精神医療に係る患者の利用実態や機能等の評価及びその結果の公表に関する研究

文献情報

文献番号
200730010A
報告書区分
総括
研究課題名
精神医療に係る患者の利用実態や機能等の評価及びその結果の公表に関する研究
課題番号
H17-こころ-一般-013
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
吉住 昭(独立行政法人国立病院機構花巻病院)
研究分担者(所属機関)
  • 朝田 隆(筑波大学臨床医学系精神科精神医学)
  • 川副 泰成(国保旭中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
改革のグランドデザイン案の「良質な精神医療の効率的な提供」の精神医療の透明性の向上の項にある「1.地域において中核的な役割を担うべき国公立病院について、患者の利用実態や機能等に関する一定の評価軸を設け、その結果を公表する等の新たな取り組みを進める。2.精神科の特性を勘案しつつ、医療に関する広告規制の緩和や、医療団体によるガイドライン作成などの自主的な取り組みをさらに促す。また、既存の第三者による評価を推進する」に資する資料を作成することを、目的とする。
研究方法
1.医療実態調査班、2.評価軸設定班(イ.評価と評価軸の概念構成、ロ.機能評価項目の設定と集約、ハ、アウトカム評価、二.個別分野の評価軸設定(1.PSW、2.看護、3.作業療法))、3.情報の公開・透明化に関する班の3班を立ち上げた。
結果と考察
 国公立病院院長を対象に臨床指標を用いた評価を依頼し、臨床指標の分布から、ほぼ全ての病院で実施されている基礎的指標とそれ以外の発展的指標に区別できることが示された。また、病院の評価でどういう側面が重視されるかという点についての調査も行い、アウトカム領域が最も重視されていた。しかし、アウトカム評価は、未だ確立されたものとはいい難く、OECD のIndicatorや、オーストラリアのアウトカム評価指標をわが国の実情にあった形で改変し使用した。一方、精神科医療の質の向上には、各職種の質の高い活動などが必要とされ、PSW、精神科看護、作業療法の機能評価表を作成し使用した。その結果、評価表の有用性が示された。精神医療の領域における情報公開については、当事者や家族の希望が反映されることは少なかったという視点を重視し研究を進めた。また、特に発症した患者・家族にとって有効な情報が伝わっておらず、その点もふまえ、「公開される情報を正しく読んで利用するための手引き」を示した。
結論
 患者の利用実態や機能等に関する一定の評価軸を設け、その結果を公表する等の新たな取り組みを進めることを目的に研究を進めた。国公立病院の調査から、アウトカム領域の必要性は認めつつもそのための指標がわが国にで確立していないことから、諸外国の指標を紹介するとともに、一部をわが国の現状に合わせ使用した。精神科病院の質の向上のために、PSW、作業療法、看護に関する評価指標を作成し使用した。情報公開については、ユーザーと医療提供者の情報公開に関するズレを調査するとともに、精神科病院の情報を適切に利用するための「公開される情報を正しく読んで利用するための手引き」を示した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200730010B
報告書区分
総合
研究課題名
精神医療に係る患者の利用実態や機能等の評価及びその結果の公表に関する研究
課題番号
H17-こころ-一般-013
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
吉住 昭(独立行政法人国立病院機構花巻病院)
研究分担者(所属機関)
  • 朝田 隆(筑波大学臨床医学系精神医学)
  • 川副泰成(国保旭中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
改革のグランドデザイン案にある「1.地域において中核的な役割を担うべき国公立病院について、患者の利用実態や機能等に関する一定の評価軸を設け、その結果を公表する等の新たな取り組みを進める。2.精神科の特性を勘案しつつ、医療に関する広告規制の緩和や、医療団体によるガイドライン作成などの自主的な取り組みをさらに促す。また、既存の第三者による評価を推進する」に資する資料を作成することを目的とする。
研究方法
 1.医療実態調査班、2.評価軸設定班(イ.評価と評価軸の概念構成、ロ.機能評価項目の設定と集約、ハ.諸外国の文献レビュー、ニ.アウトカム評価、ホ.個別分野の評価軸設定(1.PSW、2.看護、3.作業療法))、3.情報の公開・透明化に関する班の3班を立ち上げ、調査研究を行った。
結果と考察
国内や諸外国で使用されている評価項目を、アクセス、構造、過程、結果の4領域にそって整理し、それを用いて国公立病院の調査を行った。また、病院の評価でどういう側面が重視されるかについても調査し、アウトカム領域が最も重視されていることを示した。さらに、諸外国で使用されているアウトカム指標のわが国への適用も試みた。精神科病院で重要な役目を果たすPSW、看護、作業療法の機能について、過去に行われた調査をレビューするとともに、各職種の機能評価表を作成し実地に使用し、その有用性と問題点を整理した。「情報公開班」は、肝心な当事者・家族の希望が反映されることは少なかったという視点を重視し研究を進めた。そして、重要な情報で公開すべきと考える項目について、特に医療関係者と当事者や家族との考えのズレに焦点をあてて調査した。また、オンブズマン制度を紹介し、本制度が精神科医療の質の向上と透明化に寄与することを示した。さらに、「公開される情報を正しく読んで利用するための手引き」を示した。
結論
改革のグランドデザイン案にある精神科病院の透明性の向上に資する資料作成を目的にした。国内や諸外国で使用されている評価項目を集約し、それらの項目を国公立病院において調査した。またアウトカム評価について諸外国の文献をレビューするとともに、一部わが国に適用し国際比較を行った。PSW、看護、作業療法の機能について、各職種の機能評価表を作成し実地に使用し、その有用性と問題点を整理した。情報公開については、特に医療関係者と当事者や家族との考えのズレに焦点をあてて調査した。さらに、「公開される情報を正しく読んで利用するための手引き」を示した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200730010C

