医療機関における禁煙サポート推進のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
199700384A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関における禁煙サポート推進のあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
大島 明(大阪府立成人病センター)
研究分担者(所属機関)
  • 田中英夫(大阪府立成人病センター)
  • 中村正和(大阪がん予防検診センター)
  • 増居志津子(大阪がん予防検診センター)
  • 近本洋介(スタンフォード大学医学部疾病予防研究センター)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 健康増進研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、医療機関における禁煙サポートをモデル的に実施し、その実行可能性や効果を検討するとともに、医療機関における禁煙サポート体制の整備の方策を示すことにある。研究の初年度の平成8年度には、禁煙サポートのニーズを明らかにするため、患者および医療従事者を対象に最新のマーケテイング調査の手法を用いて禁煙に関するニーズ調査を実施した。本年度は、質問紙法による定量調査を実施するとともに、病棟において禁煙サポートをモデル的に実施した。さらに、国内外の禁煙サポートの事例を収集して、禁煙プログラムの普及方策について検討した。
研究方法
(1) 禁煙サポートの定量調査
がんおよび循環器疾患の専門病院である大阪府立成人病センターにおいて、患者および看護婦を対象に、昨年度実施したフォーカスグループインタビューによる定量調査の結果を踏まえて、質問紙法による禁煙サポートのニーズに対する定量調査を実施した。
(2) 禁煙サポートの試験的実施
これまでの調査結果を踏まえ、大阪府立成人病センターの病棟入院患者を対象として禁煙サポートを試験的に実施した。
(3) 禁煙サポートの先行事例の収集
国内外で禁煙サポートに先進的に取り組んでいる事例を収集して、その概要をまとめて今後のわが国における禁煙サポートのあり方を検討した。
(4) 医療従事者に対する禁煙サポートのための研修プログラムの検討
結果と考察
研究結果
(1) 禁煙サポートの定量調査
大阪府立成人病センターの喫煙患者は禁煙サポートに対して多様なニーズを有しており、保健医療専門職として、これに応える責務があることが明らかとなった。一方、看護婦による禁煙指導方法は知識伝達型が主であること、そのセルフエフィカシーには患者の属性、特に禁煙ステージが関連要因していることも明らかとなった。
(2) 禁煙サポートの試験的実施
1997年12月から3月までの期間に14人の入院患者がパイロットスタデイに参加した。ほぼ当初の想定通りに時間内で禁煙サポートを行うことができることを確認した。98年度には、このパイロットスタデイで用いた禁煙ポートプログラムを用いて退院後に保健婦が行う電話による禁煙指導のフォローアップの効果を調べる無作為割付対照試験へと発展させるとともに、外来などでの医師・看護婦との協同による禁煙サポートの先駆けと位置づけ、喫煙患者の多様な気炎サポートのニーズに対応した禁煙サポートプログラムを開発する予定である。
(3) 国内外の禁煙サポート先行事例集の収集
わが国での先行事例として、JR東京総合病院における近縁が依頼の取り組み、沖縄同人病院における近縁が依頼の取り組みについて、その背景と概要とこれまでの成果について調査した。また、大阪がん予防検診センターが実施した「ドクターストップ禁煙コンテスト」の概要とその成果について調査した。この禁煙コンテストは、禁煙したいと思っている患者に対して通信方式で禁煙サポートを行うものであるが、医療期間内で患者と医療従事者の間で禁煙が話題となることや、コンテストに参加した患者から医師へ禁煙指導教材が手渡されることにより、医師を初め医療従事者に対して禁煙指導の必要性に気づいてもらうことをねらいとした。このコンテストには500人が参加し、100人が決められた4週間の禁煙に成功した。
(5) 医療従事者に対する禁煙サポートのための研修プログラムの検討
結論
考察と結論 
禁煙を希望する喫煙者は実に多様な禁煙サポートに対するニーズを有している。今後、このニーズに対応した、多様な禁煙サポートプログラムを開発していく必要がある。また、禁煙サポートプログラムが広く普及するためには、サポートに従事する職種とそのおかれた場の実態にあわせたものとする必要がある。さらに、欧米先進国では、禁煙サポートは、他の保健医療サービスに比べて、費用効果的に遙かに優れていることが明らかにされているが、禁煙サポートの普及には、さらに、社会全体のたばこ対策に対するコンセンサスの形成が必要で社会環境への働きかけをあわせて必要であると考える。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)