関節リウマチの寛解導入療法体系化に関する研究

文献情報

文献番号
200729031A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチの寛解導入療法体系化に関する研究
課題番号
H19-免疫-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
竹内 勤(埼玉医科大学総合医療センターリウマチ・膠原病内科)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻 アレルギーリウマチ学)
  • 西本 憲弘(大阪大学大学院生命機能研究科 免疫制御学講座)
  • 住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科 先端応用医学専攻臨床免疫学)
  • 田中 良哉(産業医科大学医学部第1内科学講座 内科学・膠原病学・臨床免疫学)
  • 山中 寿(東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 川上 純(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・制御学講座 第一内科)
  • 南木 敏宏(東京医科歯科大学 薬害監視学講座)
  • 渥美 達也(北海道大学大学院医学研究科病態内科学講座・第二内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高高齢者に多い関節リウマチ(RA)は、全身の多関節に起る激しい痛みと高度の破壊性関節炎を特徴とし、機能予後のみならず、生命予後も不良である。わが国においてもこの認識が高まり、RA の自然経過を変えうる薬剤として抗リウマチ薬が積極的に投与されてきた。しかし、本邦においては、生物学的製剤開始時すでに関節破壊が進展しており、進行期症例でも、欧米の症例より関節破壊度がより高度であることが指摘されている。それを解決するためには、治療の目標を寛解に設定し、定期的に有効性を判定し、早期から強力で積極的な治療を行い、関節破壊進行のない『真の寛解』を目指す治療戦略が必要である。本研究では、わが国の治療の現状を分析、検討し、テーラーメイドの効率よい寛解導入法を構築し、それを体系化する事を目的とする。

研究方法
①コホート研究1)臨床現場における寛解導入率の推移2)生物学的製剤の市販後全例調査3)生物学的製剤使用RA患者を対象とした疫学研究
②各薬剤を用いた臨床研究1)MTX による寛解導入法の検討2)インフリキシマブの寛解導入法の検討3)インフリキシマブ2次無効を予測するための免疫遺伝学的解析4)インフリキシマブ寛解導入後の中止プログラムの構築5)エタネルセプトの寛解導入療法の検討6)抗I L -6 受容体抗体トシリズマブによる治療
③免疫、遺伝学的研究 1)RAおよびRA予後不良因子に関する遺伝学的検討2)予後不良因子である抗CCP抗体の対応抗原であるシトルリン化の誘導に関する検討
④寛解導入を目指す画像評価研究1)生物学的製剤治療効果予測における治療直前全身関節造影MRIの有用性評価:渥美班員2)コンパクトMRI装置を用いた関節リウマチの早期診断および治療評価に関する検討

結果と考察
我国の関節リウマチ治療は、ここ数年飛躍的に進歩し、寛解導入率も30%前後までに向上した。その背景には、MTXを初めとした強力な抗リウマチ作用を有する薬剤が、多くの症例に早期から使用されてきたこと、ならびに2003年以降の生物学的製剤導入がある。インフリキシマブ、エタネルセプト、トシリズマブなどの生物学的製剤による日本人RAでの寛解導入率が報告され、それと関連する要因が明らかとなった。予後不良例を予測する試みが免疫遺伝学的アプローチによって進められ、同時に、臨床的寛解から真の寛解へと導く際の評価法として新たな画像診断法の有用性と課題が明らかになった。
結論
本研究で得られたエビデンスを統括し、それを体系化することによって約30%という現状の臨床的寛解率をさらに向上させ、真の寛解を目指す事が可能になると考える。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
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