ハンチントン病の根本的治療の実現をめざした最新RNAi誘導技術を基盤とする先端的治療法の開発と確立

文献情報

文献番号
200730043A
報告書区分
総括
研究課題名
ハンチントン病の根本的治療の実現をめざした最新RNAi誘導技術を基盤とする先端的治療法の開発と確立
課題番号
H18-こころ-一般-021
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
北條 浩彦(国立精神・神経センター神経研究所遺伝子工学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 和田 圭司(国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第4部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
29,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、難治性の神経変性疾患であるハンチントン病の根本的治療を目指し、次世代の先端医療技術として注目されているRNAi法を用いてハンチントン病原因遺伝子(ハンチンチン遺伝子)の発現抑制を誘導し、モデル細胞・モデル動物を用いた解析から、ハンチントン病の根本的治療の基盤となる方法論の確立を行う。本年度は安全なRNAi治療の実現に向けた研究開発に取組んだ。
研究方法
1) 対立遺伝子特異的RNAi誘導
対立遺伝子特異的RNAiノックダウンの評価システムを用いて、ハンチンチン遺伝子内の多型部位をターゲットとする対立遺伝子特異的RNAi誘導の評価を行なった。

2) コモン・マーモセットハンチンチン遺伝子解析
ヒトに近い霊長類実験動物であるコモン・マーモセットを用いて、研究対象遺伝子であるコモン・マーモセットハンチンチン遺伝子のクローンの単離と同定を試みた。

3) 異常型ハンチンチンとUCH-L1の関連解析
伸長したポリグルタミンを含むハンチンチンタンパク質の発現量が、UCH-L1の存在によって変化するか否かを検討した。
結果と考察
1) 対立遺伝子特異的RNAi誘導
ハンチンチン遺伝子内の一つの多型部位に対して、それぞれの対立遺伝子を識別し、ノックダウンすることができるsiRNAを選定することができた。

2) コモン・マーモセットハンチンチン遺伝子解析
コモン・マーモセットハンチンチン遺伝子の単離と同定に成功した。さらに、得られたクローンを基にRNAi評価のためのGFP融合遺伝子の構築を行い、それを用いて強力にRNAiノックダウンするsiRNAの設計にも成功した。

3) ハンチンチンタンパク質量とUCH-L1との関連解析
ハンチンチンタンパク質量がUCH-L1の存在によって減少する傾向が観察された。
結論
1)最新RNAi技術として対立遺伝子特異的RNAi誘導技術を取り入れ、正常型遺伝子を抑制しないで異常型遺伝子だけを特異的にノックダウンさせる、RNAi治療の実現の可能性が開かれた。

2)霊長類実験動物であるコモン・マーモセットのハンチンチン遺伝子の単離・同定に成功し、この成果を元に霊長類疾患モデル動物作出に向けた基礎データ整備に着手することができた。

3)UCH-L1がユビキチン-プロテアソーム系のタンパク質分解システムと共に、ハンチンチンタンパク質量の調節に関与している可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-