バンク運営委員会を組織し、実行機関としてPD脳バンク事務局を開設した。インフォームド・コンセント書式を作成し、高セキュリティの登録者データベースを構築した。登録者の死亡時に病理解剖し脳をバンク保存する3協力病院(国立精神・神経センター病院、順天堂大学順天堂医院、東京都老人医療センター)を組織化し、倫理審査により承認された。脳バンクの組織保存プロトコールを作成した。
PD脳バンク事務局が、脳バンクと生前同意登録の普及啓発を目的とする講演会、パンフレット配布、、ニュースレター発行を行った。登録希望者には、コーディネーターが十分に説明し、同意が得られた場合に、生前同意登録を受け付け、登録カードを発行した。
結果と考察
1.PD脳バンクのシステムを構築し、生前同意登録の普及啓発活動を行った。市民公開講座、患者会の講演会での講演、病院内の説明会をおこない、普及に努めた。H20年3月5日時点での脳バンク同意登録者数は14名である。
2.登録者の死亡までは数年間の時間経過が予想され、脳バンクを10年以上維持する必要がある。今後は病理解剖を実施する協力病院を増やし、全国規模のネットワークに発展させる必要がある。
結論
 生前同意登録制を基盤にしたパーキンソン病脳バンクを、現行法及び倫理指針等を遵守をして構築し、同意登録を開始した。生前同意登録数は平成20年3月5日現在で14名である。今後の地道な普及啓発活動が必要である。また今回構築されたシステムは脳バンクの先進的なモデルとして利用されると推測される。

公開日・更新日

公開日
2008-05-28
更新日
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