副腎ホルモン産生異常に関する調査研究

文献情報

文献番号
200731009A
報告書区分
総括
研究課題名
副腎ホルモン産生異常に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
藤枝 憲二(旭川医科大学 医学部小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 光弘(帝塚山大学 現代生活学部)
  • 諸橋 憲一郎(九州大学大学院 医学研究院)
  • 加藤 茂明(東京大学 分子細胞生物学研究所)
  • 柳瀬 敏彦(九州大学大学院 医学研究院)
  • 田中 廣壽(東京大学 医科学研究所先端医療研究センター)
  • 柴田 洋孝(慶應義塾大学 医学部)
  • 笹野 公伸(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 宮森  勇(福井大学 医学部)
  • 宮本  薫(福井大学 医学部)
  • 大関 武彦(浜松医科大学 小児科)
  • 笠山 宗正(日本生命済生会附属日生病院 総合内科)
  • 宗  友厚(岐阜大学大学院 医学研究科)
  • 長谷川 奉延(慶應義塾大学 医学部)
  • 上芝  元(東邦大学 医学部)
  • 武田 仁勇(金沢大学大学院 医学系研究科)
  • 村尾 孝児(香川大学 医学部)
  • 田島 敏広(北海道大学大学院 医学研究科)
  • 菅原 照夫(北海道大学大学院 医学研究科)
  • 田村 尚久(京都大学大学院 医学研究科)
  • 西川 哲男(横浜労災病院 内分泌代謝内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
副腎の発生・分化、ステロイド産生、その作用に異常を呈する疾患を対象に病因・病態の解明、新しい診断法・治療法の開発、さらには疾患の実態調査を行い、診療ガイドラインを作成することを研究目標として研究を継続させた。
研究方法
(1)副腎ホルモン産生異常症の診療ガイドライン作成
原発性アルドステロン症、副腎癌、副腎偶発腫瘍、先天性副腎過形成症、先天性副腎酵素欠損症、先天性副腎低形成症
(2)副腎の再生に関する研究
(3)副腎ホルモン産生異常に関連する基礎的・臨床的研究
副腎の発生・分化、ステロイド合成、原発性アルドステロン症、ステロイド受容体
結果と考察
(1) 先天性副腎過形成症の診断基準の改訂、先天性副腎低形成症の診断の手引きの作成を行った。副腎偶発腫瘍・副腎癌、先天性副腎過形成症の出生前診断・出生前治療に関する全国アンケート調査を実施した。
(2) SF-1/Ad4BP導入、または転写因子LRH-1導入によりヒト骨髄由来間葉系幹細胞をステロイド産生細胞へと形質転換することに成功した。
(3) Ad4BP/SF1の胎仔副腎皮質特異的エンハンサーの研究、StARタンパク・DAX-1タンパクとの相互作用因子の探索、StARタンパクの発現調節機構に関しての研究を行った。副腎癌に対する治療法について検討した。また、アルドステロン作用と心血管障害との関連、原発性アルドステロン症の臨床的診断法の検討がなされ、ステロイド合成酵素の活性に影響する因子の解析も進んだ。副腎皮質機能低下症に対する治療法や髄質機能に関する検討も行った。ステロイドホルモン受容体の発現や機能に関する調節機構についても解析が進められ、ステロイドホルモンの作用機構についての新たな知見を得ることができた。
結論
副腎ホルモン産生異常に関連する病因、病態を把握し、その有用な診断・治療法を確立することを目的に、さまざまな臨床的研究および基礎的研究が行われ、多くの成果を得ることができた。主な成果として以下のものがあげられる。
・「原発性アルドステロン症」、「先天性副腎過形成症」、「先天性副腎低形成症」に関して診断の手引きを作成した
・「副腎偶発種」について診断・治療指針を作成した
・原発性アルドステロン症、副腎偶発種、21-水酸化酵素欠損症の出生前診断・出生前治療、副腎癌についての全国調査を行い、実態を把握した
・マウスとヒトの間葉系幹細胞からステロイドホルモン産生細胞へと誘導することに世界で初めて成功した
・先天性副腎疾患やステロイドホルモン抵抗症、原発性アルドステロン症の病因・病態について顕著な研究成果が得られた

