自己免疫疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
200731005A
報告書区分
総括
研究課題名
自己免疫疾患に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
研究分担者(所属機関)
  • 渥美 達也(北海道大学大学院第二内科)
  • 小野 栄夫(東北大学大学院医学系研究科医科学専攻病理学講座病理形態学分野)
  • 平林 泰彦(東北大学病院血液免疫科)
  • 岡崎 仁昭(自治医科大学アレルギー膠原病学講座)
  • 伊藤 聡(筑波大学大学院人間総合科学研究科先端応用医学専攻臨床免疫学分野)
  • 三村 俊英(埼玉医科大学リウマチ膠原病学部門)
  • 竹内 勤(埼玉医科大学総合医療センターリウマチ膠原病内科)
  • 三森 明夫(国立国際医療センター第一病棟)
  • 平形 道人(慶應義塾大学医学部内科)
  • 高田 和生(東京医科歯科大学医学部附属病院膠原病・リウマチ内科)
  • 天野 浩文(天堂大学医学部膠原病内科)
  • 広瀬 幸子(順天堂大学医学部病理・腫瘍学講座)
  • 山田 亮(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターゲノム機能解析分野)
  • 首藤 紘一(財団法人乙卯研究所)
  • 三宅 幸子(国立精神・神経センター神経研究所免疫研究部)
  • 加藤 智啓(聖マリアンナ医科大学疾患プロテオーム・分子病態治療学)
  • 西本 憲弘(大阪大学大学院生命機能研究科免疫抑制学講座)
  • 田中 良哉(産業医科大学医学部第一内科学講座)
  • 江口 勝美(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科展開医療科学講座(第一内科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus, SLE)、多発性筋炎・皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis, PM/DM)、シェーグレン症候群(Sjogren’s syndrome, SS)、成人スティル病(adult onset Still disease, AOSD)などの自己免疫疾患に対して、共同研究事業として、ゲノムの解析の為のサンプル収集、SLEの適正治療方針の検討、新規治療法の導入のための臨床治験の推進を行い、個別研究として病態解明、先端的治療法の開発などの研究を推進することを目的とした。
研究方法
ゲノム解析の為のSLEのDNAサンプル収集は、本研究組織参加の臨床系の分担研究者全員が、それぞれ学内の倫理委員会に申請後、インフォームドコンセントを取得し、収集を開始した。
モデルマウスを用いた研究、SLEを対象とした研究はそれぞれ個別の研究を展開した。SLEの臨床的解析では、施設病歴調査、患者団体アンケート調査によるデータベースの作成などを行なった。治療に関しては、それぞれ倫理委員会などの必要な委員会の承認を得て行なった。
結果と考察
ゲノム解析の為のSLEのDNAサンプル収集は、本研究組織参加の臨床系の分担研究者全員が、それぞれ学内の倫理委員会に申請後、インフォームドコンセントを取得しつつ収集を進行させている。
モデルマウスを用いた解析、SLEを対象とした研究では、それぞれのプロジェクトを推進した。脾臓マクロファージを除去することで、マウスのレベルでは腎炎が抑制されること、小胞体ストレス応答蛋白Herpは抗原性を持ち抗DNA抗体産生を誘導することなどが報告された。
SELの臨床的検討では、ループス腎炎の発生時期が、治療反応性と経過を強く規定し、腎病理所見よりも正確な予後予測を与えるというまったく新しい知見を得た。
実際のヒトを対象とした治療では、SLEに対するリツキシマブ投与で、有効性評価は、14例中2例がMajor clinical response、7例がPartial clinical responseなどが報告された。
結論
難治性疾患の代表であるSLEなどの自己免疫疾患について、基礎的、臨床的研究を推進できた。今後、これらの研究を継続することで、より学術的、国際的、社会的に意義のある成果を達成できると考える。

