関節リウマチの早期診断による発症及び重症化予防

文献情報

文献番号
200729029A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチの早期診断による発症及び重症化予防
課題番号
H19-免疫-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
江口 勝美(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 清野 宏(東京大学 医科学研究所)
  • 住田 孝之(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
  • 藤尾 圭志(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 坂口 志文(京都大学 再生医科学研究所)
  • 土屋 尚之(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
  • 三森 経世(京都大学 大学院医学研究科)
  • 津坂 憲政(埼玉医科大学 総合医療センター)
  • 上谷 雅孝(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 寺井 千尋(東京女子医科大学 付属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 青柳 潔(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 関節炎症状が出現して間もない時期に RA に移行し、重症化 (関節破壊に進行) する可能性が高い症例を抽出し、自己抗原特異的免疫寛容誘導療法を施し、RA の発症及び重症化を阻止する。
研究方法
1) 抗原特異的アナログペプチドを用いたワクチン療法の開発
2) 制御性 T 細胞や自己反応性 T 細胞を標的とした治療法の開発
3) RA の発症及び重症化関連遺伝子の探索
4) 診断未確定関節炎の治療アルゴリズムの作成と臨床検討
結果と考察
1) 腸管関連リンパ組織のパイエル板が粘膜系制御性ネットワークに重要な役割を果たしている。RA 患者の抗 CCP 抗体産生及び関節炎の進行に抗酸菌 HSP70及びシトルリン化 BiP に対する免疫応答が関与している。自己抗原 (コラーゲンタイプⅡ) を標的とした抗原特異的免疫寛容はアナログペプチドを用いることにより、RA の治療及び発症阻止が可能である。
2) SKG マウスの自己免疫性関節炎発症に TH17細胞が重要である。TH17細胞浸潤を誘導する炎症性微小環境を変えることが関節炎治療の標的となる。
3) RA 発症及び重症化関連遺伝子を探索し、日本人においても IRF5、STAT4と疾患感受性との関連が支持された。
4) 新たな UA 129症例を用いて、私たちの早期診断予測基準の妥当性を検証した。①自己抗体 (抗 CCP 抗体/IgM-RF)、②MRI 所見の対称性手・指滑膜炎、③MRI 所見の骨変化 (骨髄浮腫/骨侵食) から構成され、3項目中2項目陽性であれば、後に RA に移行する早期診断予測基準は陽性予測値80%、特異度76%、感度68%であった。抗 CCP 抗体と MRI 骨髄浮腫の両方陽性症例は関節破壊に進行する早期関節破壊予測基準を提唱した。非造影 MRI による骨変化は造影 MRI の結果に匹敵することから、無造影 MRI による骨変化を骨髄浮腫の代替とした。抗 CCP 抗体と MRI 骨変化陽性 UA を対象に動的に割り付ける MTX、SASP の前向き臨床試験を企画した。この臨床試験の一次目標は RA への進行阻止率とした。
結論
 RA における自己抗原を標的とした抗原特異的戦略はアナログペプチドを用いることにより、RA の治療及び発症阻止が可能であることを証明した。早期診断予測基準の妥当性を検証し、早期関節破壊進行予測基準を提唱した。

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
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