医療観察法による医療提供のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200730025A
報告書区分
総括
研究課題名
医療観察法による医療提供のあり方に関する研究
課題番号
H18-こころ-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中島 豊爾(地方独立行政法人岡山県精神科医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 五十嵐 禎人(千葉大学社会精神保健教育研究センター)
  • 岡江 晃(京都府立洛南病院)
  • 川副 泰成(国保旭中央病院)
  • 来住 由樹(地方独立行政法人岡山県精神科医療センター )
  • 佐藤 三四郎(東京福祉大学)
  • 平田 豊明(静岡県立こころの医療センター)
  • 藤井 康男(山梨県立北病院)
  • 宮崎 隆吉(宮崎クリニック)
  • 吉住 昭(独立行政法人国立病院機構花巻病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
29,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 わが国に司法精神医療を根付かせるためには、医療観察法(以下「法」と略)の適正かつ円滑な運用が不可欠である。このために、本研究は実証的検討を重ね、その成果をもって実際の法運用の適正化をはかり、また、対象者にとってもその他の精神科医療の利用者にとっても納得のできる法制度となるべく寄与するものである。
研究方法
 それぞれの個別研究の目的に応じ、法運用に関わる機関及び関係者に対してアンケート調査、聞き取り調査、実地検証ならびに相互の集団討議等を適宜、選択実施した。
結果と考察
 結果の概略は以下の通りである。①指定入院医療機関からみて、入院処遇者のうち約1/6の事例に疑義が認められた。②鑑定入院医療機関に関しての施設基準等について、ガイドライン案を提示した。③医療観察法病棟近隣住民の不安に対する対応として、「Q&A集」を作成した。④身体合併症に対応できる指定入院医療機関の設置を提言した。⑤小規格病棟を設置するにあたり、考慮すべき諸点について指摘した。⑥入院治療プログラムの具体例を提示した。⑦通院処遇においても、家族介入が重要であることを指摘した。⑧精神科診療所が、指定入院医療機関と連携するための条件を示した。⑨社会復帰調整官の業務量の増大等に伴い、増員が急がれる旨の指摘を行った。⑩措置入院制度のモニタリングのためのソフト開発に着手した。
 指定入院病床の極度の逼迫は周知の事実であり、全国の都道府県に小規格病棟も含めた入院医療機関を設置することが急務である。しかし、早急に設置可能な施設には限界があり、当面、法運用上の工夫が必要とされている。特に、平田のいう「限定主義と拡張主義」の論によるならば、現状では限定的運用が必要と考えられる。このためにも、鑑定の精度を上げるとともに、入院処遇における、より効果的な治療プログラムの開発が急がれるところである。
結論
 法の適正な運用のためにも、また、対象者の円滑な社会復帰のためにも、指定入院医療機関を全国に設置することが、ぜひとも必要である。同時に、社会復帰調整官等の人的資源を格段に拡充することが求められており、通院処遇並びに地域生活支援システムに対する予算の確保が喫緊の課題である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
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