難治性血管炎に関する調査研究

文献情報

文献番号
200731004A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性血管炎に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
尾崎 承一(聖マリアンナ医科大学内科学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科)
研究分担者(所属機関)
  • 能勢 眞人(愛媛大学大学院医学系研究科医学専攻病態解析学講座ゲノム病理学分野)
  • 石津 明洋(北海道大学医学部保健学科検査技術科学専攻病理形態機能学分野)
  • 加藤 智啓(聖マリアンナ医科大学生化学)
  • 居石 克夫(九州大学大学院医学研究院病理病態学)
  • 鈴木 和男(千葉大学大学院医学研究院免疫発生学・炎症制御学)
  • 土屋 尚之(筑波大学大学院人間総合科学研究科社会環境医学専攻)
  • 重松 宏(東京医科大学外科学第二講座)
  • 浅原 孝之(東海大学医学部基盤診療学系再生医療科学)
  • 井上 芳徳(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科外科・血管外科)
  • 宮本 正章(日本医科大学大学院器官機能病態内科学)
  • 森下 竜一(大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学)
  • 中林 公正(杏林大学医学部第一内科学)
  • 天野 宏一(埼玉医科大学総合医療センターリウマチ・膠原病内科)
  • 小林 茂人(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院内科)
  • 古川 福実(和歌山県立医科大学皮膚科学)
  • 槇野 博史(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学)
  • 湯村 和子(自治医科大学腎臓内科)
  • 吉田 俊治(藤田保健衛生大学医学部リウマチ感染症内科)
  • 吉田 雅治(東京医科大学八王子医療センター腎臓内科)
  • 山田 秀裕(聖マリアンナ医科大学リウマチ・膠原病・アレルギー内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
43,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 難治性血管炎の診断・治療に関する質の高いEBMを確立し、病因を解明する。本邦の臨床系・基礎系の専門医師・研究者を一同に集約して研究班を組織し、基礎研究、特に免疫・再生・ゲノミクス・プロテオミクスの分野の研究成果を積極的に臨床に応用し、疾患進行の阻止、機能回復・再生を目ざした画期的な診断・治療法を確立することを研究目的とする。
研究方法
 分担研究者を中小型血管炎グループ、大型血管炎グループ、病理・基礎研究グループに分け、研究の分担と協力体制を構築する。
結果と考察
 本邦に多いMPO-ANCA関連血管炎の重症度別治療プロトコールの有用性を明らかにする前向きコホート研究(JMAAV)を厚生労働省の他の研究班と共同で開始し、51例の組み込みを完了した。さらに難治性ANCA関連血管炎に対して、Rituximabの有用性を検討する前向きコホート研究(RiCRAV)を開始し、7例の組み込みを完了した。
 大型血管炎では、Buerger病を対象とした本邦発信の遺伝子治療(HGF遺伝子プラスミド治療)の長期解析を継続した。さらに難治性のBuerger病への血管再生医療として、自己末梢血血管内皮前駆細胞移植や自己骨髄細胞移植を行い、良好な成績をあげた。Buerger病の病因としての歯周病菌の意義を解析した。
 前向き臨床試験で採取した患者末梢血における遺伝子発現を網羅的に解析し、アウトカムと関連して有意に変動する74遺伝子を同定した。血管炎患者血清の認識する抗血管内皮細胞抗体の新規の対応抗原や血管炎特異的な血清ペプチド分子を質量分析法で同定した。疫学的研究として、結節性動脈周囲炎、Wegener肉芽腫症、悪性関節リウマチ、高安動脈炎、 Burger病につき平成13?16年度の臨床個人調査票データをもとに5疾患の受給者の疫学的・臨床医学的特性の分析を行なった。さらに病理・基礎研究ではモデル動物による血管炎の病理発症の解析、血管炎感受性遺伝子の網羅的解析、その候補遺伝子の蛋白質合成などの分野で着実に成果をあげ、これらの臨床応用の展開を進めた。
結論
 難治性血管炎の診断・治療に関する質の高いEBMを確立し、病因を解明するため基礎と臨床研究とを有機的に連携する新しい研究体制を確立し、いくつかの成果を得た。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200731004B
報告書区分
総合
研究課題名
難治性血管炎に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
尾崎 承一(聖マリアンナ医科大学内科学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科)
研究分担者(所属機関)
  • 能勢 眞人(愛媛大学大学院医学系研究科医学専攻病態解析学講座ゲノム病理学分野)
  • 石津 明洋(北海道大学医学部保健学科検査技術科学専攻病理形態機能学分野)
  • 加藤 智啓(聖マリアンナ医科大学生化学)
  • 居石 克夫(九州大学大学院医学研究院病理病態学)
  • 鈴木 和男(千葉大学大学院医学研究院免疫発生学・炎症制御学)
  • 土屋 尚之(筑波大学大学院人間総合科学研究科社会環境医学専攻)
  • 重松 宏(東京医科大学外科学第二講座)
  • 浅原 孝之(東海大学医学部基盤診療学系再生医療科学)