公開日・更新日

公開日
2008-04-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200731005B
報告書区分
総合
研究課題名
自己免疫疾患に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
研究分担者(所属機関)
  • 渥美 達也(北海道大学大学院第二内科)
  • 小野 栄夫(東北大学大学院医学系研究科医科学専攻病理学講座病理形態学分野)
  • 平林 泰彦(東北大学病院血液免疫科)
  • 岡崎 仁昭(自治医科大学アレルギー膠原病学講座)
  • 伊藤 聡(筑波大学大学院人間総合科学研究科先端応用医学専攻臨床免疫学分野)
  • 三村 俊英(埼玉医科大学リウマチ膠原病学部門)
  • 竹内  勤(埼玉医科大学総合医療センターリウマチ膠原病内科)
  • 三森 明夫(国立国際医療センター第一病棟)
  • 平形 道人(慶應義塾大学医学部内科)
  • 高田 和生(東京医科歯科大学医学部附属病院膠原病・リウマチ内科)
  • 天野 浩文(天堂大学医学部膠原病内科)
  • 広瀬 幸子(順天堂大学医学部病理・腫瘍学講座)
  • 山田 亮(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターゲノム機能解析分野)
  • 首藤 紘一(財団法人乙卯研究所)
  • 三宅 幸子(国立精神・神経センター神経研究所免疫研究部)
  • 加藤 智啓(聖マリアンナ医科大学疾患プロテオーム・分子病態治療学)
  • 西本 憲弘(大阪大学大学院生命機能研究科免疫抑制学講座)
  • 田中 良哉(産業医科大学医学部第一内科学講座)
  • 江口 勝美(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科展開医療科学講座(第一内科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus, SLE)、多発性筋炎・皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis, PM/DM)、シェーグレン症候群(Sjogren’s syndrome, SS)、成人スティル病(adult onset Still disease, AOSD)などの自己免疫疾患に対して、共同研究事業として、ゲノムの解析の為のサンプル収集、SLEの適正治療方針の検討、新規治療法の導入のための臨床治験の推進を行い、個別研究として病態解明、先端的治療法の開発などの研究を推進することを目的とした。
研究方法
ゲノム解析の為のSLEのDNAサンプル収集は、それぞれ学内の倫理委員会に申請後、インフォームドコンセントを取得し、収集を開始した。SLEの臨床的解析では、施設病歴調査、患者団体アンケート調査によるデータベースの作成と、治療効果と病態発生の時系列の統計解析をおこなった。
結果と考察
ゲノム解析の為のSLEのDNAサンプル収集は、本研究組織参加の臨床系の分担研究者全員が、それぞれ学内の倫理委員会に申請後、インフォームドコンセントを取得しつつ収集を開始し、現在までに約450サンプルの収集が終わっている。また、候補遺伝子解析として、SAP遺伝子のイントロン多型が、若年齢群においてSLE発症に関連することを明らかとした。
モデルマウスを用いた解析では、IL-4受容体遺伝子多型がSLE発症に関わることが明らかとなった。SLEを対象とした研究では、抗プロトロンビン抗体は、直接トロンビン生成を亢進させ、向血栓細胞を活性させることが見出され、脾臓マクロファージを除去することで、マウスのレベルでは腎炎が抑制されることなどが示された。
SELの臨床的検討では、ループス腎炎の発生時期が、治療反応性と経過を強く規定し、腎病理所見よりも正確な予後予測を与えるというまったく新しい知見を得た。
実際のヒトを対象とした治療では、活動性IPを伴うPM/DM患者を対象とし、タクロリムスと糖質コルチコイドの併用投与群単群による多施設共同オープン試験などの第II/III相治験を計画し、全参加施設でのIRB承認の上2007年6月に治験届提出、2007年7月より被験者登録を開始した。
結論
難治性疾患の代表であるSLEなどの自己免疫疾患について、基礎的、臨床的研究を推進できた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200731005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
全身性エリテマトーデス、多発性筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群、成人スティル病などの自己免疫疾患に対して、共同研究事業として、ゲノムの解析の為のサンプル収集、全身性エリテマトーデスの適正治療方針の検討、新規治療法の導入のための臨床治験の推進を行い、個別研究として病態解明、先端的治療法の開発などの研究を推進した。
臨床的観点からの成果
全身性エリテマトーデスの臨床的検討で、ループス腎炎の発生時期が、治療反応性と経過を強く規定し、腎病理所見よりも正確な予後予測を与えるというまったく新しい知見を得た。
実際のヒトを対象とした治療では、活動性間質性肺炎を伴う筋炎患者を対象とし、タクロリムスの多施設共同オープン試験などの第II/III相治験を計画し、全参加施設でのIRB承認の上2007年6月に治験届提出、2007年7月より被験者登録を開始した。全身性エリテマトーデスに対するリツキシマブ投与で、有効性が見られた。
ガイドライン等の開発
SLEの適正治療方針の検討を行なっているが、ガイドラインなどの開発までには至っていない。
その他行政的観点からの成果
筋炎症状を伴わない皮膚筋炎をどのように診断、認定するかを検討中である。
その他のインパクト
班会議は公開で行なった。それ以外は特になし。

発表件数

原著論文(和文)
37件
原著論文(英文等)
280件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
50件
推定
学会発表(国際学会等)
10件
推定
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計5件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Fujio K, Okamura T, Okamoto A, Yamamoto K.
T cell receptor and anti-inflammatory gene modulated T cells as therapy for auto immune diseases.
Expert Rev Clin Immunol.  (2007)
原著論文2
Yamaguchi Y, Fujio K, Shoda H, et al.
Interleukin-17B and interleukin-17C are associated with TNF-alpha production and contribute to the exacerbation of inflammatory arthritis.
J Immunol. , 179 , 7128-7136  (2007)
原著論文3
Fujio K, Okamura T, Okamoto A, et al.
T cell receptor gene therapy for autoimmune diseases.
Ann N Y Acad Sci. , 10 , 222-232  (2007)
原著論文4
Fujio K, Okamoto A, Araki Y, et al.
Gene therapy of arthritis with TCR isolated from the inflamed paw.
J Immunol. , 177 , 8140-8147  (2006)
原著論文5
Shoda H, Fujio K, Yamaguchi Y, et al.
Interactions between IL-32 and tumor necrosis factor alpha contribute to the exacerbation of immune-inflammatory diseases.
Arthritis Res Ther. , 8 , 166-  (2006)
原著論文6
Yu R, Fujio K, Tahara H, et al.
Clonal dynamics of tumor-infiltrating lymphocytes. 
Eur J Immunol. , 35 , 1754-1763  (2005)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-