網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究

文献情報

文献番号
200731019A
報告書区分
総括
研究課題名
網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-019
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
石橋 達朗(九州大学大学院医学研究院 眼科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 田野 保雄(大阪大学医学部眼科)
  • 新家 眞(東京大学医学部眼科)
  • 吉村 長久(京都大学医学部眼科)
  • 小椋 祐一郎(名古屋市立大学医学部眼科)
  • 寺崎 浩子(名古屋大学医学部眼科)
  • 中澤 満(京都大学医学部眼科)
  • 白神 史雄(香川大学医学部眼科)
  • 中江 公裕(独協医科大学WHO協力センター)
  • 湯沢 美都子(日本大学駿河台病院眼科)
  • 坂本 泰二(鹿児島大学医学部眼科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
47,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
未だ原因究明が不十分かつ有効な治療法が未確立な疾患群(主として加齢黄斑変性、遺伝性網膜変性疾患、視神経萎縮症)を対象とし、病態解明と治療法開発を行う。
研究方法
現在の日本における失明原因の実態を調査・把握するとともに、疾患モデルを用いた病態の解明、新規薬物や遺伝子導入による病態の増悪阻止・改善、さらには細胞移植による網膜再生法を開発する。
結果と考察
現調査の原因疾患第一位は緑内障(20.9%)、第二位は糖尿病網膜症(19.0%)、第三位は網膜色素変性(13.5%)、第四位は黄斑変性(9.3%)であった。
再生医療に関し、サルおよびヒトES細胞をWntシグナルの阻害タンパク質およびNodalシグナルの阻害タンパク質の存在下で浮遊培養し、その後接着培養すること(SFEB/DL)により、網膜前駆細胞への誘導に成功した。
遺伝子治療について、レポーター遺伝子ならびに治療遺伝子(hPEDF)の発現は少なくとも2年間は維持されることが確認された。また、眼局所に重篤な合併症は認めなかった。さらに、全身的には多臓器不全などの重篤な副作用は観察されなかった。  
結論
視覚障害の原因疾患に関する疫学像は、この15年間の医療・技術の進歩、高齢化の影響によって大きく変貌している。白内障などのように非神経組織の疾病に起因する失明は確実・著明に減少しているが、網膜以降の神経組織の障害に起因する視覚障害は依然として難治である。それでも、本報告でも示すように病態解明が進む一方で、徐々にではあるものの治療の方向性が見えつつある。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200731019B
報告書区分
総合
研究課題名
網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-019
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
石橋 達朗(九州大学大学院医学研究院 眼科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 新家 眞(東京大学医学部眼科)
  • 小椋 祐一郎(名古屋市立大学医学部眼科)
  • 坂本 泰二(鹿児島大学医学部眼科)
  • 白神 史雄(香川大学医学部眼科)
  • 田野 保雄(大阪大学医学部眼科)
  • 寺崎 浩子(名古屋大学医学部眼科)
  • 中江 公裕(独協医科大学WHO協力センター)
  • 中澤 満(弘前大学医学部眼科)
  • 湯沢 美都子(日本大学駿河台病院眼科)
  • 吉村 長久(京都大学医学部眼科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
未だ原因究明が不十分かつ有効な治療法が未確立な疾患群(主として加齢黄斑変性、遺伝性網膜変性疾患、視神経萎縮症)を対象とし、病態解明と治療法開発を行う。
研究方法
現在の日本における失明原因の実態を調査・把握するために疫学調査を行うとともに、疾患モデルを用いた病態の解明、新規薬物や遺伝子導入による病態の増悪阻止・改善、さらには細胞移植による網膜再生法を開発する。
結果と考察
現調査の原因疾患第一位は緑内障(20.9%)、第二位は糖尿病網膜症(19.0%)、第三位は網膜色素変性(13.5%)、第四位は黄斑変性(9.3%)であった。
再生医療に関し、サルおよびヒトES細胞をWntシグナルの阻害タンパク質およびNodalシグナルの阻害タンパク質の存在下で浮遊培養し、その後接着培養すること(SFEB/DL)により、網膜前駆細胞への誘導に成功した。さらに低分子化合物を用いてWntシグナルおよびNodalシグナルを阻害したところ、同様にヒトES細胞はRPEおよび視細胞へ分化した。
遺伝子治療については、レポーター遺伝子ならびに治療遺伝子(hPEDF)の発現は少なくとも2年間は維持されることが確認された。また、眼局所に重篤な合併症は認めなかった。さらに、全身的には多臓器不全などの重篤な副作用は観察されなかった。  
結論
視覚障害の原因疾患に関する疫学像は、この15年間の医療・技術の進歩、高齢化の影響によって大きく変貌している。白内障などのように非神経組織の疾病に起因する失明は確実・著明に減少しているが、網膜以降の神経組織の障害に起因する視覚障害は依然として難治である。それでも、本報告でも示すように病態解明が進む一方で、徐々にではあるものの治療の方向性が見えつつある。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200731019C