  • 岩井 武尚(つくば血管センターおよび付属バージャー病研究所)
  • 井上 芳徳(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科外科・血管外科)
  • 高野 照夫(日本医科大学)
  • 宮本 正章(日本医科大学大学院器官機能病態内科学)
  • 森下 竜一(大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学)
  • 中林 公正(杏林大学医学部第一内科学)
  • 天野 宏一(埼玉医科大学総合医療センターリウマチ・膠原病内科)
  • 小林 茂人(順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院内科)
  • 古川 福実(和歌山県立医科大学皮膚科学)
  • 槇野 博史(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科学)
  • 湯村 和子(自治医科大学腎臓内科)
  • 吉田 俊治(藤田保健衛生大学医学部リウマチ感染症内科)
  • 吉田 雅治(東京医科大学八王子医療センター腎臓内科)
  • 山田 秀裕(聖マリアンナ医科大学リウマチ・膠原病・アレルギー内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 難治性血管炎の診断・治療に関する質の高いEBMを確立し、病因を解明する。本邦の臨床系・基礎系の専門医師・研究者を一同に集約して研究班を組織し、基礎研究、特に免疫・再生・ゲノミクス・プロテオミクスの分野の研究成果を積極的に臨床に応用し、疾患進行の阻止、機能回復・再生を目ざした画期的な診断・治療法の確立を研究目的とする。
研究方法
 分担研究者を中小型血管炎グループ、大型血管炎グループ、病理・基礎研究グループに分け、研究の分担と協力体制を構築する。
結果と考察
本邦に多いMPO-ANCA関連血管炎について「MPO-ANCA関連血管炎に対する重症度別治療プロトコールの有用性を明らかにする前向きコホート調査研究(JMAAV試験)」を行い、51例を登録した。さらに標準治療抵抗例を対象とした「難治性ANCA関連血管炎に対するRituximabの有用性の検討-前向きコホート研究(RiCRAV試験)」も実施し、7例を登録した。大型血管炎ではBurger病を対象とした本邦発信の遺伝子治療(HGF遺伝子プラスミド治療)の臨床試験を行い有効性と安全性を確認した。難治性大型血管炎への再生医療の有用性も明らかにした。前向き臨床試験の期間に採取した患者試料を用いてアウトカムと関連する遺伝子群の同定に成功し、今後の臨床応用への道を開いた。血管炎患者血清の認識する抗血管内皮細胞抗体の新規の対応抗原をプロテオミクスの手法で同定した。結節性多発動脈炎と顕微鏡的多発血管炎の臨床個人調査票を平成18年度から明確に区分し、今後の臨床個人調査票の適正な活用につなげた。研究班独自の血管炎モデル動物としてリコンビナントインブレッドマウスMXH/lpr、HTLV-I env-pX遺伝子導入ラット、カンジダ成分CAWS誘導冠状動脈炎モデルマウスを樹立・解析した。疫学的研究として結節性動脈周囲炎、Wegener肉芽腫症、悪性関節リウマチ、高安動脈炎、 Burger病につき平成13?16年度の臨床個人調査票データをもとに受給者の疫学的・臨床医学的特性の分析を行なった。
結論
難治性血管炎の診断・治療に関する質の高いEBMを確立し、病因を解明するため基礎と臨床研究とを有機的に連携する新しい研究体制を確立し、いくつかの成果を得た。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200731004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
JMAAV試験で得たMPO-ANCA関連血管炎患者末梢血の遺伝子発現を解析し、アウトカムと関連して有意に変動する74遺伝子を同定した。血管炎患者の抗血管内皮細胞抗体の新規の対応抗原を同定した。血管炎モデル動物としてリコンビナントインブレッドマウスMXH/lpr、HTLV-I env-pX遺伝子導入ラット、カンジダ成分CAWS誘導冠状動脈炎モデルマウスを樹立・解析した。結節性動脈周囲炎、Wegener肉芽腫症、悪性関節リウマチ、高安動脈炎、 Burger病の疫学的・臨床医学的特性の分析を行なった。
臨床的観点からの成果
「MPO-ANCA関連血管炎に対する重症度別治療プロトコールの有用性を明らかにする前向きコホート調査研究(JMAAV試験)」を行い、51例を登録した。さらに標準治療抵抗例を対象とした「難治性ANCA関連血管炎に対するRituximabの有用性の検討-前向きコホート研究(RiCRAV試験)」も実施して7例を登録した。大型血管炎ではBurger病を対象とした本邦発信の遺伝子治療(HGF遺伝子プラスミド治療)の臨床試験を行い有効性と安全性を確認した。難治性大型血管炎への再生医療の有用性も明らかにした。
ガイドライン等の開発
血管炎症候群の診療ガイドラインを日本循環器学会と共同で作成中である。
その他行政的観点からの成果
結節性多発動脈炎と顕微鏡的多発血管炎の臨床個人調査票を平成18年度から明確に区分できた。これは今後の臨床個人調査票の適正な活用にもつながり、画期的な改訂である。
その他のインパクト
原発性血管炎に関する国際シンポジウムInternational Symposium on Primary Systemic Vasculitidesを平成19年9月29日に東京で開催した。海外から4名の演者を招聘した。基礎研究、中小型血管炎、大型血管炎、生物学的製剤の有用性という4テーマで、研究班からの報告も含めて15の演題が発表された。一部の血管炎における日米欧の疫学・病態の差異が関心を集め、今後の国際共同研究の方向性が議論された。それらの内容はproceedingとして発行した。

