ヒト・アルツハイマー病に対するDNAワクチン療法の確立を目指して

文献情報

文献番号
200730065A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト・アルツハイマー病に対するDNAワクチン療法の確立を目指して
課題番号
H19-こころ-一般-017
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
松本 陽(財団法人東京都医学研究機構東京都神経科学総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 大倉良夫(財団法人東京都医学研究機構東京都神経科学総合研究所 )
  • 蕨 陽子(柴崎陽子)(財団法人東京都医学研究機構東京都神経科学総合研究所 )
  • 神山邦子(財団法人東京都医学研究機構東京都神経科学総合研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
29,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アルツハイマー病は認知障害を主症状として中年以降発症する神経疾患で、我が国では100万-200万人の患者が存在すると推定されている。その治療法の開発は医学的にも、社会的にも、経済学的にも極めて重要な課題である。1999年、Aベータペプチドをワクチンとしてアルツハイマー病モデル・マウスに投与して抗Aベータ抗体の産生を誘導すると、Aβ沈着を軽減し、さらに記銘力障害を改善することが示された。その後、欧米においてAベータペプチド・ワクチンの臨床試験が開始された。しかし、1-3回のワクチン注射後、約5%の症例で無菌性髄膜炎が発生し、治験は中断される事となった。我々はこのような副作用を克服して、効果をあげるためにDNAワクチンを開発することにした。本研究ではAベータDNAワクチンの作用機序を解明し、より効果や安全性の高い新型ワクチンを開発するための資料とする。さらに、新型ワクチンを用いて、サルでの安全性と効果を確認し、臨床試験に結びつける。
研究方法
DNAワクチンをAPP23マウスに予防投与、治療投与を行い、Aベータ沈着削減の程度、副作用の有無、ワクチンの作用機序について検索を加えた。
結果と考察
予防的投与群では対照群の10-30%まで、既にAベータ沈着が認められた12ヶ月齢から開始した治療的投与群においては対照群の50%までAβ沈着が減少していた。また、Aベータペプチド・ワクチンで生じた副作用はまったく認められなかった 。さらに、その作用機序としてはワクチンの投与によって上昇した抗体が中枢神経系に移行し、ミクログリアによるAベータ貪食を促進させることが主流であることが明らかとなった。サル実験に関しては平成20年度人その成果が得られる。
結論
本研究で得られる成果はアルツハイマー病の治療に直結し、医学的、社会的、経済学的に大きく貢献すると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-03-17
更新日
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