成果

専門的・学術的観点からの成果
疫学調査の結果から、現在の日本における失明原因を明らかにし、今後重点を置くべき疾患群について明確にすることができた。また遺伝子多型と加齢黄斑変性の病態形成への関与など、これまで不明であった病態の解明に新たな展開がみられた。
臨床的観点からの成果
網膜以降の神経障害という難治性疾患群に対して、薬物による病態制御、遺伝子治療による神経保護、網膜再生、さらには人工視覚の開発など、いずれも着実に臨床応用へとに近づきつつある。
ガイドライン等の開発
特記事項なし
その他行政的観点からの成果
特記事項なし
その他のインパクト
特記事項なし

発表件数

原著論文(和文)
241件
原著論文(英文等)
412件
その他論文(和文)
179件
その他論文(英文等)
27件
学会発表(国内学会)
978件
学会発表(国際学会等)
389件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計2件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Nakao S, Hata Y, Ishibashi T, et al.
Dexamethasone Inhibits IL-1-Induced Corneal Neovascularization: Role of NF-B-activated Stromal Cells in Inflammatory Angiogenesis.
Am J Pathol. , 171 , 1058-1065  (2007)
原著論文2
Kawahara S, Hata Y, Ishibashi T, et al.
Intracellular Events in Retinal Glial Cells Exposed to ICG and BBG.
Invest Ophthalmol Vis Sci. , 48 , 4426-4432  (2007)
原著論文3
Inoue Y, Yanagi Y, Araie M et al.
Expression of hypoxia-inducible factor 1a and 2a in choroidal neovascular membranes associated with age-related macular degeneration.
Br J Ophthaomol , 91 , 1720-1721  (2007)
原著論文4
Inoue Y, Iriyama A, Araie M et al.
Subretinal transplantation of bone marrow mesenchymal stem cells delays retinal degeneration in the RCS rat model of retinal degeneration.
Exp Eye Res. , 85 , 234-241  (2007)
原著論文5
Yamada K, Sakurai E, Ogura Y, et al.
Inhibition of laser-induced choroidal neovascularization by atorvastatin by downregulation of monocyte chemotactic protein-1 synthesis in mice.
Invest Ophthalmol Vis Sci , 48 , 1839-1843  (2007)
原著論文6
Mizuno S, Nishiwaki A, Ogura Y, et al.
Effects of periocular administration of triamcinolone acetonide on leukocyte-endothelium interactions in the ischemic retina.
Invest Ophtahlmol Vis Sci , 48 , 2831-2836  (2007)
原著論文7
Okubo A, Hirakawa M, Sakamoto T, et al.
Clinical features of early and late stage polypoidal choroidal vasculopathy characterized by lesion size and disease duration.
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol , 246 , 491-499  (2007)
原著論文8
Sonoda S, Tachibana K, Sakamoto T, et al.
Inhibition of Melanoma by Ultrasound-Microbubble-Aided Drug Delivery Suggests Membrane Permeabilization
Cancer Biology & Therapy. , 6 , 1276-1283  (2007)
原著論文9
Hirooka K, Miyamoto O, Shiraga F, et al.
Neuroprotective effect of D-allose against retinal ischemia reperfusion injury.
Invest Ophthalmol Vis Sci. , 47 , 1653-1657  (2007)
原著論文10
Fujikado T, Kanda H, Tano Y, et al.
Evaluation of phosphene by extraocular stimulation in normals and by suprachoroidal-transretinal stimulation in patients with retinitis pigmentosa.
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol , 245 , 1411-1419  (2007)
原著論文11
Kikuchi M, Nakamura M, Terasaki H, et al.
Elevated C-reactive protein levels in patients with polypoidal choroidal vasculopathy and with neovascular age-related macular degeneration.
Ophthalmology , 114 , 1722-1727  (2007)
原著論文12
Ishikawa K, Kondo M, Terasaki H, et al.
Correlation between focal macular electroretinograms and angiographic findings after photodynamic therapy.
Invest Ophthalmol Vis Sci , 48 , 2254-2259  (2007)
原著論文13
Taira K, Nakazawa M, Sato M.
A mutation (c. 1142 del G) in the PRPF31 gene in a family with autosomal dominant retinitis pigmentosa (RP11) and its implications.
Jpn J Ophthalmol , 51 , 45-48  (2007)
原著論文14
Hangai M, Ojima Y, Yoshimura N, et al.
Three dimensional imaging of macular hole with high-speed optical coherence tomography
Ophthalmology , 114 , 763-773  (2007)
原著論文15
Shimada H,Kawamura A,Yuzawa M, et al.
Clinicopathological Findings of Retinal angiomatous proliferation,
Graefe’s Arch Clin Exp Ophthalmol , 245 , 295-300  (2007)
原著論文16
Osakada F, Ooto S, Takahashi M, et al.
Wnt Signaling Promotes Regeneration in the Retina of Adult Mammals.
J. Neurosci. , 27 , 4210-4219  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-