成果

専門的・学術的観点からの成果
国内外22の資料から得られた434項目の臨床指標を、Delphi法の結果に基づき項目を絞り込み、その上で独自に作成した評価マトリックスへ当てはめ、評価構造と評価項目を設定した。また、精神科医療のアウトカム評価は、諸外国で使用されているものをわが国の実情にあった形で一定の改変をせざるを得ず、Australian Council のアウトカム指標とわが国の既存の資料に基づくデータとの比較を行い、抗精神病薬多剤併用率などがわが国において著しく高いことなどを示した。
臨床的観点からの成果
精神科医療のアウトカム評価について、諸外国で使用されているものをわが国の実情にあった形で改変し使用した。また、精神科医療の質の向上には、治療やケアを構成する各職種の質の高い活動などが必要とされ、精神科ソーシャルワーカー、精神科看護、作業療法の機能評価表を作成し使用した。その結果、評価表の有用性が示された。それらを普及し使用することで、わが国の臨床の質を担保できる。
ガイドライン等の開発
情報公開については、特に発症した患者・家族にとって有効な情報が伝わっておらず、その点もふまえ、「公開される情報を正しく読んで利用するための手引き」を示した。
その他行政的観点からの成果
精神科医療のアウトカム評価をわが国の実情にあった形で改変し使用した。また、精神科ソーシャルワーカー、精神科看護、作業療法の機能評価表を作成し使用した。それらを普及し使用することで、わが国の臨床の質の向上に寄与できる。
 機能評価指標に関する諸外国の詳細な文献の分析から、データ収集システムの存在、複数データの使用、データに重み付けをした上での評価などが行われ、その上で評価結果の公開がなされていることなどが明らかになった。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
7件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
黒田研二,朝田隆,中谷真樹他
精神科病院と当事者はそれぞれ公開すべき情報をどう捉えているか -アンケート調査結果の分析-
精神経誌 , 108 (4) , 381-387  (2006)
原著論文2
井上新平、朝田隆、中谷真樹他
精神科病院と当事者はそれぞれ公開すべき情報をどう捉えているか -アンケート調査結果の分析(第2報)-
精神経誌 , 109 (5) , 471-475  (2007)
原著論文3
高島真澄
精神科医療における情報開示のあり方について:ユーザーへの聞き取り調査から
精神経誌 , 109 (5) , 463-470  (2007)
原著論文4
高沢彰,井上新平,黒田研二他
精神科病院における情報公開に対する姿勢について -アンケート調査結果の分析(第3報)-
精神経誌 , 109 (10) , 927-934  (2007)
原著論文5
高島真澄
精神科医療における受診経路に関する調査報告
精神経誌 , 109 (10) , 940-947  (2007)
原著論文6
吉住昭,瀬戸秀文
精神科医療機関の情報公開-「精神医療に係る患者の利用実態や機能等の評価及びその結果の公開に関する研究」から-
精神経誌 , 109 (10) , 949-956  (2007)
原著論文7
香山明美,他
精神科病院機能の評価軸に関する研究-精神科作業療法の機能評価軸設定に向けた研究-
作業療法 , 27 (3)  (2008)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-