発達障害者の新しい診断・治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200730054A
報告書区分
総括
研究課題名
発達障害者の新しい診断・治療法の開発に関する研究
課題番号
H19-こころ-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
奥山 眞紀子(国立成育医療センター こころの診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 神尾 陽子(国立精神神経センター 精神保健研究所 児童・思春期精神保健部)
  • 加我 牧子(国立精神神経センター 精神保健研究所 発達障害医学 知的障害部)
  • 杉山 登志郎(あいち小児保健医療総合センター)
  • 山下 裕史朗(久留米大学医学部)
  • 田中 康雄(北海道大学大学院教育学研究院 附属子ども発達臨床研究センター)
  • 小枝 達也(鳥取大学地域学部地域教育学科、発達科学講座)
  • 宮尾 益知(国立成育医療センター こころの診療部)
  • 井上 雅彦(兵庫教育大学 臨床心理学)
  • 辻井 正次(中京大学 現代社会学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発達障害は、早期診断、早期療育・支援、診断、治療、を各年齢に応じて行う必要がある。しかい専門家の不足から広域的な診断・治療に対するサポートが必要とされている。本研究では、広汎性発達障害(PDD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)それぞれの早期診断、早期介入を中心に、診断・治療法およびソーシャルスキルトレーニング(SST)や教育支援に関しての研究を行い、支援へのアクセス確保の方法を含め、成果の社会的還元が目的である。
研究方法
日本語版M-CHAT (Modified Checklist for Autism in Toddlers)を1歳6カ月健診の1400名および保育園児に行い、信頼性と妥当性を検討。SRS(Social Responsiveness Scale)を翻訳して青年期PDD71例に試行。治療に関する前方視的研究の基礎作りとして、文献研究、母子通園施設・PECSによる早期療育・ABAによる早期療育の後方視的検討を行った。ADHDに関し持続性遂行課題(CPT)の有用性検討、サマートリートメントプログラム(STP)を行って効果を判定、ADHD児の保護者1500名と治療に携わる医師1644名に質問紙調査。LDに関し小1年70名にスクリーニング検査の有用性を検討、小1年947名、2年806名で書字習得の経年発達の確認調査。PCを使った治療を試行。SSTに関しPDD男児41名と同年齢対象児205名に自己感情の認知特性調査、感情理解促進プログラムを作成して7例に実施。幼稚園教師・保育士向けインターネットによるe-learningを立ち上げて、数例に実行。
結果と考察
M-CHATの信頼性と妥当性が示され、SRSの有効性の検討を開始。一般的な療育1年以内でKIDS,CBCL,PARS,GHQの各尺度で有意な改善が認められ、療育の有効性が示唆された。PECSによる療育でコミュニケーションの発達が示された。ABAを用いた療育グループの方が、一般通園群よりも有意に発達が伸びていた。CPTではADHDに特徴的な反応が示された。STP前後の各尺度の比較から効果が明確化。通常学級在籍児70名の音読時間、間の回数、誤読数の分布、平均と標準偏差を収集することができ、1名がLDと考えられた。PCによる治療の可能性が示された。PDDの自己感情認知の特徴が示され、プログラムで治療効果が認められた。インターネットを利用したe-learningが有効である可能性が示された。今後の研究の基礎が作られた。
結論
各種発達障害の診断・治療方法の可能性が示され、今後の有用性研究の基礎が築かれた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
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