発表件数

原著論文(和文)
57件
原著論文(英文等)
183件
その他論文(和文)
232件
その他論文(英文等)
12件
学会発表(国内学会)
428件
学会発表(国際学会等)
202件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計11件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
11-1(結節性多発動脈炎)と11-2(顕微鏡的多発血管炎)の分離申請(H18?)、血管炎症候群の診療ガイドラインを作成中(日本循環器学会と共同)(H18?)
その他成果(普及・啓発活動)
1件
血管炎関連9疾患の一般利用者向け特定疾患情報、医療従事者向け診断指針について難病情報センターWebサイトに公開

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Nozaki T., Ozaki S. and Yamada H. et al
Development of an Ex Vivo Cellular Model of Rheumatoid Arthritis.
Arthritis & Rheumatism. , 56 (9) , 2875-2885  (2007)
原著論文2
Suzuki K., Kobayashi S.,Nakabayashi K. et al.
Analysis of risk epitopes of anti-neutrophil antibody MPO-ANCA in vasculitis in Japanese population.
Microbiol. Immunol. , 51 (12) , 1215-1220  (2007)
原著論文3
Akiyoshi Hoshino, Tomokazu Nagao, Kazuo Suzuki. et al.
Trafficking of QD-conjugated MPO-ANCA in Murine Systemic Vasculitis and Glomerulonephritis model mice.
Microbiol.Immunol. , 51 (5) , 551-566  (2007)
原著論文4
Tomokazu Nagao, Mimiko Matsumura, Kazuo Suzuki. et al.
Up-regulation of adhesion molecule expression in glomerular endothelial cells by anti-myeloperoxidase antibody.
Neprol Dialysis Transplant. , 22 , 77-87  (2007)
原著論文5
Kawasaki A., Tsuchiya N., Ohashi J., et al.
Role of APRIL (TNFSF13) polymorphisms in the susceptibility to systemic lupus erythematosus in Japanese.
Rheumatology , 46 , 776-782  (2007)
原著論文6
Hitomi Y., Tsuchiya N., Hasegawa M., et al.
Association of human CD22 gene polymorphism with susceptibility to limited cutaneous systemic sclerosis.
Tissue Antigens , 69 , 242-249  (2007)
原著論文7
Tsuchiya N., Kyogoku C., Miyashita R., et al.
Diversity of human immune system multigene families and its implication in the genetic background of rheumatic diseases.
Curr Med Chem , 14 , 431-439  (2007)
原著論文8
Kyogoku C, Tsuchiya N.
A compass that points to lupus: Genetic studies on type I interferon pathway.
Genes Immun , 8 , 445-455  (2007)
原著論文9
土屋尚之、京極千恵子
SLE発症の分子機序-ゲノム解析による最新の知見
リウマチ科 , 38 (2) , 103-108  (2007)
原著論文10
櫻井大祐、川崎綾、土屋尚之、他
BAFF, APRILの機能と自己免疫疾患における役割
分子リウマチ , 4 , 307-313  (2007)
原著論文11
Karube M., Nakabayashi K., Fujioka Y. et al.
Lipoprotein glomerulopathy-like disease in a patient with type III hyper-lipoproteinemia due to apolipoprotein E2(Arg 158 Cys)/3 hetelozygosity.
Clin Exp Nephrol , 11 , 174-179  (2007)
原著論文12
Tamura N., Matsudaira R., Kobayashi S. et al.
Two cases of refractory Wegenerユs granylomatosis successfully treated with rituximab.
Intern Med , 46 , 409-414  (2007)
原著論文13
古川福実、中村智之、金澤伸雄
総説「時空をマーチする血管炎」
Visual Dermatology , 6 , 452-457  (2007)
原著論文14
Yamazaki M.,Takei T.,Yumura W. et al.
Wegener's granulomatosis complicated by intestial ulcer due to cytomegalovirus infection and by thrombotic thrombocytopenic purpura.
Intern Med. , 46 (17) , 1435-1440  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-