代替医療の実態と有効性の科学的評価

文献情報

文献番号
200729035A
報告書区分
総括
研究課題名
代替医療の実態と有効性の科学的評価
課題番号
H19-免疫-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岡本 美孝(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 花澤 豊行(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 堀口 茂俊(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 河野 陽一(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 堤 裕幸(札幌医科大学 医学部 )
  • 石川 和夫(秋田大学 医学部)
  • 増山 敬祐(山梨大学 大学院医学工学総合研究部)
  • 大久保 公裕(日本医科大学 医学部)
  • 岡野 光博(岡山大学 大学院医歯総合研究科)
  • 中山 俊憲(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 黒野 祐一(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
35,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アレルギー疾患に対する国内での代替医療の実態を解明し、代替医療が持つ問題点を明らかにすると同時に、科学的評価から代替医療が持つ有効性についても検討を行い新たな治療戦略としての可能性を示す。
研究方法
統一したアンケート調査票を用いて代替医療の実態を①千葉県内の各種アレルギー疾患で医療機関を受診した成人患者、②千葉県および北海道で小児アレルギー疾患で受診した患児、③各地域でアレルギー性鼻炎により受診した患者、④地域一般住民対象のアレルギー性鼻炎検診を受診した成人、⑤アレルギー性鼻炎に対するインターネット調査の応答者、⑥市民公開講座受講者を対象に行った。また、代表的な代替医療について推奨度を明らかにすべく科学的な評価を開始した。
結果と考察
代替医療の実態調査から、一般医療機関を受診するアレルギー患者の代替医療の受療率は5.5?30%で、疾患、地域により差がみられ、喘息でやや低く、また疾患頻度の少ない地域で低い。6年前の同一医療機関での調査と比較して増加が見られた。代替医療の内容は様々だが効果について有りと評価した割合は7?30%程度が多く、一方、代替医療の費用は1万円以上か20?60%、10万円以上が5?35%でアトピー性皮膚炎、喘息で高額な傾向があった。インターネット調査参加者、市民講座受講者、大学専門病院受診者の代替医療受療率は高く、一般患者とは解離がみられた。また、医療機関で治療を受けていない患者では代替医療の受療率が高い可能性が示された。
今年度の代替医療の科学的評価の検討から、乳酸菌摂取について花粉症患者の症状緩和作用は断定出来なかったが、in vitroでの検討結果は、更に投与方法や期間についての検討の継続の意義を示すものであった。現在、花粉症に対する早期介入の臨床検討が行われている。ミント吸入、鼻翼開大テープ、鼻スチーム療法には鼻腔抵抗を一過性に改善することが確認されたが、個人差や制約が大きい。花粉症に対するマスクや眼鏡の有用性も限界がある。詳細な花粉飛散を利用したセルフケアーについては、情報の精度により有用性は規定される。アロマ療法や糖脂質を利用した新規細胞免疫療法の検討が進んでいる。
結論
様々な代替医療を利用するアレルギー患者の増加がみられるが、代替医療の多くは効果が乏しく、また必ずしも安価ではない。科学的評価を進め、その情報を患者に提供することが重要である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-15
更新日
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