心神喪失者等医療観察法制度における専門的医療の向上のためのモニタリングに関する研究

文献情報

文献番号
200730008A
報告書区分
総括
研究課題名
心神喪失者等医療観察法制度における専門的医療の向上のためのモニタリングに関する研究
課題番号
H17-こころ-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 和男(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 幸之(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
  • 菊池 安希子(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
  • 福井 裕輝(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
  • 美濃 由紀子(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
  • 八木 深(東尾張病院)
  • 松原 三郎(松原病院)
  • 山上 皓(国際医療福祉大学)
  • 町野 朔(上智大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
12,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、精神保健研究所司法精神医学研究部を中心に、医療観察制度に関わる種々の機関からの情報を統合的に収集管理し、専門的な見地からの評価と分析を加え、その結果を関係機関に定期的にフィードバックすることで、専門的医療の向上を図ると同時に、5年後の制度改正の必要性を根拠づけるための客観的なデータを集積、提供することを目的としている。
研究方法
データは毎月診療報酬明細書にその写しが添付されることになる、「入院処遇ガイドライン」記録等の標準化による関係するシート、及び「通院処遇ガイドライン」記録等の標準化による「指定通院医療機関における多職種チーム会議において整備すべき情報」のうち氏名等の個人が特定されるものを除いた情報について、開発したデータベース・システムを用いて収集する。これらのデータは司法精神医学研究部で分析され、精神医学、法学等の専門家よって構成される外部評価班での評価を経た上で、制度上の問題点や具体的な改善計画が示され、関係機関や関係省庁に定期的に報告されることになる。
結果と考察
本年度は、入院処遇では、指定入院医療機関6カ所より、入院処遇を継続している者205名について解析を行った。急性期の期間は、平均値、中央値とも3ヶ月を超えていた。また、回復期は、ガイドラインでの目安の期間よりも早い。社会復帰期についてはほぼ同じか、若干短くなっている。退院例については、早期退院事例が含まれることから、ガイドラインより短い在院日数となっていた。通院処遇では、同法制度の施行から2年以上が経過し、指定通院医療機関35施設の協力を得て、調査対象者数は63名であった。収集したデータによって明らかになった静態情報等の集計結果の一部から、被害者支援を視野に入れた家族へのサポートの必要性と、自殺に関する対策の必要性が示唆された。
結論
本研究で開発されたデータベース・システムを用いて、全国の指定入院医療機関および指定通院医療機関から指定医療機関の整備状況、医療観察法対象者の基礎情報、指定医療機関における治療期間や治療内容、退院に際しての住居の確保、社会復帰における連携状況等に関する情報を収集、解析することによって、同法の専門的治療の現状と問題点が明らかにされた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200730008B
報告書区分
総合
研究課題名
心神喪失者等医療観察法制度における専門的医療の向上のためのモニタリングに関する研究
課題番号
H17-こころ-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 和男(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 幸之(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
  • 菊池 安希子(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
  • 福井 裕輝(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
  • 美濃 由紀子(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
  • 八木 深(東尾張病院)
  • 松原 三郎(松原病院)
  • 山上 皓(国際医療福祉大学)
  • 町野 朔(上智大学法学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、精神保健研究所司法精神医学研究部を中心に、医療観察制度に関わる種々の機関からの情報を統合的に収集管理し、専門的な見地からの評価と分析を加え、その結果を関係機関に定期的にフィードバックすることで、専門的医療の向上を図ると同時に、5年後の制度改正の必要性を根拠づけるための客観的なデータを集積、提供することを目的としている。
研究方法
データは毎月診療報酬明細書にその写しが添付されることになる、「入院処遇ガイドライン」記録等の標準化による関係するシート、及び「通院処遇ガイドライン」記録等の標準化による「指定通院医療機関における多職種チーム会議において整備すべき情報」のうち氏名等の個人が特定されるものを除いた情報について、開発したデータベース・システムを用いて収集する。これらのデータは司法精神医学研究部で分析され、精神医学、法学等の専門家よって構成される外部評価班での評価を経た上で、制度上の問題点や具体的な改善計画が示され、関係機関や関係省庁に定期的に報告されることになる。
結果と考察
入院処遇では、18年度および19年度ともに指定入院医療機関6カ所より調査を行った。19 年度においては、同法制度の施行から2年以上が経過し、調査の対象事例は6病院の協力を得て、合計205例となった。急性期の期間は、平均値、中央値とも3ヶ月を超えていた。また、回復期は、ガイドラインでの目安の期間よりも早かった。社会復帰期についてはほぼ同じか、若干短くなっていた。退院例については、早期退院事例が含まれることから、ガイドラインより短い在院日数となっていた。通院処遇では、18年度は、指定通院医療機関15か所より、通院処遇を継続している者25名を対象としたが、19年度は、同法制度の施行から2年以上が経過し、指定通院医療機関35施設の協力を得て、調査対象者数は63名であった。収集したデータによって明らかになった静態情報等の集計結果の一部から、被害者支援を視野に入れた家族へのサポートの必要性と、自殺に関する対策の必要性が示唆された。
結論
本研究で開発されたデータベース・システムを用いて、全国の指定入院医療機関および指定通院医療機関から指定医療機関の整備状況、医療観察法対象者の基礎情報、指定医療機関における治療期間や治療内容、退院に際しての住居の確保、社会復帰における連携状況等に関する情報を収集、解析することによって、同法の専門的治療の現状と問題点が明らかにされた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200730008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究で開発されたデータベース・システムを用いて、全国の指定入院医療機関および指定通院医療機関の整備状況、医療観察法対象者の基礎情報、指定医療機関における治療期間や治療内容、退院に際しての住居の確保、社会復帰における連携状況等に関する情報を収集、解析することによって、同法の専門的治療の現状と問題点が明らかにされた。
臨床的観点からの成果
本研究より明らかにされた、全国の指定入院医療機関および指定通院医療機関における医療観察法対象者の基礎情報、平均的な治療期間、治療内容等に関する情報、退院に際する住居の確保の状況、社会復帰における連携状況、同様の行為の再発等に関する情報が関係機関や関係省庁に報告され、各地の指定医療機関の医療内容が比較検討、公開されることで、同法の専門的治療の向上に資する可能性が示唆された。
ガイドライン等の開発
入院処遇では、指定入院医療機関6カ所より、入院処遇を継続している者205名について解析を行った。急性期の期間は、平均値、中央値とも3ヶ月を超えていた。また、回復期は、ガイドラインでの目安の期間よりも早い。社会復帰期についてはほぼ同じか、若干短くなっている。退院例については、早期退院事例が含まれることから、ガイドラインより短い在院日数となっていた。
その他行政的観点からの成果
本研究の結果は、法制度自体の見直しが行われる際の重要な基礎資料となると同時に、この内容が国民にも広く知らしめられることによって、精神障害者の重大な他害行為の多くが、適切な医療や福祉の提供によって防止可能であるとの理解が深まり、ひいては精神障害者全般に対する偏見除去にも貢献する可能性が示唆された。
その他のインパクト
国立精神神経センター精神保健研究所で実施している司法精神医学研修では約80名の研修者に、法務省保護局で実施している研修で全国の保護観察所長10数名に対し、本研究での成果に基づいた講義を実施し、医療観察法制度の普及啓発に努めた。

発表件数

原著論文(和文)
10件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
9件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
31件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
4件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-