縁取り空砲を伴う遠位型ミオパチーの根本的治療法開発

文献情報

文献番号
200730071A
報告書区分
総括
研究課題名
縁取り空砲を伴う遠位型ミオパチーの根本的治療法開発
課題番号
H19-こころ-一般-023
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
西野 一三(国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 野口 悟(国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部)
  • 林 由起子(国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
26,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦に患者の多いDMRVの治療法・予防法の開発を目指す。本研究申請においては、シアル酸状態の回復とアミロイド沈着抑制を二大戦略とし、DMRVモデルマウスを用いて前臨床試験を行い、DMRV治療のシーズ開発を行うことを目標としている。
研究方法
シアル酸の回復では、モデルマウスへのシアル酸投与と細胞移植研究、遺伝子治療の基礎的研究を行ない、アミロイド沈着抑制では、モデルマウスへの阻害剤の投与を行なった。低シアル酸の回復療法として、DMRVモデルマウスに対し、3種類の試薬を約40週間投与した。運動能力試験、筋力測定、病理解析など、様々なパラメーターにより評価した。移植用細胞はGFPマウスより調製し、精製した。遺伝子治療用のウイルスベクターを定法により構築し、発現と細胞内局在を調べた。
結果と考察
3種類のシアル酸関連試薬の投与により、DMRVマウスは、運動能力、筋収縮力、筋萎縮、筋病理、いずれにおいても著明な改善を示し、ほぼ、野生型マウスと同様の成績を示した。このことは、投与した試薬が、有効に細胞内へ取り込まれ、シアル酸の合成に充分効果を発揮しうることを示唆していた。3種類の試薬は、それぞれ、細胞取り込み経路が異なることが予想されるが、すべてが効果的である事は興味深い。アミロイド沈着阻害剤投与では、多くのマウスが致死に至ったが、投与法を変える事で改善が見られた。遺伝子治療用ウイルスベクターは、高い感染効率と発現レベルを示し、発現GNEタンパク質は細胞質に局在した。移植用細胞は充分に精製され、収率は35%であった。
結論
DMRV治療法開発に向けて、シアル酸回復用の試薬の投与は、DMRVマウスの症状の改善に充分な効果が得られる事が判った。今後は、細胞移植、遺伝子治療などの他のシアル酸補充療法やアミロイド抑制治療法と組み合わせる事で、よりよい治療法の開発へとつなげていきたいと考えている。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
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