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200731009B
報告書区分
総合
研究課題名
副腎ホルモン産生異常に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
藤枝 憲二(旭川医科大学 医学部小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 光弘(帝塚山大学 現代生活学部)
  • 諸橋 憲一郎(九州大学大学院 医学研究院分子生命科学系機能高分子設計学)
  • 加藤 茂明(東京大学 分子細胞生物学研究所核内情報研究分野)
  • 柳瀬 敏彦(九州大学大学院 医学研究院病態制御内科)
  • 田中 廣壽(東京大学 医科学研究所先端医療研究センター免疫病態分野)
  • 柴田 洋孝(慶應義塾大学 医学部内科)
  • 笹野 公伸(東北大学大学院 医学系研究科病理診断学)
  • 宮森  勇(福井大学 医学部第3内科)
  • 宮本  薫(福井大学 医学部生命情報医科学講座分子生体情報学)
  • 大関 武彦(浜松医科大学 小児科)
  • 笠山 宗正(日本生命済生会附属日生病院 総合内科)
  • 宗  友厚(岐阜大学大学院 医学研究科内分泌代謝病態学)
  • 長谷川 奉延(慶應義塾大学 医学部小児科)
  • 上芝  元(東邦大学 医学部内科学糖尿病代謝内分泌科)
  • 武田 仁勇(金沢大学大学院 医学系研究科分子病態内科)
  • 村尾 孝児(香川大学 医学部内分泌代謝・血液・免疫・呼吸器内科)
  • 田島 敏広(北海道大学大学院 医学研究科小児科)
  • 菅原 照夫(北海道大学大学院 医学研究科分子生化学)
  • 田村 尚久(京都大学大学院 医学研究科内分泌代謝科)
  • 西川 哲男(横浜労災病院 内分泌代謝内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「副腎低形成症(アジソン病)」、「副腎酵素欠損症」、「原発性アルドステロン症」、「偽性低アルドステロン症」、「グルココルチコイド抵抗症」の5疾患を研究対象として、これら疾患の病因・病態を明らかにし、それに基づいた診断法ならびに治療法を開発することを研究目標として調査研究を行った。
研究方法
以下の3分野に大別して臨床的研究と基礎的研究を行った。
・副腎ホルモン産生異常症の診療ガイドライン作成
・副腎の発生・分化機構の解明
・副腎ホルモン産生異常症の病因・病態の解明を目的とした基礎的・臨床的研究
結果と考察
①一般医家向けおよび専門医療機関向けの「原発性アルドステロン症診断の手引き」を作成した。
②「先天性副腎低形成症診断の手引き」を新たに作成し、「先天性副腎過形成症の診断基準」を改訂した。21-水酸化酵素欠損症の出生前診断・治療に関するアンケート調査を行い、その実態を把握した。
③「副腎偶発腫の診断・治療指針」を作成した。
④ホルモン産生副腎癌について副腎偶発腫調査で発見された例での解析及び副腎癌として発見・診断された症例についてアンケート調査を行い解析し、発見の契機・診断・治療の実態を明らかにした。
⑤マウス・ヒト骨髄間葉系細胞、脂肪由来間葉系細胞にAd4BP/SF-1またはLRH-1を強制導入することで多種ステロイドホルモン産生とACTH応答性を有するステロイド産生細胞へと分化誘導することに世界で初めて成功した。
⑥副腎皮膜移植により副腎皮質細胞が再生し、ステロイドを産生することを明らかにした。
⑦その他、副腎ホルモン産生異常症の病因・病態の解明に向けた基礎的・臨床的知見が多数得られた。
結論
「原発性アルドステロン症」、「先天性副腎低形成症」に関してそれぞれ診断の手引きを作成した。また、「副腎偶発腫」について診断・治療指針を作成した。「先天性副腎過形成症」の診断基準の改訂を行った。副腎偶発腫、21-水酸化酵素欠損症の出生前診断・出生前治療、副腎癌についての全国調査を行い、実態を把握した。我が国の高血圧患者に占めるPAの頻度を実地医家受診患者ベースで明らかにするため、全国調査を実施中である。ステロイド補充療法の現状をアンケート調査し問題点を指摘した。マウスとヒトの間葉系細胞からステロイド産生細胞へと分化誘導することに世界で初めて成功した。その他、先天性副腎疾患やステロイドホルモン抵抗症、原発性アルドステロン症の病因・病態について顕著な研究成果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200731009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
Ad4BP/SF-1の胎仔副腎皮質特異的エンハサーを同定し、副腎皮質形成機構の一端を明らかにした。
マウス・ヒト骨髄間葉系細胞、脂肪由来間葉系細胞にAd4BP/SF-1を一過性強制導入することにより多種ステロイドホルモン産生とACTH応答性を有するステロイド産生細胞へと分化誘導することに世界で初めて成功した。その他、LRH-1導入にcAMP処理を加えることによっても同様の分化誘導を導くことが可能となった。
臨床的観点からの成果
新たな先天性副腎酵素欠損症であるP450 oxidoreductase(POR)異常症の概念、診断基準、治療指針を示すことができた。
また、21-水酸化酵素欠損症の出生前診断・治療に関するアンケート調査を行い、その実態を把握した。
ホルモン産生副腎癌について副腎偶発腫調査で発見された例での解析及び副腎癌として発見・診断された症例についてアンケート調査を行い解析し、発見の契機・診断・治療の実態を明らかにした。
ガイドライン等の開発
一般医家向けおよび専門医療機関向けの「原発性アルドステロン症診断の手引き」を作成した。
「先天性副腎低形成症診断の手引き」を新たに作成した。
「先天性副腎過形成症の診断基準」を改訂した。
「副腎偶発腫の診断・治療指針」を作成した。
その他行政的観点からの成果
副腎偶発腫、副腎癌についての全国調査を行い、実態を把握した。
21-水酸化酵素欠損症の出生前診断・治療に関するアンケート調査を行い、実態を把握した。今後、全国共通の出生前診断・治療を行うことができるようなシステム構築、ならびに診療ガイドライン作成が必要になると考えられた。
その他のインパクト
公開の研究報告会を毎年1回開催し、活発なディスカッションが行われた。

発表件数

原著論文(和文)
12件
原著論文(英文等)
63件
その他論文(和文)
40件
その他論文(英文等)
4件
学会発表(国内学会)
57件
学会発表(国際学会等)
33件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計2件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-