精神療法の実施方法と有効性に関する研究

文献情報

文献番号
200730053A
報告書区分
総括
研究課題名
精神療法の実施方法と有効性に関する研究
課題番号
H19-こころ-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大野 裕(慶應義塾大学保健管理センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 泰昌(広島大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経医科学)
  • 中川 彰子(川崎医科大学精神科学教室・九州大学大学院医学研究院精神病態医学)
  • 古川 壽亮(名古屋市立大大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野)
  • 石井 朝子(社会福祉法人 礼拝会ミカエラ寮)
  • 仲本 晴男(沖縄県立総合精神保健福祉センター)
  • 清水 栄司(千葉大学大学院医学研究院(神経情報統合生理学))
  • 中島 聡美(国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部)
  • 池上 秀明(池上クリニック)
  • 水島 広子(水島広子こころの健康クリニック)
  • 藤澤 大介(慶應義塾大学医学部精神神経科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、有病率が高く社会生活への影響も大きいことが明らかにされているうつ病性障害、不安障害(パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害)、境界性パーソナリティ障害、および摂食障害に対して、基礎となるマニュアルにそって認知行動療法などの精神療法を施行し、わが国の臨床場面における精神療法の効果と有用性を体系的に検証することを目的として行っているものである。
研究方法
1.欧米で効果があるというエビデンスが多く報告されている認知行動療法などの精神療法をマニュアルに準拠して行い、うつ病および不安障害(パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害)、パーソナリティ障害に対する効果の検証を開始した。
2.医科診療報酬点数表に規定されている点数項目であり、精神科の診療で広く行われている通院精神療法通院精神療法の申請の実態を調査した。
3.これまでの研修の経験を基に、認知行動療法の研修のあり方を検討した。
4.医療経済的な視点から精神療法の意義を検討した。
結果と考察
1.認知行動療法などの精神療法がうつ病および不安障害(パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害)、パーソナリティ障害に対して効果的である可能性が示された。こうした成果を受けて、うつ病に関しては、RCTによる効果研究の基盤を整備した。2.医科診療報酬点数表に規定されている点数項目である通院精神療法が、保険医療で点数評価されている精神科医の技術料の大部分を占める最重要項目であることを確認した。3. 認知行動療法に共通した要素を明らかにして、それに基づく研修のあり方を示した。4.うつ病に関して、薬物療法と精神療法の併用療法が費用対効果のある治療法であることが明らかになった。
結論
精神療法は種々の精神疾患に対して有用な治療法であり、さらに研究を積み重ねる必要があることが明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2008-06-09
更新日
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