神経皮膚症候群に関する調査研究

文献情報

文献番号
200731032A
報告書区分
総括
研究課題名
神経皮膚症候群に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-032
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中山 樹一郎(福岡大学医学部皮膚科)
研究分担者(所属機関)
  • 大塚 藤男(筑波大学 臨床医学系皮膚科)
  • 大野 耕策(鳥取大学 医学部脳幹性疾患研究施設脳神経小児科部門)
  • 片山 一朗(大阪大学大学院 医学研究科分子病態医学皮膚科)
  • 佐谷 秀行(慶應義塾大学 医学部先端医科学研究所遺伝子制御研究部門腫瘍生物学)
  • 倉持 朗(埼玉医科大学 皮膚科)
  • 中川 秀己(東京慈恵会医科大学 皮膚科)
  • 中村 耕三(東京大学大学院 医学研究科整形外科)
  • 樋野 興夫(順天堂大学 医学部病理学第二)
  • 水口 雅(東京大学大学院 医学系研究科発達医科学)
  • 吉田 純(名古屋大学大学院 医学系研究科脳神経外科)
  • 古村 南夫(島根大学 医学部皮膚科)
  • 縣 俊彦(東京慈恵会医科大学 環境保健医学)
  • 吉田 雄一(鳥取大学 医学部感覚運動医学講座皮膚病態学)
  • 錦織 千佳子(神戸大学大学院 医学研究科皮膚科)
  • 森脇 真一(大阪医科大学 応用医学講座皮膚科学)
  • 林 雅晴(東京都神経科学総合研究所 臨床神経病理)
  • 苅田 典生(神戸大学大学院 医学系研究科神経内科)
  • 田中 亀代次(大阪大学大学院 生命機能研究科分子遺伝学)
  • 菅澤 薫(神戸大学バイオシグナル研究センター 細胞生理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
36,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
神経線維腫症1型(NF1)、2型(NF2)および結節性硬化症(TS)は多臓器に多種の腫瘍性病変をきたす遺伝性の難病であり、現時点では根治的治療法はなく、対症療法のみである。患者ならびに家族の新治療法の開発に対する要望や社会的要請も強い。本研究の目的は、多様な症候を示す各疾患の病態を分子レベルで解明すると共に新治療法の開発を行い、実際的な臨床応用を目指すことにある。また、今年度より難治性遺伝疾患である色素性乾皮症(XP)の研究も新規に加わり、XPの日本での現状を把握する事を第一の目的とし、そのための診断の確立とそのシステム作りを行う。
研究方法
NF-1ではカフェオレ斑や多発する神経線維腫や神経堤腫瘍の発症機序を基礎的および臨床的に解明する。TSでは独自に開発したトランスジェニック・Ekerラット(Tsc2変異ラット)の腎癌抑制系をin vivoの実験系として利用し、TSの原因遺伝子産物の機能解析を進めた。またNF1、NF2公費患者の約10年の動向を1998年と2006年の資料で比較した。XPはまず正確な患者数把握のため、皮膚科研修指定病院609施設につき一次調査を行った。
結果と考察
NF-1ではNF-1ノックダウン細胞を用いた研究がカフェオレ斑発症機序解析の為のモデルとして有用であると考えられ、またIAI.3Bプロモーター導入オンコリティックアデノウイルス感染キャリアー細胞による遺伝子治療は、NF1に対して有力な治療法となることが示唆された。NF2では聴性脳幹インプラント(ABI)による聴力再建が可能となった。TSではさらに原因の解明がすすみ、治療への応用が期待される。XPでは日本における患者数の把握と簡便でより確実な診断法が確立されつつある。
結論
基礎研究では神経皮膚症候群(NF1、NF2、TS)の多彩な症候の分子病態の機序がさらに明らかとなった。疫学調査研究においてはNF1、NF2公費患者の約10年の動向を検討したところ、重症化傾向が伺えた。日本人に多い高発癌性遺伝性疾患であるXPの一次調査では皮膚科研修指定病院の15.2%に222名のXP患者が登録され、次年度、二次調査が行われる予定である。

