精神医療の質的実態把握と最適化に関する総合研究

文献情報

文献番号
200730056A
報告書区分
総括
研究課題名
精神医療の質的実態把握と最適化に関する総合研究
課題番号
H19-こころ-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
伊豫 雅臣(千葉大学大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 松原三郎(医療法人財団松原愛育会松原病院)
  • 佐々木一(爽風会佐々木病院)
  • 三辺義雄(金沢大学大学院医学系研究科)
  • 羽間京子(千葉大学社会精神保健教育研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
精神障害者に対する医療の質の向上と地域生活支援に基づく退院促進に関する実行あるモデルプラン作成が本研究の目的である。
研究方法
精神科病院入院患者を対象とした精神医学的な医療必要度の分布や現在の精神科病院が提供可能である医療的資源の質量を明らかにして、現在入院中の精神障害者に対する医療資源の提供を最適化するための方略を考案する。また、我が国の精神科病院が精神障害者の入院医療及び地域保健福祉に対して果たしてきた役割と、現状における地域社会が提供できる社会資源の質量を明らかとし、諸外国の精神障害者退院支援方策を我が国に適応することの利点と問題点について明らかにする。さらに、新規に入院する精神障害者の早期退院を促進し入院の長期化を防ぐための最善の精神医療の内容を明らかにするとともに、社会的入院解消のために必要な精神保健福祉的支援の内容を明らかにする。
結果と考察
新規入院患者の早期退院には「医師・看護師・コメディカル」の人員の増強および、それら多職種の連携した活動が重要であり、精神症状の残存が長期入院に影響していることが示唆された。長期の精神科入院患者の病態は極めて多岐に渡っており、精神症状や能力障害、社会機能の評価に加え、患者自身の緊急時対応能力評価も重要であることが示唆された。そして精神疾患特有の看護ニーズや必要とされる看護技術が示唆された。長期入院患者の退院促進には居住施設などの精神福祉施設の整備や多職種チームによる精神障害者の地域生活への包括的な支援、病院と精神福祉施設・団体等の間の有機的ネットワークの構築が重要であることが示唆された。一方で精神病床数及び平均在院期間と社会内資源の量には地域間で大きな差異があることが指摘された
結論
新規入院患者の早期退院には多職種の連携した活動が重要であり、入院長期化には残存する精神症状の改善が必要である。精神科長期入院患者の病態は極めて多岐であり、適切な評価方法の確立が重要である。また、退院促進における看護ケアにおいては、精神疾患に対する特有の技術が必要であることが示唆された。さらに長期入院患者の退院促進には居住施設などの精神福祉施設の整備や多職種チームによる精神障害者の地域生活への包括的な支援、病院と精神福祉施設・団体等の間の有機的ネットワークの構築が重要であることが指摘された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-