公開日・更新日

公開日
2008-07-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200731032B
報告書区分
総合
研究課題名
神経皮膚症候群に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-032
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中山 樹一郎(福岡大学医学部皮膚科)
研究分担者(所属機関)
  • 大塚 藤男(筑波大学 臨床医学系皮膚科)
  • 大野 耕策(鳥取大学 医学部脳幹性疾患研究施設脳神経小児科部門)
  • 片山 一朗(大阪大学大学院 医学研究科分子病態医学皮膚科)
  • 佐谷 秀行(慶應義塾大学 医学部先端医科学研究所遺伝子制御研究部門腫瘍生物学)
  • 倉持 朗(埼玉医科大学 皮膚科)
  • 中川 秀己(東京慈恵会医科大学 皮膚科)
  • 中村 耕三(東京大学大学院 医学研究科整形外科)
  • 中村 耕三(順天堂大学 医学部病理学第二)
  • 水口 雅(東京大学大学院 医学系研究科発達医科学)
  • 吉田 純(名古屋大学大学院 医学系研究科脳神経外科)
  • 古村 南夫(島根大学 医学部皮膚科)
  • 縣 俊彦(東京慈恵会医科大学 環境保健医学)
  • 吉田 雄一(鳥取大学 医学部感覚運動医学講座皮膚病態学)
  • 錦織 千佳子(神戸大学大学院 医学研究科皮膚科)
  • 森脇 真一(大阪医科大学 応用医学講座皮膚科学)
  • 林 雅晴(東京都神経科学総合研究所 臨床神経病理)
  • 苅田 典生(神戸大学大学院 医学系研究科神経内科)
  • 田中 亀代次(大阪大学大学院 生命機能研究科分子遺伝学)
  • 菅澤 薫(神戸大学バイオシグナル研究センター 細胞生理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
神経皮膚症候群(NF1、NF2、TS)は多臓器に多種の腫瘍性病変をきたす遺伝性の難病であり,現時点では根治療法はない。患者ならびに家族の新治療法の開発に対する要望や社会的要請も強い。本研究の目的は、多様な症候を示す各疾患の機序を細胞内シグナルのレベルで解明し、新治療法の開発を行い、臨床応用を目指すことにある。また、今年度より難治性遺伝疾患である色素性乾皮症(XP)も新規に加わり、XPの日本での現状を把握する事を第一の目的とし、そのための診断の確立とそのシステム作りを行い、遺伝子治療を視野に入れた治療を検討する。
研究方法
基礎研究ではNF1,NF2において融合プロテオミクスの手法を用いて結合蛋白の網羅的解析と相互作用機能を調べ遺伝子レベルでの解析と合わせ、細胞内シグナル解析をさらに推し進めた。TSでは様々の変異をもつTgモデルを作成することにより関連蛋白との相互作用を解明し、異常回復のメカニズムの検討を試みた。基礎的研究の情報から分子標的が定められたものについて、NF1、NF2、TSの諸臓器の腫瘍性病変に対するインターフェロンγ遺伝子導入、化学予防薬、腫瘍細胞死を誘導する分子標的遺伝子導入による治療などを試みた。臨床研究では、NF1、NF2、TSに合併する病変に対する早期画像診断・治療などについて新たな治療指針への組み入れを目指して研究を続けた。疫学調査では3回目の全国疫学調査を実施し、集計・解析した。XPは正確な患者数把握のため、皮膚科研修指定病院609施設につき一次調査を行った。
結果と考察
病態プロテオミクスの進歩により微量な細胞内シグナル分子群の翻訳後修飾構造などの蛋白質解析が包括的に行われるようになり、分子ターゲット設定による分子治療の可能性を確認した。TSの腫瘍発生機序の解明では、独創的な腎腫瘍モデルや大脳皮質病変モデルの確立によって先駆的業績を挙げた。XPでは日本における患者数の把握と簡便でより確実な診断法が確立されつつある。
結論
NF1、NF2、TS、XPの病態に多くの新しい知見を得た。本研究班は基礎医学研究者、臨床医、疫学研究者が一致協力して研究を推進し、分子,細胞レベルの病態生理解明をさらに進め、新しい治療法の開発をめざして組織的研究を行うものである。疫学班とも協力して全国規模の疫学調査を行い、患者のQOLなどの実態をリアルタイムに把握しているため,焦点を絞った研究の推進が可能である。

公開日・更新日

公開日
2008-07-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200731032C